だんせいにゅうがん

男性乳がん

乳房

目次

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概要

男性乳がんとは、男性の乳腺組織に生じるがんのことです。男性の乳腺組織は非常に薄く、ほぼ痕跡のような形態であることから、一般的な乳がんといえば、女性特有の病気と思われがちです。しかし、男性にも乳がんは発生し、全乳がんの0.5~1%を占めるといわれています。

女性の乳がん発症にはエストロゲンという女性ホルモンが大きく関わっていると考えられていますが、男性乳がんの原因は明確には解明されておらず、さまざまな原因が指摘されています。発症年齢は、60歳代前後が多く、女性乳がんよりも10歳程度高齢であることが特徴のひとつです。

診断や治療方法は女性乳がんとほとんど変わりませんが、男性では乳房に注意を払うことが少なく、男性乳がんの認知度も低いことから、進行がんで発見されることが多々あります。

原因

男性乳がんが生じる明確なメカニズムは解明されていません。しかし、肝障害や内分泌疾患、クラインフェルター症候群などによるエストロゲンの過剰分泌や、外傷などによる機械的な刺激、遺伝子異常、放射線被ばくなどが関係していると考えられています。また、女性化乳房に続発するとの意見もあり、慎重な検査と経過観察を要します。

症状

一般的な症状は、痛みを伴わない腫瘤と乳頭の陥没です。男性は乳腺の組織が薄いため、皮膚や乳頭への浸潤が女性よりも早く進み、リンパ節や肺などへの転移も早く生じるとされています。

乳がんのタイプにはさまざまなものがありますが、炎症性乳がんでは乳房の発赤や熱感、腫れがみられ、乳房パジェット病では乳頭や乳輪部の皮膚にただれや湿疹を伴います。

検査・診断

男性乳がんの検査方法は基本的には女性の乳がんと同様であり、以下のような検査が行われます。

触診

医師による乳房にできた腫瘤の触診が行われます。男性乳がんでは、痛みを伴わず、硬く、可動性がないのが特徴です。

男性乳がんとの鑑別が必要となる女性化乳房は痛みを伴い可動性があるため、見分けることが可能ですが、触診だけで診断されることはありません。

超音波検査

簡便に行え、病変を観察しやすい検査です。乳がんの腫瘤は、周りの組織との境界がはっきりせず、内部が不均一に見えるのが特徴です。

マンモグラフィー検査

女性の乳がん検診でも広く行われる検査ですが、男性乳がんに対しても使用することが可能です。高濃度乳腺の女性は、がんがあっても検査で見落とされやすいことが問題となっていますが、男性は乳腺組織が薄いため、病変を観察しやすいとされています。

CT検査、MRI検査

全身の画像検査を行うことで、乳房の病変だけでなく、リンパ節や他臓器への転移を評価することが可能です。また、男性乳がんとの鑑別が必要な女性化乳房の原因となる腫瘍や肝硬変などの描出にも優れています。

生検

乳房の腫瘤に針を刺し、組織の一部を取って病理学的診断を行う検査です。腫瘤が乳がんによるものなのかを判断するのに必須の検査であり、ほぼ全例で行われます。

また、がん細胞に、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンに対する受容体(ホルモン受容体)や、HER2という蛋白や遺伝子が過剰に発現しているか検査することも、治療法を決定するうえで重要です。

血液検査

ホルモン値の異常や、肝機能などの全身の状態を評価するために行う検査です。

治療

男性乳がんでは、治療法も女性乳がんとほぼ同様です。一般的には、手術による乳房切除、放射線療法、抗がん剤治療、ホルモン療法、分子標的治療が、がんの進行度やがんの種類により選択されます。

乳房切除術では、女性のように乳房の温存を重視せずに、全摘となることがほとんどです。また、ホルモン受容体の発現がみられる乳がんの場合にはホルモン療法が、HER2の過剰発現がみられる乳がんの場合には、HER2を標的とする分子標的治療(抗HER2療法)を含む治療が行われます。

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