こうまくどうじょうみゃくろう

硬膜動静脈瘻

同義語
dAVF
最終更新日:
2023年02月06日
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2023/02/06
更新しました
2022/11/29
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概要

硬膜動静脈瘻とは、脳や脊髄(せきずい)を覆う“硬膜”を栄養する硬膜動脈が毛細血管を介さずに直接静脈に流れ込む病気のことです。

通常であれば圧が高い動脈の血液は多数の毛細血管を介して静脈に流れます。そのため、動脈の高い圧が直接静脈に伝わることはありません。しかし、硬膜動静脈瘻を発症すると動脈の血液が直接脳内の静脈に流れ込むため静脈の圧が上昇して、脳内へ続く血流に異常が生じている場合は脳出血を引き起こすことがあります。また、脳内の圧が上昇することで頭痛や吐き気、視力の低下などを引き起こすことも少なくありません。

この病気は非常に珍しいものであり、頭部外傷や静脈洞血栓症などの病気によって引き起こされます。また、脳内への血流に影響が少ない場合は治療をしないことも多いですが、脳内へ異常な血流が生じている場合はカテーテル治療や手術、放射線治療が必要になります。

原因

硬膜動静脈瘻の明確な発症メカニズムは解明されていません。しかし、この病気は生まれつきの血管の形態異常ではなく成人になって発症するケースが多く、頭部外傷髄膜炎、静脈洞血栓症などの病気が発症に関与しているとの報告があります。

症状

硬膜動静脈瘻は、発症する部位や大きさによって静脈へ流れ込む血液量などが異なるため、症状の現れ方もさまざまです。

硬膜動脈から脳内へ流れる静脈への血液の流入がない場合は、目立った症状がみられないことも少なくありません。一方で、静脈に速い血流があるときは耳鳴りを自覚することが知られています。

また、硬膜動脈から脳内の静脈へ血液が流入する場合は、静脈の圧が高くなって血液の逆流が生じるため脳梗塞(のうこうそく)を引き起こすことがあります。また、静脈に過剰な圧がかかると血管が破れて脳出血を引き起こすこともあり、意識障害、手足の麻痺・しびれ、言語障害などの神経症状、頭痛、吐き気などが生じます。

なお、日本では異常な血流が目のほうに行くケースが多く、充血、目の突出、視力や視野の異常、ものが二重に見えるなどの症状が現れやすいとされています。

検査・診断

硬膜動静脈瘻が疑われるときは、次のような検査が行われます。

画像検査

硬膜動脈の異常の有無などを確認するためにはMRIによる画像検査が必要です。MRIの中でも血管の状態を描出するMRA検査が重要となります。

また、CTによる検査を併用することもあります。

脳血管造影検査

硬膜動静脈瘻の診断はMRA検査のみでは困難なことが少なくありません。また、治療方針を決定するためにも情報が不十分なことがあるため、より精密な脳血管造影(カテーテルを用いた検査)が必要となります。

治療

硬膜動静脈瘻は、脳内の静脈への血液の逆流がない場合は特別な治療をせずに定期的な経過観察が行われることもあります。しかし、逆流がある場合には放っておくと1年間に数%以上の確立で脳内出血を起こすとされているため、治療が必要になります。

主な治療法には以下の3つがあります。

カテーテル治療

血管内にカテーテル(医療用の細い管)を挿入して硬膜動静脈瘻の病変部まで至らせ、異常な血管に特殊な液体塞栓物質(オニキス、NBCA)やコイルを挿入して閉塞させる治療法です。

体への負担は手術より少ないですが、脳梗塞などカテーテル治療に伴う合併症のリスクがあります。

手術

頭皮と頭蓋骨(ずがいこつ)の一部を開いて、異常な血管の血流を遮断するための手術を行う治療です。

近年ではカテーテル治療の技術が進歩したため、このような開頭手術を行うケースは減少しています。また、手術で根治できる病変の部位は限られています。

放射線治療

異常な血管が生じた部位に高線量の放射線を照射するガンマナイフやサイバーナイフなどの特殊な放射線治療を行うことがあります。治療完了まで2~3年ほどかかることがあるうえ根治性に劣るため、補助的な治療として用いられます。

また、脳浮腫(のうふしゅ)悪性脳腫瘍(あくせいのうしゅよう)の発生など、長期的な合併症の発症が問題となることがあります。

予防

硬膜動静脈瘻の発症メカニズムは明確には解明されていないため、確実な予防法はないのが現状です。一方で、発症には頭部外傷や静脈洞血栓症、髄膜炎などの病気が関わっているとの報告もあります。

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