適応
2024年8月現在、陽子線と重粒子線共に保険適用となっている病気は、以下のとおりです。
- 頭頸部腫瘍
- 骨軟部腫瘍
- 直径5cm以下の早期肺がん
- 直径4cm以上の肝細胞がん
- 肝内胆管がん
- 膵がん
- 手術後に再発した大腸がん
- 子宮頸部腺がん
- 婦人科領域悪性黒色腫
- 子宮扁平上皮がん
- 前立腺がん
- 20歳未満の小児固形腫瘍(陽子線治療のみ)
治療が適応となる条件として、最初にがんが発生した部位(原発巣)以外に遠隔転移がないことがあげられます。そのほかにも細かい条件があるため、詳しくは専門医にご相談ください。
また、現時点で保険適用とはなっていないものの先進医療*として粒子線治療が行われている病気には、食道がん、胆道がん(肝門部領域胆管がんや肝外胆管がん、胆嚢がん)、腎がん、膀胱がん、精巣腫瘍、転移性腫瘍(肝転移、リンパ節転移、肺転移)などがあります。
*先進医療:高度な医療技術を用いた治療などのうち、公的医療保険の対象ではないが、厚生労働大臣が承認し一般の保険診療との併用が認められたもの。
目的(メリット)
粒子線治療はがん病巣にのみ集中的に照射し、周囲の正常な臓器への影響を減らすことができるため、X線を利用した放射線治療よりも副作用を抑えて高い治療効果が期待できます。また、体への負担も少ないことから、高齢の方や体力のない方にも治療を行うことができます。
重粒子線のメリットは、陽子線と比較してさらに周囲の正常な臓器への影響を減らし、副作用を抑えられることです。また、陽子線の治療期間は2~8週間程度ですが、重粒子線の治療期間は1~4週間程度と短く、短期間で治療を終えることができるのもメリットの1つです。一方、デメリットとしては、重粒子線は重い粒子を扱うため機械や施設の設備が大がかりになり、治療可能な施設が多くないことがあげられます。
治療詳細
粒子線治療は治療開始までに約1~2週間の準備が必要です。
まず、治療中の腫瘍の動きを確認するために照射用マーカーという非常に小さな金属を体内に留置します。その後、治療台に体を固定するための固定具を作製し、CTやMRIなどの画像検査や内視鏡検査などを行ったうえで粒子線治療のシミュレーションを作成します。そして、作成した治療計画の下実際に患者と治療リハーサルを行い、粒子線治療を開始します。
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