治療
肝臓病の治療は病気によって異なりますが、安静や食事療法、原因となる病気や合併症に対する治療が主体となります。肝がんにおいては外科治療、薬物療法や放射線治療などさまざまな治療法があります。
肝炎
急性肝炎に対する特別な治療はないため、一般的に安静と食事による対症療法を行います。多くの場合これらの治療で完治しますが、ウイルス性肝炎で重症化や慢性化している場合には抗ウイルス薬を投与することがあります。
アルコール性肝炎では節酒・断酒が不可欠です。そのため、患者本人の意思で節酒・断酒が難しい場合は、カウンセリングや抗酒薬などによる医療介入が必要となります。
肝硬変
肝硬変そのものを治すことは難しいため、肝硬変の進行を防ぐための治療と合併症に対する治療が中心となります。
進行を防ぐためには原因となる病気に対するアプローチが重要で、ウイルス性肝炎による肝硬変の場合には肝炎ウイルスに対する治療を行います。また、肝硬変では低栄養状態になることから、バランスのとれた食事を十分に取ることも大切です。
肝硬変が進むと、腹水や足のむくみ、食道静脈瘤、脳症などさまざまな合併症が現れます。このような合併症がある場合には、それぞれの合併症に対する治療を行います。具体的には、腹水や足のむくみでは利尿薬の投与、食道静脈瘤では内視鏡治療、脳症では合成二糖類や抗生物質による内服治療などを行います。また、低アルブミン血症や低亜鉛血症がある患者には、分枝鎖アミノ酸製剤や亜鉛製剤を投与したり、カルニチン製剤を使用したりします。
肝がん
肝がんに対する治療は、手術による肝臓の切除、ラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法が中心です。ラジオ波焼灼療法は針を用いてがんを加熱焼灼する治療法で、肝動脈化学塞栓療法はがんに栄養を運んでいる肝動脈内に塞栓物質と抗がん薬を投与し、血流を止めて抗がん薬でがんを死滅させます。
そのほかの治療法として、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬による薬物療法、放射線治療、肝移植、緩和ケアなどがあり、がんの進行具合や肝臓の状態に応じて選択します。
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