症状
脊椎関節炎全体に共通する症状には、関節に出る症状と、そのほかの症状があります。また、脊椎関節炎は症状の特徴の違いから、“体軸性脊椎関節炎”と“末梢性脊椎関節炎”の2つに大きく分類されています。
関節の症状
関節に炎症が起こると、痛みやこわばりが現れます。背中や腰の痛みは運動すると改善し、安静にすると悪化して、特に夜間後半から早朝にかけて症状が強くなりやすいという特徴があります。足や手の関節炎、アキレス腱や足底など靱帯が骨につく部分の痛む“付着部炎”、手や足の指がソーセージのように腫れる“指趾炎”なども共通してみられる症状です。関節リウマチと比べて一度に症状の出る関節の数が少なく、股関節や肩関節、膝など大きな関節に症状が出やすいことや下肢に症状が出やすいことも特徴です。
関節以外の症状
脊椎関節炎では、しばしば合併症が見られます。多く見られるものには、結膜炎やぶどう膜炎などの目の症状、クローン病や潰瘍性大腸炎など腸の症状、乾癬や爪の病変など皮膚の症状があります。乾癬とは、円形に赤みがかった皮膚が少し盛り上がり、その表面が銀白色にカサカサと剥がれるような症状を示すものです。脊椎関節炎の種類によって、現れやすい合併症には違いがあります。
体軸性脊椎関節炎と末梢性脊椎関節炎
近年、脊椎関節炎の中で“体軸性脊椎関節炎”と“末梢性脊椎関節炎”を分類するための基準が提唱されました。
体軸性脊椎関節炎
体軸性脊椎関節炎では、腰や背中の痛みが症状の中心となります。45歳未満で3か月以上続く背部痛があることが前提となり、さらに仙腸関節(腰にある骨盤の仙骨と腸骨の間の関節)の炎症(画像所見)やHLA-B27遺伝子を有すること、脊椎関節炎に共通するそのほかの症状が見られることなどによって分類されます。
末梢性脊椎関節炎
末梢性脊椎関節炎では、関節炎や腱の付着部炎、指趾炎など手足の症状が中心となって現れます。これらの症状のほかに、ぶどう膜炎や乾癬、腸炎、感染症などの特徴的な症状や、LA-B27遺伝子、画像所見などと合わせて分類されます。
症状に合わせてこれらの分類基準を用いることで、従来よりも早期に診断ができるようになりました。ただし、基準を満たしただけでは判断できず、似た症状を示すほかの病気の可能性を除く必要があるため、専門家による診断が必要となります。
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