治療
脊髄性筋萎縮症の治療では、はたらきや使い方の異なる3種類の薬が用いられています(2026年時点)。運動機能への治療効果の判定としての定期的な評価、特に運動機能評価は重要です。また、薬物療法とともに症状に応じたリハビリテーションやケアも重要です。
病気の進行を抑える治療薬
2026年時点では、ヌシネルセン、オナセムノゲン アベパルボベク、リスジプラムと呼ばれる薬が治療の選択肢となります。どの薬が適しているかは患者によって異なり、症状や年齢、遺伝学的検査の結果などを踏まえて医師が判断します。
ヌシネルセン
ヌシネルセンは、SMN2遺伝子にはたらきかけてSMNタンパク質を増やす薬です。定期的に髄液の中(髄腔内)に注射で投与します。髄腔内への注射に伴って、発熱や頭痛、背中の痛み、嘔吐などがみられることがあり、投与後は医師や看護師から指示があるまで安静にすることが必要です。2025年から高用量(従来の2~4倍以上の成分)の注射が投与可能となりました。
オナセムノゲン アベパルボベク
オナセムノゲン アベパルボベクは、不足しているSMN1遺伝子のはたらきを補う遺伝子治療薬で、点滴あるいは髄腔内への注射による投与が1回のみ行われます。当初は2歳未満が対象で点滴のみでしたが、2026年には2歳以上の患者には髄腔内投与が可能になりました。点滴投与では、患者の体重が軽いほど、投与量が少ないために副作用は少なく、生後1か月までの新生児期での投与では安全性が高いことが分かっています。2歳以上対象の髄腔内投与は薬剤の成分が少なくて済むために安全性が高いです。まれですが点滴投与における重大な副作用として、急性肝不全と血栓性微小血管症などが生じる可能性があり、定期的に血液検査が行われます。
リスジプラム
リスジプラムは、SMN2遺伝子にはたらきかけてSMNタンパク質を増やす薬で、脊髄性筋萎縮症では初めての飲み薬です。1日1回自宅で服用します。副作用として、発疹などの皮膚の変化やかぜ、便秘・下痢、口内炎のような症状(口腔内潰瘍)がみられることがあるため、気になる症状が現れた場合は医師や薬剤師に相談しましょう。ドライシロップを薬局で液体として処方され冷蔵保存が必要でしたが、2025年から錠剤が処方されるようになり、患者と家族の負担が軽減されました。
これらの薬は、発症からの期間が短いほど有効性が高いことから、早期の診断と治療が重要と考えられています。
症状に応じたケアとリハビリテーション
いずれの型においても適切なケアや薬剤の有効性の評価、リハビリテーションが重要です。重症型のI型では、ものを飲み込む筋肉が低下するため鼻などから胃に管を通して栄養を補給する“経管栄養”が必要になります。また、誤嚥しやすく肺炎などを繰り返すため、それらに対する迅速で適切な治療も必要です。さらに、自力で呼吸をすることができなくなるため、人工呼吸器の装着がほぼ必須となります。II型においても、夜間の睡眠時に鼻マスクによる人工呼吸管理が必要となることが多いです。II型では座位を取ることが多いため、成長期に脊柱側弯などの変形が進むことが多く、コルセットの装着が必要です。脊柱変形の進行によっては脊柱固定術が必要となります。
一方、III型とIV型では、治療の中心はそれぞれの筋力の状態に合わせてさらなる症状の悪化を防ぎ、運動量低下による関節の拘縮を防ぐためのリハビリテーションとなります。
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