きょけつせいししんけいしょう

虚血性視神経症

最終更新日:
2023年11月01日
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2023/11/01
更新しました
2017/04/25
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概要

虚血性視神経症とは、視神経への血流が妨げられることで視神経の損傷をきたす病気です。

視神経は脳神経の1つで、眼球の後ろから脳につながり、目に入る映像の情報を脳へと伝達する役割があります。この視神経が障害されると、重度の視力障害などをきたす恐れがあります。虚血性視神経症では、何らかの原因により視神経への血流が妨げられて視力の低下などが生じます。

原因によって、動脈に炎症をきたして発症する“動脈炎性”と動脈の炎症を伴わない“非動脈炎性”に分けられ、動脈炎性は非動脈炎性に比べて発症頻度が低いものの、発症すると両目の失明に至る恐れがあります。

非動脈炎性に対しては現在のところ有効な治療法が確立されておらず、発症のリスク因子である動脈硬化などのコントロールが行われます。一方、動脈炎性の場合には無治療で経過すると視力障害が急速に進行する恐れがあるため、発症を認めた場合には速やかにステロイド薬を用いた薬物療法が行われます。

原因

虚血性視神経症は、以下のような原因により非動脈炎性と動脈炎性に分類されます。

非動脈炎性虚血性視神経症

非動脈炎性のリスク因子として、喫煙習慣や高血圧症動脈硬化糖尿病閉塞性睡眠時無呼吸症候群(へいそくせいすいみんじむこきゅうしょうこうぐん)などの病気や、ED治療薬やアミオダロンなどの薬、夜間の低血圧、血栓が形成されやすいことなどが挙げられます。

動脈炎性虚血性視神経症

動脈炎性では、主に巨細胞性動脈炎などの動脈炎によって視神経への血流が妨げられることで発症します。

巨細胞性動脈炎は頭部の動脈が閉塞することで生じるまれな病気です。はっきりとした原因は分かっていないものの、免疫の異常によって発症するのではないかと考えられています。

症状

非動脈炎性、動脈炎性を問わず、虚血性視神経症では痛みを伴わない視力障害をきたします。視力障害は発症から数分〜数日間のうちに突然生じ、片目または両目に認めます。また、視力障害の程度も軽症〜失明までさまざまです。

動脈炎性のうち巨細胞性動脈炎によって発症した場合には視力障害の程度が重度であることが多く、視力障害以外に頭痛や発熱、ものを噛むときの疲れ(顎跛行(がくはこう))、筋肉痛などを伴うこともあります。

検査・診断

虚血性視神経症が疑われる場合には、視野検査や画像検査、血液検査などが行われます。

視野検査では、検眼鏡と呼ばれるライトの付いた拡大鏡を用いて、目の奥やその周辺の組織を観察して視力障害の程度を調べます。

巨細胞性動脈炎などによる動脈炎性が疑われる場合には、血液検査によって体内の炎症反応の有無などを調べます。また、側頭動脈の組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる生検を行うこともあります。

巨細胞性動脈炎の症状がまったくみられない場合などには、頭部MRIやCTなどの画像検査を行い、視神経を圧迫する腫瘍(しゅよう)の有無などを調べます。

このほか、睡眠時無呼吸症候群の症状がみられる場合には睡眠中の脳波やいびき、心電図、動脈血酸素飽和度などを調べる睡眠ポリグラフ検査を行うこともあります。

治療

虚血性視神経症では、非動脈炎性と動脈炎性とで以下のような治療が行われます。

非動脈炎性虚血性視神経症

現状、非動脈炎性に対しては有効な治療法がなく、両目の視力障害の発症を抑制する方法も確立されていません。そのため、基本的にはリスク因子である動脈硬化のコントロールなどが行われます。

動脈炎性虚血性視神経症

動脈炎性では、視力障害が急速に進行するため、できる限り速やかに副腎皮質ステロイド薬が投与されます。初発時にステロイド薬を用いて適切な治療が行われた場合には両目への発症を抑える効果が期待できますが、無治療の場合には視力障害が両目へと及ぶ可能性があるため早急な対応が必要です。

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