原因
あおむけに寝ている状態から立ち上がったときに、重力の関係から多くの血液が下肢などに集まることになり、心臓に戻る血液が少なくなります。すると、心臓から送り出される血液の量が減るため低血圧となり、起立性低血圧が発症します。
通常であれば血液の減少を代償する形で神経が働きますが、神経の働きが鈍っている場合には代償機構がうまく働かずに起立性低血圧が発症します。こうした機序から起立性低血圧を発症する病気は糖尿病が代表的であり、糖尿病性ニューロパチーの一環として神経の働きが悪くなり起立性低血圧が発症します。その他、パーキンソン病や多系統萎縮なども原因となります。
また、血管内の血液量が正常よりも少ない状況であっても起立性低血圧が発症しやすくなります。具体的には、大血管破裂(大きな血管の破裂)・異所性(子宮外)妊娠(子宮の外で妊娠してしまうことを指し、破裂してしまうと大出血をきたす)・消化管出血(胃や腸の血管から出血すること)などが存在すると起立性低血圧の原因となります。その他、薬剤性の起立性低血圧もあります。利尿剤、α遮断薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗うつ薬など原因となる薬剤は多岐に渡ります。しかし、こうした明らかな原因を同定できない起立性低血圧症も存在します。
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