治療
BRCA1/2 に病的バリアントを保持していることが分かれば、関連するがんの早期発見、早期治療、リスク低減手術などを行うことができます。HBOCと確定している場合に対しては、サーベイランス(対策型の検診とは異なり、きめ細かく丁寧に定期的に観察していくこと)時期や内容が提唱されています。
BRCA1/2病的バリアントを保持している女性に対しては、リスク低減手術によりがんの発症リスクやがんによる死亡率の低減を目指すことが可能になります。
リスク低減乳房切除術 (RRM*)
- RRMにより新規乳がん発症リスクは確実に減少する
- HBOC に伴う片側乳がん発症者は対側乳がんのリスクも高まるため、対側リスク低減乳房切除術(CRRM*)を考慮してもよい
* RRM:risk reducing mastectomy
* CRRM:contralateral risk reducing mastectomy
リスク低減卵管卵巣摘出術 (RRSO*)
- 理想的には35~40歳の間に、出産の完了に伴ってすすめる
- BRCA2病的バリアント保持者女性の卵巣がんの発症年齢は、BRCA1に比べて平均で8~10年ほど遅いので、すでに可能な限りの乳がん予防術(たとえば、両側乳房切除術)を受けている場合は、RRSOを40~45歳まで延期することもある
- RRSOは卵巣がん卵管がんや腹膜がんを減少させるとともに生存率の改善が示されているため、実施することが推奨される
2020年4月よりHBOC診療一部保険適応では、以下のサーベイランスやリスク低減手術が保険収載されました。
- HBOCと診断された人に対する乳房や卵巣のサーベイランス
- 乳がんを発症された人のうちHBOCと診断された人に対するRRSOおよび、がんを発症した乳房と反対側の乳房の切除(CRRM)
- 卵巣がんの患者さんのうち、HBOCと診断された人に対する両側の乳房の切除(両側リスク低減乳房切除術:BRRM*)
* RRSO:risk reducing salpingo-oophorectomy
* BRRM:bilateral risk-reducing mastectomy
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