症状
BRCA1/2病的バリアント保持者でがんを発症していない場合には、具体的に現れる症状はなく、BRCA1/2遺伝学的検査によってのみHBOCの診断がつきます。
最近では国内でもHBOC関連がんの患者さんのうちBRCA1/2病的バリアントを保持する割合も相次いで報告されています。日本人乳がん患者の約4%、卵巣がん患者の約12%、前立腺がん患者の約1%、 膵がん患者の約6%が BRCA1/2 いずれかの病的バリアントを保持していることが分かりました。
HBOC関連がんでは、一般に下記に示すような特徴があります
乳がん
- 乳がんと卵巣がんの両方を発症しやすい
- 一般的な乳がんと比較し、若年で発症しやすい
- 反対側や両側に乳がんを発症しやすい
- 片方の乳房に複数回がんが発症しやすい
- 男性でも乳がんを発症する可能性が一般頻度に比べて高まる
- BRCA1病的バリアント保持者の乳がんはトリプルネガティブタイプ*が多い
- BRCA2病的バリアント保持者の場合、 通常の乳がん患者と同様にルミナルタイプ*が多い
* トリプルネガティブタイプ:がん細胞の表面にがん細胞の増殖に関わる女性ホルモン受容体とHER2と呼ばれるタンパク質が過剰に存在していないタイプの乳がん
* ルミナルタイプ:がん細胞の表面に女性ホルモン受容体が存在しているタイプの乳がん
卵巣がん(卵管がんおよび腹膜がんを含む)
卵巣がん患者さんではBRCA1/2病的バリアントを保持者の頻度が高いため、全例にBRCA1/2 遺伝学的検査を行うことが推奨されています。
- 漿液がん、 ステージⅢ期・Ⅳ期まで進行した症例が多いのが特徴
前立腺がん
- BRCA2病的バリアント保持者の場合、 前立腺がんのリスクが2~6倍になる
- BRCA2 病的バリアント保持者に生じる前立腺がんは遠隔転移やリンパ節転移の頻度が高い
膵がん
- BRCA2 病的バリアント保持者に生じる膵がんのリスクが2.4~6倍になる
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