治療
思春期より前に発症したものは、成長とともに軽快することもあります。女性では妊娠・出産を機に陥没が自然修正されることもあります。また、形や授乳機能に問題がある場合、手術適応になります。保存的治療と外科治療があります。
保存的治療
乳頭に小さなスポイトのような器具を装着して、乳頭を吸引します。軽症例では、持続的に吸引することによって乳頭の突出が維持できるようになることがあります。
治療期間はさまざまで、数か月から数年程度必要になることもあります。
外科治療
保存的治療を行っても症状が改善しない場合に手術が行われます。乳管を傷付けないように乳頭を切開し、陥没の原因を取り除いたのちに縫合します。手術後は突出させた乳頭をブラジャーの圧などでつぶさないように保護するとよいでしょう。重症の場合は手術を行っても再び陥没することもあり、吸引治療の併用が必要になることもあります。
膿がたまっている場合、切開して膿を出すだけだと再発の可能性が高いです。そのため、Seton法という感染の原因になっている乳管にナイロンの糸を通して膿を出すことで落ち着かせる方法があります。落ち着いた後は、陥没乳頭の形態を整える手術をするとともに、その原因部分を切除します。
悪性疾患が原因の陥没乳頭の治療
乳がんなどの悪性疾患が陥没乳頭の原因となっている場合は、形態を整える手術を行うのではなく、外科手術、化学療法(抗がん薬治療)、分子標的療法、放射線療法などの悪性疾患に対する治療を行います。
参考文献
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- 酒井成身,他.形成外科 Vol.53 2010年増刊号 形成外科の治療指針 update 2010.2010;53:S133.
- 梶川明義,他.形成外科 Vol.62 2019年増刊号 形成外科の治療指針 update 2019.2019;62:S138.
- 津川浩一郎.乳癌の臨床.2016;31(5):405-405.
- 小宮貴子,他.PEPARS 実践的局所麻酔ー私のコツー.2012;72:20-27.
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