治療
非結核性抗酸菌症の治療としては、薬物療法と外科的治療が行われます。
肺非結核性抗酸菌症の場合、軽症であれば自然軽快も期待できるほか、進行も遅いことから特別な治療を行わずに経過を観察する場合もあります。ただし現段階では自覚症状がない患者でも、10年ほどかけて病気が進行することがあるため、医師の指示にしたがって定期的に受診するようにしましょう。
薬物療法
治療では、主に複数の抗菌薬を服用することが一般的です。単剤投与だとその薬剤に対する耐性が発現し、抗菌薬による治療効果が期待できなくなってしまうため、複数の薬剤を用いて治療を行います。
肺非結核性抗酸菌症では、画像検査で肺の空洞*が見られた場合や病気の進行が明らかな場合、痰の検査で多くの細菌が検出された場合に薬物療法が行われます。
使用される抗菌薬は、原因となる細菌によって異なります。肺MAC症の場合はクラリスロマイシンと2種類の抗結核薬の飲み薬で治療を開始するのが一般的です。飲み薬だけでは効果が得られにくい場合は、点滴注射薬や吸入薬を組み合わせて治療を行います。また、薬物療法を行う場合は最低でも1年半以上は投薬を継続します。進行は緩やかですが薬の効果を得られにくい菌のため、菌を体内から完全に排除することは難しい場合が多くあります。治療期間は年単位となり、長期的な経過観察が必要となります。薬物療法で改善がみられない場合には手術を行うこともあります。
皮膚の非結核性抗酸菌症の場合も同様に、複数の抗菌薬による薬物療法を行います。
*肺の空洞:肺の一部が壊れて穴があいた状態。
外科的治療
病気の進行度合いや広がり、痰の中の菌の量などによっては肺の一部を切除するなど、ごくまれに手術治療が検討されることもあります。手術治療を検討する際は、患者の年齢や他の病気、全身状態、肺の機能などを踏まえて、患者の希望も考慮しながら、手術を行うかどうか決定します。
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