こつずいえん(かのうせいこつずえん)

骨髄炎(化膿性骨髄炎)

骨・関節

目次

項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

概要

骨髄炎とは、骨髄に生じる炎症のことです。この中で細菌感染により生じるものを化膿性骨髄炎といいます。

小児では骨髄は、成長のために骨の外側から栄養血管が流入しているため、細菌が血流に乗って骨髄内に流れ込むと、感染を起こします。一方、成人では、脊椎など一部の骨に細菌が血流にのって感染を起こしやすいです。また、開放骨折などの怪我や手術による影響で周囲の組織からの感染が生じることもあります。

細菌感染が生じて急激に症状が現れるものを急性化膿性骨髄炎といいますが、骨髄内は閉鎖空間のため炎症が慢性化して慢性化膿性骨髄炎に移行することがあります。

原因

骨髄炎は骨髄に細菌感染が生じることで発症します。骨髄への栄養血管を通して血行性感染が原因となり、小児では成長している腕や足の骨、成人では解剖学的に脊椎で生じることが多いですが、それ以外の骨で生じることもあります。

また、開放骨折などの怪我、骨の周囲の手術などをきっかけに、骨そのもの、もしくは骨に隣接する組織から細菌が侵入して感染を生じることがあります。特に整形外科の手術で用いるピンや人工関節などがリスクになります。

原因となる細菌は黄色ブドウ球菌が多く、その他ではA群溶連菌、緑膿菌などが挙げられます。黄色ブドウ球菌でも耐性化したMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、治療に難渋することがあり、問題となっています。

症状

症状は、急性・慢性によって大きく異なります。それぞれの症状の特徴は次の通りです。

急性化膿性骨髄炎

発熱や全身倦怠感、悪寒などの全身症状が生じ、骨髄炎が生じている部位に痛みや腫れが生じます。乳幼児では、腕を動かさない、歩けない、おむつを交換すると不機嫌になるなどがあります。

成人の場合では脊椎(背骨)が多く、小児の場合、血行性感染では、腕や足の骨の両端に生じることが多いです。

特に小児では、骨幹端に膿瘍(のうよう)が生じると、まだ骨がしっかりしていなために骨を内側から破壊して骨膜下膿瘍を形成することがあります。股関節や肩関節などの骨幹端に感染巣が生じて骨外に感染が拡がると、関節炎の原因となることもあります。

慢性化膿性骨髄炎

慢性化した場合、急性化膿性骨髄炎のように重篤度が高い全身症状は生じません。

病変部の痛みや腫れも軽度な場合が多いですが、骨病変は徐々に進行し、感染部では骨の内側から破壊され、壊死(えし)した骨組織の一部が骨髄内に残留して腐骨(ふこつ)を形成します。

また、それを取り囲むように骨柩(こつきゅう)という異常な骨形成が生じます。この骨柩と腐骨の間には肉芽組織が形成され、皮膚がデコボコした状態となることがあります。

さらに、骨髄の感染部が広がって骨の内側から骨を破壊すると、骨膜下膿瘍が形成されます。この膿瘍が大きくなると骨膜が破れ、骨周囲に膿が流れ出し、進行すると皮膚に穴が開く瘻孔(ろうこう)を形成することもあります。

 

検査・診断

骨の痛みを訴えて病院を受診した場合、まずレントゲン検査が行われることが多いです。しかし、急性化膿性骨髄炎は、発症初期にはレントゲン検査で病変が描出されません。レントゲンでは発症後、数週間が経過すると骨破壊像や骨吸収像などを観察することができます。

発症の経緯や症状から骨髄炎が疑われる場合には、早期発見に優れたMRIが行われることがあります。

一方、慢性化膿性骨髄炎では、時間が経っているためレントゲン写真で骨の異常を検出しやすいです。詳しくみるためにはMRI検査やCT検査が行われます。

また、急性・慢性ともに、骨病変は骨肉腫などのがんとの鑑別(見分けること)が必要になることも多く、病変部の組織を採取して顕微鏡で観察する病理検査が行われることがあります。

同時に骨膜下膿瘍や瘻孔から排出される膿などで培養検査を行い、原因となった細菌を特定することで適切な抗生物質が選択可能になります。

 

治療

急性期では、抗生物質の投与が行われます。症状が改善しない場合には、手術によって炎症が生じている骨の一部を開いて骨髄内の圧を下げ、膿瘍が形成されているときには切開をしてドレナージを行います。

急性化膿性脊髄炎は、適切な治療が行われない場合、慢性骨髄炎になることがあります。慢性化したケースでは、骨髄内に残留した腐骨の除去や感染巣を掻きだす手術が行われます。

また、瘻孔が形成されている場合には、外科的に充分な感染巣のコントロールを行い、必要に応じて欠損した皮膚を補うために一般的には植皮が行われることがあります。