しせいじょうがくどうえん

歯性上顎洞炎

最終更新日:
2024年11月18日
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2024/11/18
更新しました
2017/04/25
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概要

歯性上顎洞炎とは、う蝕(むし歯)や歯周病などが原因で上顎洞と呼ばれる部位(左右の頬の奥の空洞)に炎症をきたす病気です。

上顎洞とは鼻の周囲に存在する空洞(副鼻腔(ふくびくう))の1つで、上顎の歯に近い位置にあります。そのため、上顎の歯に発生したう蝕や歯周病の細菌が上顎洞に感染して炎症を引き起こすと、副鼻腔炎蓄膿症(ちくのうしょう))と同様の症状が現れます。う蝕や歯周病が原因となる以外に、歯科治療後に発症することもあります。

発症した場合には、歯性上顎洞炎の治療とともに原因となるう蝕や歯周病があれば、その治療も同時に行う必要があります。

歯性上顎洞炎は、上顎洞の発育が完成する20歳代以降に発症することがほとんどですが、歯を喪失する傾向の高まる70歳代以降では発症の頻度も減少します。

原因

上顎の歯のう蝕や歯周病が原因となり、上顎洞の粘膜に感染が広がり炎症を起こします。このほか、歯内療法*口腔(こうくう)インプラント治療などの歯科治療に関連して発症するケースもみられます。

これらの原因によって上顎洞粘膜での炎症が進行すると、次第にその粘膜が厚くなり、さまざまな症状を引き起こすと考えられています。

原因となる歯としては、智歯(親知らず)を含めて奥から3番目の歯(第一大臼歯)がもっとも多く、奥から2番目の歯(第二大臼歯)と合わせて原因の80%を占めるといわれています。

*歯内療法:主に歯の根の部分、俗にいう“歯の神経”の治療。

症状

歯性上顎洞炎の症状としては、歯痛のほかに副鼻腔炎と同様の症状として、頬の痛み、悪臭を伴う鼻汁、鼻閉感などが生じます。無症状である場合や、歯痛が生じないこともあります。また、歯性上顎洞炎では左右どちらか一方に症状が現れる場合が多いとされています。

進行すると鼻腔やほかの副鼻腔にも感染と炎症が広がり、まれに髄膜炎脳膿瘍(のうのうよう)の発症につながるケースもあります。

検査・診断

症状などから歯性上顎洞炎が疑われる場合、X線検査やCT検査などの画像検査が行われます。画像検査では、歯やインプラントの状態、上顎洞の状態などを確認します。

治療

歯性上顎洞炎の治療は、まずは抗菌薬による薬物療法、原因となる歯に対する歯科治療が行われ、必要に応じて上顎洞に対する外科的治療などを組み合わせて実施されます。症状や炎症の重症度によって、治療の組み合わせが決定されます。

薬物療法

抗菌薬による薬物療法を行います。抗菌作用のほか、炎症を抑えたり、粘り気のある鼻汁を軽減したりする効果を期待して行われます。抗菌薬に併せて抗ヒスタミン薬などを併用することもあります。

歯科治療

原因となる歯に対する治療では、主に歯の根の治療が行われますが、歯や歯の周辺の状態によっては抜歯を行うことがあります。

上顎洞に対する外科的治療

内視鏡を用いて、上顎洞にたまった液体などを除去したり、感染源となる上顎洞内異物(誤って入り込んだインプラント材料など)を取り除いたりする治療が行われます。上顎洞粘膜の炎症が慢性的に起こっている場合には、上顎洞粘膜を全て摘出する手術が行われることもあります。

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