院長インタビュー

総合病院とがんセンター、両方の機能を有する茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター

総合病院とがんセンター、両方の機能を有する茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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茨城県笠間市に所在する茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンターは「総合病院+がんセンター」という2つの機能を有する、全国的にも珍しい病院です。

そんな同院の強みとなる部分や、予定されている茨城県立こども病院との統合などについて、病院長である島居 徹(しまずい とおる)先生にお話を伺いました。

外観
病院外観

1956年に開院した茨城県立友部療養所を前身とする当院は、1957年に茨城県立中央病院に改称し、その後数多くの診療科を新規開設して1961年に総合病院となりました。

1977年には救急医療告示病院の指定を受け、1988年には病床数400床の新病院を開院、そして1995年にはがんセンター棟が竣工し、100床の地域がんセンターを開設しました。現在は、全部で500床の病床を有しています。

当院はこのような歴史をたどりながら、地域の基幹病院として幅広い症例に対する高度専門医療の提供を続けております。救急医療にも対応可能な総合病院としての機能だけではなく、がんセンターとしての機能も有しているというのが、当院最大の特徴といえるでしょう。

当院が位置する茨城県では、当院を含め県内の4つの病院に地域がんセンターを設置しています。茨城県は平地が多く可住面積が広いため人口が分散しやすいという特徴があり、県民の利便性を考慮してがんセンターを4か所に分散しているのです。

そんな地域がんセンターの1つである当院の、がん治療における強みをいくつかご紹介します。

ロボット支援手術

当院では2013年から手術支援ロボット・ダヴィンチによるロボット手術を開始しており、2023年1月には第4世代のダヴィンチXiに機器更新しました。

ダビンチ
手術支援ロボット・ダヴィンチ

ダヴィンチを使ってのロボット手術は泌尿器科・婦人科・消化器外科などで実施しており、2023年度のロボット手術件数は178件にのぼりました。この件数は1台の機器で行える上限に近い件数ですので、いずれは2台目の導入も視野に入れていきたいと考えます。

放射線治療

放射線治療においても当院は、日本放射線腫瘍学会(JASTRO)認定施設として2台のリニアック(体外放射線照射装置)やRALS(体内放射線照射装置)を有しており、幅広い部位、幅広いステージのがん患者さんに対する放射線治療を行っております。

より高精度・効果的な強度変調放射線治療(IMRT)を行っており、適時に機器の更新もしております。

リニアック
リニアック

悪性脳腫瘍治療

茨城県内の脳腫瘍治療は、これまで筑波大学附属病院が中心的に担っていましたが、県南エリアにあるため、県央・県北エリアでは脳腫瘍治療が十分に実施できない状況でした。その状況を打開するため、2024年度からは当院にも悪性脳腫瘍を専門領域とする医師を招き、筑波大学附属病院と連携しながらの悪性脳腫瘍治療に力を入れております。

頭頸部がん治療

当院は頭頸部がんの治療にも強みがあり、日本頭頸部外科学会より“頭頸部がん専門医認定研修施設”としての認定も受けております。

さらに当院は、根治切除が不能な再発進行頭頸部がんに対して、光免疫療法(頭頸部アルミノックス治療)を適用できる、数少ない医療機関の1つでもあります。現在、茨城県内において保険適用での光免疫療法が行えるのは筑波大学附属病院と当院のみです(2025年4月時点)。

当院は二次救急(入院や手術が必要な重症患者の救急)医療機関ですが、実際には二次救急よりもさらに重篤な三次救急に近い状態の患者さんが搬送されることも少なくありません。

そのため当院は実質的にはいわゆる“2.5次救急”を提供しており、重症外傷や心肺停止など一刻を争う患者さんのもとへ向かうためのドクターカーの運用や、併設するヘリポートを使ってのドクターヘリ搬送の受け入れも行っております。

救急
救急医療

また、後述しますが当院は茨城県立こども病院との統合を予定しております。これを機にさらなる救急医療体制の充実に努め、より高いレベルの救急対応の実現を目指していきたいと考えています。

当院は水戸保健医療圏の地域医療構想調整会議での議論を経て、茨城県立こども病院との統合が予定されています。2025年度から統合や新病院建設に関する基本構想の検討・議論を開始し、10年以内の開院を目指していきます。

新病院では、当院の従来からの役割である総合病院としての機能・がん診療に加え、茨城県立こども病院が担ってきた高度専門的小児医療、そして総合周産期母子医療センターとしての役割が加わる予定です。統合後は、従来から当院とこども病院の双方が有している機能をさらに向上、高度化していきたいと考えております。

病院の統合にご不安ご不便を感じる患者さんもいらっしゃるかもしれませんが、限られた医療資源を効率的に集約し、今後も地域の皆さんによりよい医療、より高いレベルの医療を提供できるようにすることをお約束しますので、ご理解をお願い致します。

“患者さんに優しい、質の高い、県民に信頼される医療を提供する”ことを理念としている当院は、これからも地域の皆さんの生命と健康を守るためのお役に立てるよう、がん治療や救急医療をはじめとした高度医療を提供し続けていく所存です。

茨城県立こども病院との統合の話がこれから本格化していきますが、統合準備を進めながらも日々の診療は続けてまいりますので、患者さんに不安な思いを抱かせぬよう、職員一同、これまで以上に患者さんのケアやサポートに心を配るよう努めてまいります。

どうか今後とも、当院に対する皆さんの温かいご理解とご支援をお願い申し上げます。

*写真提供……茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター

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