院長インタビュー

断らずに患者さんを受け入れ、地域への復帰に尽力する─竜王リハビリテーション病院

断らずに患者さんを受け入れ、地域への復帰に尽力する─竜王リハビリテーション病院
石井 博之 先生

竜王リハビリテーション病院 院長

石井 博之 先生

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この記事の最終更新は2018年10月01日です。

竜王リハビリテーション病院は山梨県甲斐市で回復期や慢性期医療の提供に努めています。法人内で連携を取ることで回復期や慢性期の患者さんが退院したあとも在宅医療や老人保健施設への入所をスムーズに行えるようにしています。どんな患者さんも断らずに受け入れる姿勢で地域の医療機関と連携しているため、さまざまな患者さんが同院へ転院されるそうです。2023年をめどに新設移転を計画している、医療法人仁和会 竜王リハビリテーション病院 院長、石井博之先生にお話を伺いました。

竜王リハビリテーション病院外観(竜王リハビリテーション病院よりご提供)

竜王リハビリテーション病院は、竜王外科医院として1972年に開院し、その後地域や時代のニーズに沿うことができるように1994年、竜王リハビリテーション病院として新たなスタートを切りました。当院がリハビリテーション病院にシフトしたときは、在宅医療やリハビリテーションの重要性が考えられるようになった時代でもありました。そういったニーズをいち早くくみ取り、病院機能をシフトしてきました。現在は当院を中心に訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所を開設して訪問看護や訪問リハビリテーションを提供しています。

回復期や慢性期、在宅医療を提供する中である程度の急性期医療を診療することも可能です。当院の医師たちは急性期病院で経験を積んできています。それぞれが培ってきた経験に基づいて診療をするため、カバーできる範囲が広くさまざまな病状の患者さんを受け入れることができます。

また、急性期の治療がひと段落しても在宅復帰に不安が残る方も少なくありません。そういった患者さんを院内でどうやったら受け入れられるかを検討し、なるべく断らないようにしています。

在宅総合ケアセンター外観(竜王リハビリテーション病院よりご提供)

急性期病院での治療がひと段落した方や、在宅医療を受けている方、施設に入所されている患者さんの容態が急変した際に受け入れを行っています。そのため法人内外の施設との連携はもちろん、急性期病院との密接な連携が不可欠です。

たとえば、当院では陽圧マスクなどで呼吸管理をされている方や神経系の患者さんも院内の職員と検討をして可能な限り受け入れています。なるべく断らずに受け入れることで、急性期病院や近隣の施設からも、対応の難しい患者さんをご紹介してもらうことが多くあります。

リハビリテーションを行う体育館(竜王リハビリテーション病院よりご提供)

当院では1983年からリハビリテーションの一環として音楽療法を導入しています。音楽療法は週に1回開催しており、体に麻痺の残る方や認知症の方、言語に障害がある方などが対象です。歌をうたうだけでなく、音楽に合わせて手や足を動かしています。音楽を聴くだけで癒しにもなりますが、手足や口を動かすトレーニングにもなっているようです。

音楽療法では院内のリハビリテーションスタッフも参加し、患者さんと一緒に楽しい時間を過ごしています。定期的に外部から講師の方をお招きし、参加した患者さんにさまざまなことを問いかけています。その歌が流行っていた時代のことや歌手のことなど、患者さん同士が語り合うことで昔のことを思い出し、「次はこの歌を少しでも歌えるようにしよう」といった気持ちが高まりリハビリテーションのモチベーション維持、向上につながると思います。

在宅復帰に向けたリハビリテーションのひとつに理学療法があります。脳卒中などで急性期医療を提供している医療機関での治療後、在宅復帰をした際に今まで通りの生活が送れるように、または少しの介助を受けながらでも生活ができるように運動能力の向上や維持をするためのリハビリテーションです。たとえば、家の中のちょっとした移動やトイレまで一人で歩いて行くことを目標にしています。

そのほかにも、ものづくりや趣味の活動を行う作業療法を通じて指先の細かい動きを練習する作業療法や脳卒中などの後遺症で呂律が回りにくくなってしまいコミュニケーションが取りにくくなってしまった患者さんへの言語聴覚療法や嚥下の評価・訓練なども行っています。

カンファレンスの様子(竜王リハビリテーション病院よりご提供)

仁和会の理念のもと当院でも医療の提供に努めています。ここでは仁和会の理念についてお話しいたします。

法人理念は「仁愛・向学・調和のとれた医療の実践」です。仁愛は患者さんに心を尽くし、手を尽くした医療の提供を意味しています。患者さんの中には在宅復帰や復帰後の生活に不安を持っている方もいらっしゃいます。入院生活の中で心をこめて患者さんに接することで、日常の不安を少しでも拭って在宅復帰を目指してほしいと思っています。

向学では職員のスキルアップを目的にしています。2017年から職員のスキルアップ、ひいては病院全体のスキルアップを目指して力を入れています。たとえば職員の研修や資格取得のための支援を充実させました。それぞれの職員がスキルアップすることで、個人のキャリアにもつながりますし、院内でのよりよい医療の提供につながると思います。

調和は法人内で在宅医療を提供していることもあり、法人内外での盛んな連携を意味しています。現在は地域の回復期や慢性期医療の提供を充実させ、患者さんがスムーズに次の医療を受けることができるように近隣の老人保健施設や急性期病院との連携を深めていっています。

現在では、医療相談室を含めた医療連携部を設置し、地域の医療機関との連携をさらに強化できるように尽力しています。

当院は地域において、急性期の医療を提供する病院ではありません。しかし、院内の医師はそれぞれが急性期病院で経験を積んできたため、ある程度の治療は可能です。また、慢性期医療の提供を主に行っているため、急性期から慢性期までの広い範囲をカバーすることができます。日々の診療から入院治療まで提供しているため、かかりつけ病院としての機能も持っていると思います。

院内に温泉も引いているため、入浴は温泉を使用しています。晴れの日には浴場から富士山を望め、リハビリテーションや日々の生活の癒しになっていればよいと思います。

入院から在宅復帰に向けたリハビリテーションの提供、在宅医療の提供まで対応しています。それぞれの患者さんやご家族のバックグラウンドを考慮して、よりよい方法を探して対応していますので、かかりつけ病院のひとつとして頼ってほしいと思います。

竜王リハビリテーション病院の浴室(竜王リハビリテーション病院よりご提供)
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