院長インタビュー

“使い勝手のよい総合病院”を目指し、院内改革に取り組む京都医療センター

“使い勝手のよい総合病院”を目指し、院内改革に取り組む京都医療センター
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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京都市伏見区にある国立病院機構 京都医療センターは、1908年に京都衛戎(きょうとえいじゅ)病院として設立され、2004年に独立行政法人国立病院機構 京都医療センターになりました。

地域の高度急性期医療の役割を担っている同院の役割や今後について、院長の小池 薫(こいけ かおる)先生にお話を伺いました。

外観

当院は京都市南東部の伏見区の中央部に位置している総合病院です。京都市の南東部は、中心部に比べて総合病院の数が多くありません。そのようななかで病床数を600床、診療科を38科有する当院は、同エリアにおいて地域の高度急性期医療の中心的な役割を担っています。

救急においては3次救急(生命に関わる重症患者に対応する救急医療)を担っており、“24時間365日断らない救急”をモットーに救急医療を提供しています。その中心になっているのが救命救急センターで、ERでの初療から救命救急センターでの集中治療管理まで、一貫した診療を行っています。

当院は専門的ながん医療を提供する、地域がん診療連携拠点病院に指定されています。大学病院に劣らない診療体制を整えており、全身を一度で詳しく調べることができるPET-CT検査や、手術支援ロボット“ダビンチ”を用いた手術などを患者さんに提供しているのが特徴です。

また、新しい診断や治療法を導入するだけでなく、がん相談支援センターや緩和ケア病棟を設けて、がん患者さんが安心して質の高いがん診療を受けられるようにしています。

当院が進めている院内改革の1つに、“DPC特定病院群の指定を目指す”というものがありました。DPC特定病院群とは、大学病院の本院に準じた診療密度と医師研修の実施、高度な医療技術の実施、重症患者に対する診療の実施ができることの証になります。

当院ではこれまで質の高い医療サービスを提供してきましたが、DPC特定病院群の要件をクリアできずにいて、医師やコメディカルスタッフは悔しい思いを募らせていました。そこで2年前から平均在日数の短縮などに取り組み、その成果もあって2024年の6月から目標としていた特定病院群に指定されました。

当院の理念と基本方針は、20年ほど前の独立行政法人化の際に作ったもので、現在の医療状況と乖離している部分もあるのではないかと思い、2024年の4月から見直しを始めました。そして、新たな理念を『私たちは患者さんとともに病気に立ち向かい、患者さんが安心できる質の高い医療を提供します。』としました。

作成するにあたって、さまざまな意見を職員と交わしました。たとえば“立ち向かう”という表現については、“向き合う”のほうがよいのではないかなどの意見もありました。しかし、患者さんの中には病気に必死の思いで立ち向かっている方がいらっしゃるので、“一緒に病気と闘ってほしい”という思いにも応えられるよう、“向き合う”という意味も含んでいる“立ち向かう”という表現を残しました。

こうして素晴らしい理念と基本方針ができ上がったのに加え、職員と熱く語り合えたことは、当院にとって大きな財産になりました。

たとえば、私たちが飲食店に行ったとき、お店が大変混雑していたとします。そのとき、お店のスタッフの方が「忙しい時にまたお客さんが来た…」などといったような雰囲気を醸し出していたらどうでしょう。やっぱりよい気分がしませんよね。

それと同じようなことが院内で起こっているようでは問題です。「紹介してくれれば当院で診ますよ」という感覚で患者さんや地域のクリニックの先生方と接するのではなく、「“地域の皆さんのお役に立ててうれしい”という気持ちを持ちながら接していきましょう」と職員には伝えています。

“使い勝手のよい病院”を目指して、地域のクリニックの先生方からの問い合わせに対するレスポンスを早くしていきたいと考えています。

クリニックの先生方が患者さんを紹介するために「いつ予約できますか」と問い合わせた際に回答時間が遅いと、目の前にいる患者さんに予約日をお伝えできなくてお困りになるはずです。場合によっては後から連絡をして、予約日のすり合わせをするという手間までかけさせてしまいます。

そこで当院では、先生方からの問い合わせに対してはなるべく早く回答することを目指しています。中には診療中の先生に確認しなければならないケースも想定されるため簡単ではありませんが、一つひとつ問題をクリアして実現していきたいと思います。

私は若い頃、柳田 邦男の著書『がん回廊の朝(あした)』を読み、“学閥を超えたがん診断治療をすべき”という思いに感銘を受けました。そこで外科医を目指して経験を重ね、いくつか挫折を味わいながらもここまで来ました。

現在、地域の中核的な医療機関である当院で専門性が高い医療を提供していることに喜びを感じていますが、その一方でまだまだ至らない点があることに忸怩(じくじ)たる思いも抱いています。そこで医師を目指し始めたころの熱い思いを思い出しながら、職員とともに院内改革に取り組んでいる最中です。

直近は患者さんやそのご家族、地域社会、職員など、病院に関わる全ての人にとって、親しみやすく満足が得られる病院を目指して理念と基本方針を刷新しました。今後も診療体制をさらに充実させるとともに、地域の皆さんにとって使い勝手のよい病院になるよう精進してまいりますので、いっそうのご愛顧とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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