院長インタビュー

スタッフが一丸となりチーム医療を提供する 貢川整形外科病院の取り組みと今後

スタッフが一丸となりチーム医療を提供する 貢川整形外科病院の取り組みと今後
池上 仁志 先生

医療法人小宮山会 貢川整形外科病院 病院長

池上 仁志 先生

この記事の最終更新は2018年06月25日です。

医療法人小宮山会 貢川整形外科病院は、山梨県甲府市に位置する医療機関です。1980年にリハビリテーションが中心の整形外科・眼科を診療する貢川温泉病院として誕生しました。その後、高齢化に伴い整形外科を必要とする患者さんが増加したことにより、1997年に貢川整形外科病院として、脊椎・人工関節の手術を中心とする病院へと変化しました。現在の院内にもリハビリテーションセンターが完備してあり、手術と共にリハビリテーションにも力を入れています。

病院の取り組みや今後の目標について、院長の池上仁志先生にお話を伺いました。

貢川整形外科病院ご提供

当院は「私たちは、現在出来得る最高の医療を目指し、患者さんと共に、全力でチーム医療にあたります」という、理念に基づいた病院です。

先に述べた病院理念は、医師、看護師、事務職員など病院に勤めるスタッフ全員が意見を出し合い、決定したものです。

私が院長に就任した当初は、私が決めたことをスタッフに伝えるトップダウン型の経営を行っていました。しかし、そのような日々が続くと次第にさまざまな問題が発生しました。そこで、トップダウン型の経営から、スタッフの意見を私が集めるボトムアップ型の経営方針へと変更しました。そのはじめとして、スタッフ全員で意見を出し合い理念をつくったのです。それ以降は、業務のなかで改善したい点を副院長に文書で提出する制度をつくるなど、スタッフの意見を大切にしています。そして、スタッフ全員で病院をつくりあげていくことが、よりよいチーム医療の提供にもつながっています。

理念にあるように当院では、現在できうる最高の医療を提供することを目指しています。そのため、スタッフには新しい医療知識を勉強する機会を頻繁に提供しています。たとえば、医師には積極的に学会へ参加することを勧めています。そして、医師だけではなく看護師も学会に参加することが可能です。

また、事務職員はどうしても毎日の仕事が同じことの繰り返しになってしまいがちです。しかし、そのなかでも新しい課題を見つけ改善していくことが必要です。そのため、事務職員をはじめさまざまな部署のスタッフが自分たちの仕事について発表をする、院内発表会を定期的に開催しています。

そして、学会へ積極的に参加したスタッフや院内発表会で優秀な発表をした部署にはしっかりと評価をし、スタッフのモチベーションを上げることで、自発的に学び、患者さんへ最先端の医療を提供できる環境を用意しています。

当院には2018年6月現在、日本脊椎脊髄病学会が認定した指導医が4名在籍しています。また、院内にはリハビリテーションセンターも備えています。専門的なスタッフとさまざまな医療機器を用意し、手術とリハビリの両方から患者さんの治療を支えています。

貢川整形外科病院ご提供

当院には2018年6月現在、BKP治療の認定資格を持った医師が在籍しています。BKP治療とは、脊髄圧迫骨折で損傷した椎体を元の形に戻す治療です。患者さんの痛みを和らげ、QOL(生活の質)の向上が期待できます。

また、診断の際にしっかりと病気を鑑別することも当院の特徴です。問診やCT・MRI・レントゲン検査に加え、筋電図という検査を実施しています。筋電図とは、患者さんの筋肉に針を刺し、そこに出る電気の波を観察する検査です。電気の波をみることで、脊椎の病気なのか関節の病気なのか、それとも糖尿病なのかなど、さまざまな病気を鑑別することが可能です。そして、当院では脊椎と関節の両方を診ています。当院を受診される患者さんの多くは脊椎疾患、関節疾患の両方から見られる複合的な症状を有していることがあります。この両疾患において明確に原因究明を行う体制が取られております。 従って脊椎と関節の病気が併発している患者さんであっても他の病院に通う必要はなく、当院のなかで治療を完結させることが可能です。

CT…エックス線を使って体の断面を撮影する検査

MRI…磁気を使い、体の断面を写す検査

当院では「手術とリハビリテーションは表裏一体」と考えています。どんなに手術がうまくいっても、リハビリがしっかりできなければ病気はよくなりません。リハビリをしっかり行うことで、手術治療の効果を更に高める事が可能である事から当院ではリハビリテーションセンターを完備し、効果的なリハビリテーションの提供に努めています。

また、手術を実施する医師とリハビリ療法士の連携も大切にしています。たとえば、週に2回、リハビリ療法士と医師が集まり症例検討会を実施しており、常に密な情報交換がされています。連携することで、リハビリ中の患者さんに異変があった際はすぐに医師のもとへ連絡がいき、スムーズな処置をすることができるのです。

貢川整形外科病院ご提供

脊椎の病気を持っている患者さんのなかには、手術が怖いという思いから病院に行かず、痛みを我慢しながら生活している方も少なくありません。しかし、そのまま病気を放置してしまうと、元の状態に戻すことが困難になるケースもあります。手術器具や麻酔などの進歩から、ここ20年間で手術の内容は大幅に変化し、より患者さんへの負担が少ない治療が可能になっています。まずは怖がらずに、診断を受けに病院へお越しいただくことが重要です。

そして、当院の治療の目標は「患者さん全員を自立歩行できる状態で自宅に帰す」ことです。患者さんの痛みをとり、自分で歩くことのできる状態で自宅に帰っていただくため、今後もスタッフが一丸となり治療にあたります。

若手医師を育成することも、当院の重要な務めだと考えています。後藤新平先生が残した言葉に、「医師は財を残すは3流。名を残すは2流。人を残して1流。」というものがあります。私はこの言葉を聞いたとき大変感銘を受け、私自身も後輩に真似られて恥ずかしくない医師でなければならないと強く感じました。そして、貢川整形外科病院では人を残せるような医師を育て、地域医療に貢献していこうと考えています。

後藤新平…明治から昭和初期にかけて活躍した医師・政治家。

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