連載海外 新型コロナ事情

ベルリンでロックダウンを2週間経験して あってよかった10のこと

公開日

2020年04月09日

更新日

2020年04月09日

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2020年04月09日

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この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2020年04月09日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

写真:pixta

JAMSNET会員リレーリポート~海外の新型コロナ対策【4】

日本では4月7日に東京など7都府県を対象に「緊急事態宣言」が出されました。ロックダウン(都市封鎖)を伴うものではなく、「外出などの自粛要請」にとどまっていますが、感染拡大を食い止めるには一人ひとりが行動を見直し、外部との接触を最小限にとどめることが求められています。こんな時、日常生活で必要になるものとは何でしょうか。海外居住経験を持つ医療・保健などのエキスパートが、国境をまたいで活躍する人々を支援する「JAMSNET」会員による現地リポート第4回は、ドイツ・ベルリンで一足早くロックダウンを経験した公衆衛生が専門の柏原誠さん(シャリテ・ベルリン医科大学国際課/千葉大学ドイツセンター・ベルリンオフィス勤務)が、「ロックダウン下の生活に必要なこと」を伝授してくださいました。

48歳お父さん目線、妻、子ども2人の4人家族編

ドイツでは3月22日にメルケル首相が全国民に向けて演説をし、「接触制限措置」が実施されました。患者数や発生時期により、「接触制限」「外出禁止」「外出制限」など規制の強さは州ごとに違い、私が住むベルリンは「接触制限」です(詳細は在ドイツ日本大使館の情報を参照)。この措置は4月19日までの予定とされていましたが、一部報道などによるとさらに2週間の延長が議論されているようです。

外出制限、いわゆるロックダウンの生活ってどんなのでしょうか? 基本的には生活必需品は実店舗で問題なく手に入ります。ですから買いだめの必要はありませんでした(もともとしてはいません)。自転車屋さんは開いています。ケーキ屋さんやチョコレート屋さんも開いています。その他のもので、日々の生活であってよかったと感動さえしたものを挙げてみたいと思います。あくまでも個人の感想です。土地や生活状況、家族構成が変わればその内容も大きく変わることでしょう。「そんな事もあるかいな」という程度の参考になれば幸いです。

基本編

1.インターネットとPC環境

インターネットの回線速度の確保とPCの性能のチェック。やはり何と言っても在宅時間が長い、特に我が家では夫婦がホームオフィスとなりました。ストリーミング(iTunes、Amazon、Netflixなど)やYouTubeなどの視聴のためにある程度の性能のPCやストリーミングができるテレビと十分な速度の回線は必要。子どもの学校などでもYouTubeで宿題が回ってきたり、わからない問題があったりした場合などにどこかの塾の講義を見たりします。また宿題がビデオで提出のこともありました。仕事ではオンラインミーティング、子どももオンライン雑談など、とにかく頻繁にオンラインでコミュニケートします。

2.散髪&散髪用具

子どもの散髪ができる程度のハサミやバリカンがあってよかったです。とにかくスッキリするのと、切ると気分転換になります。またストレスがたまると髪を切りたくなったり、清潔にしたくなったりするようです。

はさみとバリカン

3.電球

必需品なので手に入らないことはないのですが、夜などに切れてしまっても、明日まで待たなければならないのはとてもストレスに感じます。また家の中が暗いのも滅入るので、部屋は明るく保ちたいです。

電球

4.スポーティーな洋服とスニーカー

平日は仕事でオンライン会議や予定外のビデオ通信があったりするので難しいですが、週末はジャージやジョギング用などの格好で過ごすことは思いの外、快適でした。ふと散歩に出たくなった時にすぐ出られるのと、散歩に出た際に急に走りたくなった時にも怪しくないです。外出禁止と言われると、出ようという気もなかなか起こらない場合があります。その時に一瞬の心の動きに対応できます。着替えて出かけるという一手間が面倒で外出をやめることがなくなりました。やはり外を歩くと気持ちがいいし、気が晴れます。

中級編

5.ショッピングカート

1日家で過ごし3食を取ると結構な量の食料品を消費します。おやつなども結構食べることがわかりました。というより唯一の楽しみが食べること、となる可能性もあります。保存食や乾物など保存の効くものや飲料は特に重いので、カートがあると便利です。またカートとともに買い物に行くと必然的に歩くので、これも良い散歩と言えます。例え必需品であったとしても買い物をすると気が晴れます。

6.よく切れる包丁

5とセットと言えるかと思いますが、とにかく料理をします。良い包丁があるだけで料理が数段楽しくなるし、苦ではなくなります。「もっと切りたい」という欲求も出てくるくらいの切れる包丁は大切です。とにかくよく食べます……。

包丁

7.オンラインバンキングを整えておく

支払い請求は常に来ます。オンラインバンキングがあれば支払い遅延の心配がありません。またデビットカード&コンタクトレス支払いだとスーパーなどで買い物をした際の支払いで端末に触る必要もなくなります(日本ではおサイフ携帯などが広く普及しているのでこれを考えなくてもいい人は7-1へ)。ロックダウン以後現金を使っていません。

7-1.キャンプ用テント

家の中でも外にいる気分になります。夜そこで寝ると日常が非日常になり、子どもは喜びます。また思ってもいなかった効果ですが、家の中でプライベートスペースが簡単に作れます。視界を遮り4面が囲われると非常に落ち着きます。仕事をするでも良いし、読み物をしても、ただボーっとするだけでも、心に絶大な効果が得られます。

テント

8.自転車、もしくはシェアバイク登録

サイクリングは気持ちいいです。走るのが苦手な私でも自転車は苦になりません。人と車の少なくなった街を走るのは安全(交通事故の危険が減る)ですし、運動にも気晴らしにもなります。自転車屋さんは開いていますが、混んでいます。

人の少なくなった街

9.良い掃除機と掃除道具や工具

家にいる時間が長いと家をよく掃除します。清潔が一番です。気持ちも晴れます。良い掃除機があると掃除自体が楽しくなります。体を動かし一生懸命やると汗をかいたりします。また家の中の細かい修繕なども始まります。電動ねじ回しはいろいろなものの分解や組み立ての際に非常に有効です。いちいち手で回すのは結構疲れます。子どもが使わなくなった天体望遠鏡にクリップライトを組み込み、間接照明を作りました。家きれい、体きれい、心きれい。

上級編

10.ボードゲーム

家の中がストレスで殺伐とする中、楽しくコミュニケートできます。電子系(スマホやゲーム機器など)は基本的に1人の世界なので家族一緒にということにはなりにくい。ゲーム中は一喜一憂し、会話も弾みます。

ペットがいたり、自家用車を持っていたり、郊外に住んでいるか都市部に住んでいるかによっても違ってくると思います。不謹慎な言い方かもしれませんが、ユーモアを持って楽しんで生活する工夫が大事かと思います。

ドイツではこうした接触制限措置をみんなが守れば、感染拡大は落ち着いていくという見方がなされていますが、現実にはまだ、日々3桁の患者増が続いています。多くの人は周囲に患者がいないこともあり、3週間目に入ったこの生活にうんざりしている感じです。まだ気が緩む時期でもないのでしょうが、一時期よりも広場に人が集まっています。一方で、この不自由な生活のペースがつかめてきてもいるようです。

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