連載「健康経営の最前線」ー現場に聞いたリアルストーリー

社員の声を聞きヘルスリテラシーの向上を目指す―明治ホールディングスの健康経営

公開日

2025年01月20日

更新日

2025年01月20日

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2025年01月20日

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2016年から経済産業省が設立した「健康経営優良法人認定制度」。この健康経営では企業が従業員の健康管理を経営課題としてとらえて戦略的に取り組むことで従業員の生産性の向上や組織の活性化が期待されています。また認定企業のうち大企業上位500社には「ホワイト500」、業界を代表し健康経営に取り組む企業を「健康経営銘柄」など区分して顕彰制度を設けています。

2017年から「健康経営優良法人認定(ホワイト500)」を取得してきた明治ホールディングス株式会社(以下、明治ホールディングス)。「ホワイト500」に8年連続、2023年からは「健康経営銘柄」にも認定されている彼らが、組織内で健康に対する意識をどのように向け、どのような工夫をされているのかを伺いました。

インタビューに応じてくださった方:
明治ホールディングス株式会社 グループ人事戦略部 人事戦略グループ 戸田雄大さん

健康に関する事業を行う側の立場だからこそ「自分たちが健康であろう」という姿勢

――健康経営を始めたきっかけや、これまでの取り組みをお聞かせください。

明治ホールディングスは、食品と医薬品という健康に密接する事業を営んでいるので、まずは社員自らが「健康でないといけないよね、しっかり取り組んでいくべきだよね。」という観点で健康経営を推進してきたのがきっかけです。

――取り組みのなかで明治ホールディングス独自と感じる施策はありますか?

独自の施策は大きく2点あります。

1つ目は社員が健康に関する目標を自ら立て、進捗を図る「Kenko My Boom宣言」です。この「Kenko My Boom宣言」には個人で宣言して取り組む形式と、複数名のチームで計画して実施する形式の2つがあります。特に、チームでの参画ではコミュニケーションのきっかけにもなり、健康に関するアイデアが出やすかったり、主体的に参加しやすかったりするので、じわじわと認知度と参加率が上がってきています。

「Kenko My Boom宣言」が始まって今年で3年目ですが、現在は社員の約25%が参加する取り組みに成長しています。

また自分たちで計画した目標を達成した社員には、達成賞として健康グッズをお渡ししています。たとえば、グループ社員にアンケートを実施したところ、「睡眠」に関して関心が高いことが分かりました。そこで、温・冷切り替え可能なアイマスクなど、社員の関心が高い健康グッズをお渡ししています。社員が目標を立てて能動的に実施してくれる姿勢が、私たち運営側としては何よりも嬉しいです。

2つ目は、当社が健康に関する事業や製品を扱っているので、それらを担当する社内部署と連携して取り組みを推進できるのが強みであり特徴です。

たとえば、当社のプロテインやスポーツドリンクを扱う部署と一緒にスポーツ企画を実施し、関連製品を社員に手に取ってもらったりしています。

健康経営がシナジーを生み、有意義なモデルを作る

――グループ全体で取り組まれている施策はありますか?

従前よりグループ会社の株式会社 明治の広報部が食の大切さを伝える「食育セミナー」を学校や施設などの社外向けの取り組みとして実施してきていますが、社内向けにも実施できるのではと考え、同部に所属する社員(栄養士など)から当社の社員に向けて「食育セミナー」を実施してもらったりもしています。

またメンタルヘルス対策については以前から取り組みを実施していますが、コロナ禍を経てさらに強化すべき事項になりました。強化の一環として、グループ会社であるMeiji Seika ファルマ株式会社から紹介されたメンタルヘルスケアを専門とする医師にセミナーをしていただく取り組みも始めています。

真新しい取り組みを作っていくことよりも、コストをかけずとも社員に事業や製品について知ってもらいつつ、健康にもなってもらうことで、グループ内のシナジー向上にも寄与したいと思いながら推進しています。

――今後の目標や注力したいトピックはありますか

主に食事、生活習慣病の改善が大きな目標にありますが、特に喫煙については明治グループの役員全員に「吸いません」と宣言をしていただく取り組みを始めています。

また今年度は、部長クラス向けの卒煙に向けたセミナーも実施していく方針です。喫煙習慣のある方からすると前向きに取り組みづらいかもしれないですが、積極的に取り組んでいこうと思っています。

実は以前から明治グループ健康保険組合と連携し、禁煙するための通院費用を健康保険組合が負担する制度があったのですが、認知度が低い状況でした。

そのような制度の案内も含め、本人の経済的負担が少ない環境で、結果的に体の負担も減るという、好循環を生む仕組みづくりを工夫しています。

今後も、「喫煙0」を目標に継続的に取り組んでいきます。

社員の健康をリテラシーレベルで引き上げていきたい

――今後に向けた思いを教えてください。

今後も健康にまつわるさまざまな取り組みを積極的に行っていきたいと考えています。

一方、会社や運営側だけが取り組みにフォーカスするのではなく、社員の声を聞くこと、社員が前向きに取り組んでいるのかという考えが大事だと思っています。

そういった姿勢を持つことで、主体性を持って取り組む社員が増え、おのずと施策への参加率も増える。こういう考えを大事にこれからも推進していきたいです。

最終的な目標としては社員の「ヘルスリテラシーを向上する」ことです。そのため、社員の皆さんの声に耳を傾けながら一緒に取り組んで、最終的にお客さまやステークホルダーの皆さまから「meiji=健康」と認識していただけるサイクルを作っていきたいと強く思っています。

取材依頼は、お問い合わせフォームからお願いします。