膝の腫れ:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
筑波大学 医学医療系整形外科 准教授
國府田 正雄 先生【監修】
ぶつけたなどの心当たりがないにもかかわらず膝が腫れていると感じた場合、場合によっては注意が必要なこともあります。
このような場合に考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。
膝の腫れの原因となる病気は、主に次のようなものがあります。
膝の腫れの多くは、以下のような関節や骨の病気・ケガによって引き起こされます。
主に加齢によって膝関節の軟骨が老化してすり減ってしまい、膝の痛みや曲がりにくさなどがでる病気です。膝に水がたまり腫れる・痛むなどが主な症状です。
最初は歩き始めなどに痛みを感じ、安静にすることでよくなることが多いといわれています。変形が進行すると正座や階段の上り下りが難しくなり、膝が伸び切らず歩くのが困難になることもあります。
年齢のほか、肥満や遺伝も関係しているといわれています。女性がかかりやすいのも特徴のひとつです。
関節の内面を覆っている滑膜に炎症が起こり、関節の痛み・腫れ、こわばりなどが起きる病気です。免疫システムが誤って自分の細胞を攻撃してしまう、自己免疫疾患のひとつです。
手のこわばりなどから気づかれることが多い病気ですが、全身のどの部位にも痛みが出る可能性があり、膝の痛みの原因となることもあります。
痛風とは尿酸の結晶が関節や腎臓にたまる病気で、くるぶしや足首、足の親指の付け根などに強い痛みや腫れを起こすことのある病気です。
偽痛風はその名前から病気ではないと誤解されることもありますが、痛風とは原因が異なるだけで治療を必要とすることも多い病気です。尿酸ではなく主にピロリン酸カルシウムの結晶が原因となって起こります。痛風は男性、偽痛風は女性がかかりやすいともいわれています。
結晶が関節にたまることで膝をはじめとした関節の痛み、腫れ、赤みなどが現れます。強い痛みが2~3日続き1~2週間ほどで治まりますが、年に数回、痛みの発作が起きる人もいます。
成長期の子どもがジャンプやボールを蹴るスポーツを繰り返すことで起こるもので、膝のお皿の下の骨(脛骨結節)が徐々に飛び出したようになってきて痛みを伴います。熱を持つ、赤く腫れることもあります。
運動をやめて休むと痛みがよくなりますが、運動を再開するとまた痛み始めるのが特徴です。
膝関節の中にある半月板と呼ばれる部位やその周辺の靭帯が損傷を受けている状態で、多くはスポーツ中に膝をひねったなどの原因で起こります。半月板は膝関節でクッションのような役割をしているため、これが傷を受けることによって膝の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなり、膝が腫れることがあります。
膝全体が腫れていることに気づいた場合には、一度整形外科を受診したほうがよいでしょう。また、急激な激しい痛みを感じた場合や、動作によって痛みがひどくなるような場合には無理に動かさず、早めに受診することが大切です。
医師には膝の腫れにいつ気づいたのか、きっかけとなった出来事はあるか、普段スポーツをしたり膝に負担のかかる習慣などがないかどうかなど、できるだけ詳しく伝えることがポイントです。
日常生活上の原因によって膝の腫れが起こる場合もあります。
立ち仕事、スポーツ、肥満などによる膝への負担も、膝の痛みや腫れの引き金となります。できるだけ膝への負担を少なくするようにしましょう。
立ち仕事が続くときは適宜休憩をはさむなどし、膝を休ませるようにしましょう。スポーツなどをしている人の場合は十分に準備運動をし、違和感や痛みを感じた場合にはすぐに中止し無理をしないことが大切です。
また、肥満は膝に負担をかける大きな原因です。年齢とともに筋力が衰え、支える力は弱まっていくにも関わらず体重が重いと、膝への負担は何倍にもなるといわれています。年齢を重ねても健康的な膝を保つためには、適正体重を保つことが欠かせません。
以上のように日常生活を改善しても膝の腫れが治らないならば、思いもよらない原因が潜んでいる可能性があります。できるだけ早く医師に相談してみることも一つの手です。