インタビュー

写真から見る毛じらみ症の症状

写真から見る毛じらみ症の症状
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

毛じらみ症の症状については、これまでに「毛じらみ症の症状-必ずしも「かゆい」というわけではない」でもお伝えしてきました。この記事では引き続き毛じらみ症について、尾上泰彦先生に写真を交えて解説をしていただきました。

毛じらみ症とは?

シラミの仲間であるケジラミが寄生する性感染症で、主な症状は皮疹を伴わない陰部のかゆみです。このかゆみの感じ方には個人差があり、ケジラミが数匹寄生しただけで激しいかゆみを訴える患者さんがいらっしゃる一方で、ケジラミが多数寄生しているにもかかわらずかゆみをそれほど感じない患者さんもいらっしゃいます。かゆみをそれほど感じなかったケースとしては、副腎皮質ホルモン外用剤を使用している、悪性リンパ腫の患者さんの例があります。

かゆみのほかに、毛じらみ症に感染しているときにあらわれる変化として「下着に茶色い粉が付く」ということがあげられます。ケジラミはヒトの血液を吸って成長する吸血性昆虫です。茶色い粉というのはケジラミが吸血し消化した後のカス、つまりケジラミの糞便です。

ケジラミの糞便は茶色いカスとして確認することができるので、感染・治療の目安にすることができる
陰毛に寄生しているケジラミ。
ケジラミは陰股部に寄生することが多いが、肛門周辺や腋下、胸部で確認されることも

ケジラミとはどのような虫?

ヒトに寄生するシラミは「ケジラミ」のほかに「アタマジラミ」と「コロモジラミ」も該当しますが、このなかで性感染症として扱われるのは「ケジラミ」のみです。

ケジラミが好んで寄生する部位は陰股部ですが、ほかにも肛門周辺・腋毛・胸毛・大腿部などほかの部位にもケジラミを確認することがあります。

ケジラミ全身像。成体の体長は、メスは1.0~1.2mmオスは0.8~1.0mm

陰毛根元部分に植え付けられたケジラミの卵は、7日前後で孵化し、2週間ほどで成虫になります。成虫は3~4週間生存し、この期間にメスは30~40個の卵を産みます。このケジラミの卵は卵円形をしており、灰色がかった白色で光沢がありセメント様物質により毛の根本の部分にななめに固定されています。

卵の抜け殻。セメント様物質で固定されているために、孵化した後も長い間陰毛にとどまる

毛じらみ症の治療方法

毛じらみ症の治療薬として日本で認可されているのはいずれも市販薬で、0.4%フェノトリンパウダー(スミスリンパウダー®)と0.4%フェノトリンシャンプー(スミスリンL®)です。 フェノトリンパウダーはケジラミの寄生部位に適量を散布し1~2時間後に洗い流します。フェノトリンシャンプーは寄生部位に用い5分後に洗い流します。いずれの薬剤も卵には効果が弱いので、卵が孵化するまでの期間を見込んで3~4日ごとに3~4回繰り返し使用します。

「湿疹がないのに陰部がかゆい」「下着に茶色い粉がついている」これは毛じらみ症のサインといえるでしょう。このような違和感があったときには、すみやかに性感染症科(性病科)・皮膚科・婦人科・泌尿器科など、専門医による検査を受けるようにしましょう。