インタビュー

血液製剤使用が原因のC型肝炎訴訟

血液製剤使用が原因のC型肝炎訴訟
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

1999年4月から2009年の間に厚生労働省に報告されたC型肝炎は718件でした。このなかで 感染原因/感染経路が特定されているものは280件(うち10件の複数回答含む)、この280件のうち30件は血液製剤・輸血が原因とされています。

国を相手に、薬剤による感染被害を受けた方々によるC型肝炎訴訟が起こされましたが、この訴訟とは具体的にはどのようなものだったのでしょうか。そしてこの訴訟後どのような変化がおきたのでしょうか。

訴訟までの経緯

手術や出産時などによる大量出血の際に、一部の血液製剤(フィブリノゲン製剤や血液凝固第Ⅸ因子製剤)を使用したことでC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)に感染したと主張する患者(もしくは遺族)が、血液製剤の製造を承認した国と、血液製剤の製造・販売を行った製薬会社を相手に損害賠償を請求したのがC型肝炎訴訟です。

訴訟の変遷と基本合意

2002年大阪地方裁判所への提訴を皮切りに、東京・福岡・仙台・名古屋と全国の裁判所で訴訟が開始しました。

しかし各地の裁判所が下した判決に差が生じたことや、大阪高等裁判所での和解が難航したことを受けて「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」(以降「特定C型肝炎ウイルス感染者救済特別措置法」)が2008年1月16日に施行されました。これをうけて、厚生労働大臣と全国の原告団と弁護団との間で、紛争を解決するための基本合意書が締結されました。

訴訟後の動き

2008年に施行された「特定C型肝炎ウイルス感染者救済特別措置法」により、原告(被相続人)は当該血液製剤の投与を受けたという「事実」と、このことが原因でHCVに感染したという「因果関係」と「症状」との証明が司法手続きによって認められれば給付金を支給、紛争を解決できるようになりました。

この「特定C型肝炎ウイルス感染者救済特別措置法」は2012年に改正され、請求期限の延長(当初2013年1月15日までとされていた請求期限は、法律の改定により2018年1月15日までに延長)と、追加給付金(給付金支給10年後症状が進行した時に差額が支給されてきましたが、この期間が20年以内に変更)が見直されました。

 

血液製剤の検査体制が見直されたため、現在では血液製剤がHCVの感染原因となることは考えにくいです。C型肝炎の症状は、単なる体調不良としてとらえられがちです。しかしC 型肝炎は慢性化(キャリア化)することが多く、HCVの感染に気がつかずC型肝炎を放置してしまうと、肝硬変から肝臓がんへ侵攻する恐れがあります。

HCVは血液や体液を介して感染するために、C型肝炎は性感染症としてとらえることができる肝臓の病気です。体の悩みはそのまま放置していても何も解決しません。専門医に相談して不安を解消するようにしましょう。