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メニエール病とは?

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  • インタビュー
  • 公開日:2016/02/26
  • 更新日:2016/02/26
メニエール病とは?

「メニエール病」という病名を耳にしたことがある方は多いかもしれませんが、実際にどのような病気かご存じでしょうか? ストレスや疲労、睡眠不足が症状の悪化を招くこともあるメニエール病は、私たちにとって身近な病気とも言えます。引き続き、新潟大学耳鼻咽喉科学教授、堀井新先生にお話をうかがいました。

メニエール病とはどんな病気か?

メニエール病は、ぐるぐると回るような回転性のめまいに、耳鳴り・難聴・耳の詰まり感など耳の「聞こえ」の症状を伴い、このようなめまいの発作を反復する病気です。めまいの持続時間が長くなると吐き気や嘔吐といった症状も現れますが、言葉のもつれや意識障害、運動の障害を伴うことはありません。

難聴など聞こえの症状は発作後に症状が軽くなりますが、めまいの発作を繰り返すたびに悪くなる場合もあります。

メニエール病のめまいの特徴としては、以下が挙げられます。

・持続時間が長い(20分以上~数時間)

・誘因がなく突然起こる

・寝ていても座っていてもずっと回っている

発作の間隔は週に1回程度から年数回程度までとさまざまです。

病名は広く知られていますが、発症の頻度は良性発作性頭位めまい症(BPPV)よりも低い病気で、30代~40代の働き盛り、また最近では社会状況の変化により高齢の男性にも発症が多くなっているといわれています。

メニエール病が起こる原因は?

メニエール病は内耳の中に「内リンパ水腫(水ぶくれ)」ができることによって症状がおこります。根本的な原因は現在のところ不明ですが、めまいを悪化させたり誘発させたりする誘因として、ストレスや睡眠不足、過労が考えられています。

特にストレスは水腫を大きくしてしまう可能性もあり、内耳の水ぶくれを取る薬だけに頼っていても症状が改善しないこともあります。また内耳の水ぶくれにより耳石が剥がれやすくなることで、それに関連して良性発作性頭位変換性めまい症(BPPV)を起こすことも考えられます。

メニエール病の検査はどのように行われるのか

メニエール病の診断は主に聴力検査と眼振検査です。眼振が消えている時期であれば、カロリックテスト(※)を行います。また行える設備があればMRIで検査を行うこともあります。

※カロリックテスト…左右の耳に冷水や温水を入れて三半規管を刺激し、わざとめまいを誘発して、そのときに起こる眼振の様子を観察する検査

メニエール病の治療はどのように行われるのか

内リンパ水腫に対しては、イソバイド(浸透圧利尿薬)という液体の薬の内服を行い、加えて抗めまい薬の投与、また不安感が強い場合には抗不安薬の投与を行います。また、急性期(症状が急激に現れるとき)には服薬が難しくなるので、点滴や静注薬の投与を行う場合もあります。

救急であっても二時間程度の点滴や睡眠をとることで、大体治まることが多いです。また原因の部分でも述べていますが、メニエール病にはストレスが大きく関わっています。

例えば、症状が少しずつ落ち着いてきていた場合でも、環境の変化や社会的変化の影響で大きなストレスを受け、再びめまいの発作が起きてしまうこともあるのです。そのためメニエール病の改善には、ストレスコントロールをしっかりすること、またしっかり良い睡眠をとること、過労を避けることが大切です。

メニエール病で手術を行う場合

内服やストレスコントロールを続けていても、月に何回も発作を起こしているような場合、次の段階として手術という選択肢があります。手術を受ける割合としては、BPPVで手術を受ける患者さんよりも、メニエール病で手術を受ける患者さんの方が少し多いです。

手術には、入院を伴う手術と外来で行える手術の2通りがあります。

・内リンパ嚢開放術(入院が必要)

「内リンパ嚢開放術」は、内リンパ水腫を引かせるために、中耳の側頭骨を削開(切り開く)し、内リンパ嚢というのを出して、それを切開し内リンパ液を排出したうえで、ステロイドの粉末をリンパ嚢の中に入れるという手術です。

ただし、一度開放した内リンパ水腫はいずれふさがってくるため、効果は永続的ではありません。しかし、めまいの発作が頻発することで不安やストレスが増え、病気が悪化するという悪循環を防ぐことができるので、手術をする意味は十分にあると言えます。

この手術は、内耳機能を温存する手術なので、難聴に対するリスクは少なく、一次的に耳の中(内耳ではなく中耳)に水が溜まり一瞬耳の「聞こえ」がこもった感じになることはあります。しかし、長期的にみてそれほど大きな副作用はありません。

・ゲンタマイシン鼓室内注入術(外来で可能)

「ゲンタマイシン鼓室内注入術」は、3日ほど連続で1日1回ゲンタマイシンという抗生物質の溶液を経鼓膜に入れ、内耳の前庭系の有毛細胞(バランスをとるための信号を脳に送る仕組み)に障害を起こす方法です。

障害を起こすことで、内耳の悪い信号が中枢に伝わりにくくなり、めまいも起こりづらくなります。ただし、めまいに対しての治療であるため内リンパ水腫は残ります。まためまいが完全におさまっても、副作用として難聴が出るという可能性もゼロではありません。しかし元々難聴の症状が出ていた場合、手術によってめまいが改善しストレスが軽減したことで、聴力が回復するという場合も多くあります。

堀井 新

堀井 新先生

新潟大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 学分野教授

大阪逓信病院、大阪大学医学部耳鼻咽喉科学教室、ニュージーランド・オタゴ大学を経て現在は新潟大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野で教授を務める。めまい診療における本邦のトップランナーとして広く知られている。

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