インタビュー

めまいとは 注意すべき危険なめまいは?

めまいとは 注意すべき危険なめまいは?
堀井 新 先生

新潟大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野 教授

堀井 新 先生

この記事の最終更新は2016年02月23日です。

めまいは非常にありふれた症状であり、経験された方も多いでしょう。では、めまいとはそもそもどのような症状を指すのでしょうか。また、注意すべきことは何なのでしょうか。ここでは日本におけるめまい診療のトップランナーである新潟大学耳鼻咽喉科学教授、堀井新先生にお話し頂きました。

めまいとは「目がまわること、目がくらむこと」と定義されており、実際にはゆれていないにも関わらず「周囲がゆれている」「自分自身がぐるぐる回っている」「ふわふわする」「ふらふらする」「地震が起きているよう」などさまざまな表現の仕方をされます。国民生活基礎調査によると全国民の内240万人がめまいを経験したことがあると言われており、よくある症状と考えることができます。しかし、めまいは時に危険な病気が原因となっていることがあります。

めまいの種類は大きく分けて3種類あります。

・回転性のめまい

「周囲がぐるぐる回る」「自分自身が回転している」「自分自身も周囲もぐるぐる回っている」などと表現されるものを回転性めまいと言います。眼振(目が揺れ動くこと)吐き気・嘔吐、耳鳴り、難聴などを伴うことがあります。

耳(内耳)や脳の平衡機能を保つ部分など、体の平衡機能(バランスを保持するための機能)に何らかの異常が起きると、このような回転性めまいが引き起こされることがあります。良性発作性頭位性めまい症・メニエール病突発性難聴などが原因となることがあります。また、精神的な問題やストレスが原因となることもあります。

・浮動性・動揺性のめまい

「ふわふわする」「ゆらゆらする」「車酔いが続くような感じ」「船に乗っているような感じで気分が悪い」などと表現されるものを浮動性・動揺性のめまいといいます。こちらも吐き気・嘔吐や時に頭痛を伴うことがあります。脳、特に小脳や視覚系が障害されることによって、このようなめまいが起こります。脳血管障害や脳腫瘍が原因となるほか、精神的な問題やストレスが原因となることもあります。

・失神

失神も「めまい」と表現されることがあります。失神とは脳に流れる血流量が減ることによる一時的な意識消失で、一時的に視力喪失を伴うこともあります。失神の中には心臓や血管が原因となる危険な病気が含まれることもあり、気をつけなければいけません。失神は立ちくらみと表現されることもあります。

参考:「失神とは―初めての失神は要注意!

「危険なめまい」とは、脳血管障害を疑うめまいを指します。特に危険なのは初めてのめまいで、高齢の方や高血圧糖尿病脂質異常症などの生活習慣病を多くお持ちの方はリスクが高く、脳血管障害を強く疑う必要があります。また非常にきつい頭痛とめまいを伴う場合にも注意が必要です。その他ですと感覚障害や麻痺を伴うめまいも脳血管障害が疑ったほうがよいでしょう。

「耳鳴り・難聴・耳閉感」など、耳の症状伴うめまいは耳が原因(内耳性のめまい)のことが多く、脳血管障害より緊急性は低くなります。吐き気については、脳血管障害でも内耳性でも伴うことが多いので、危険なめまいであるかどうかの判断基準にはなりにくいと考えます。

上記の危険なめまいに当てはまる場合や初めて発するめまいの場合は、危険なめまいかどうかを診てもらうために救急外来を受診した方がよいでしょう。その後何度もめまいを繰り返すようでしたら、めまい外来や耳鼻咽喉科などで専門的な検査を行いながら診断します。しかしいくら検査・診察をしても原因が分からないめまいも、4分の1程度あります。

 

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