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インタビュー

子どものやけどの応急処置 初期対応のポイント

子どものやけどの応急処置 初期対応のポイント
池山 由紀 先生

あいち小児保健医療総合センター 救急科医長

池山 由紀 先生

子どものやけどは応急処置を的確に行うことで、重症化をある程度防げる可能性があります。記事1『子どもがやけどをしてしまったとき すぐに見るべきポイントは何か』に引き続き、子どもがやけどをしたときの応急処置についてご説明します。自宅での初期対応から病院へ行くときの目安、治療後ご家庭でできる処置のポイントにいたるまで、あいち小児保健医療総合センター救急科医長の池山由紀先生にお話しいただきました。

やけどがどの程度の深さまで達するかは、原因となる物体の「熱さ」と物体への「接触時間」で決まります。つまり、なるべく早く原因となる物体を身体から離して、なるべく早く冷やすことが大切なのです。

ストーブなどの固体であれば、子どもから比較的容易に引き離すことができます。しかし、スープや熱湯などの液体の場合は、流水で洗い流さなければ熱い液体が受傷部位に残ることになります。受傷部位の損傷は、残った液体によってじわじわと深層部まで及んでいきます。よって、身体から液体を洗い流すためにも、なるべく早く流水で冷やしてください。

自宅の水道水を流し続けて患部に当てるだけで十分な効果があります。冷やす時間については様々な意見がありますが、最低でも5分以上は冷やすのが望ましいでしょう。また、冷やしすぎて低体温にならないように気を付けます。

やけどが広範囲に及んでいる場合、氷を直接患部に当てるのは困難です。氷水をバケツに入れて冷やす方法もありますが、子どもにとっては冷たすぎます。ですから冷やす際に、無理に氷を使用する必要はありません。液体の形状によっては、入念に流水で洗い流す必要があります。例えば、コーヒーなどのさらさらした液体は流水をあてるだけで流れ落ちますが、おかゆなどのねっとりしたゲル状のものは皮膚から離れづらく、流水を軽く当てるだけでは流れ落ちないためです。

やけどした部分を長時間冷やすと、神経感覚が麻痺するため痛みが和らいできます。低体温にならないよう注意すれば、患部を冷やし続けて大きな問題はありません。やけどの範囲が広い場合は、水道での冷却は難しいためシャワーが適切でしょう。ただしシャワーを用いる場合は、全身に冷水がかかって低体温になりやすいため注意が必要です。

子どもがやけどをすると「まずは子どもの衣服を脱がせなければいけない」と考える方も多いのですが、脱がせるのは処置の後です。冷やす前に脱がせるのに時間がかかればかかるほど、やけどによる損傷が進行してしまいます。また、洋服と皮膚がくっついており、無理に脱がせると皮膚が剥がれてしまう可能性もあります。洋服を脱がせるよりも、「できる限り早く」洋服の上からでも患部を冷やすことに意識を集中しましょう。

確かに衣服の下のやけどは、一目でやけどの範囲がどこまで及んだか判断できません。しかし、繰り返しますが、まず重要なのは「できる限り早く」冷やすことです。(記事1『子どもがやけどをしてしまったとき すぐに見るべきポイントは何か』を参照ください)。しっかり冷やした上で、なるべく早く病院を受診してください。つまり、詳細な受傷範囲の確認は病院を受診してからでも構わないのです。

様々な軟膏や被覆材があり、使用方法などの細かな点は医療機関によっても異なります。軟膏や被覆材の使用はそれだけ難しい判断ということです。そのため、受診する前に軟膏を塗布する必要はありません。受診前に軟膏を塗ってしまうと、医療機関で患部をもう一度洗い流す必要があります。これは子どもにとって大きな負担がかかります。

もしも、流水で冷やす間に水疱(水ぶくれ)が破れても慌てる必要はありません。広範囲のやけどは水疱(水ぶくれ)が生じることも多いため、破れてしまうこともしばしばあります。気にし過ぎず、その上から冷やしましょう。

 

「こどもの様子がおかしい」と思ったときは、日本小児科学会が運営する「こどもの救急(ONLINEQQ)」も参考にしてみてください。

 

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