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インタビュー

公開日 : 2017 年 01 月 27 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

限られた医療資源をフル活用-病床数や医師不足に負けない「さいたま市民医療センター」の取り組み

埼玉県は全国的に見ても人口に対する医師・看護師などの絶対数が少なく、地域全体の医療を支えるための医療資源が不足していることが課題となっています。さいたま市民医療センターの地域医療への取り組みについて、病院長の加計正文先生にお話をうかがいました。

埼玉の特殊な状況-病床数や医師数など医療リソースの不足に伴う都心部への患者流出

さいたま市

なぜ、流出が起こるのか?

さいたま市周辺地域では、医療を受ける方の人口流動が激しいという特殊な状況があります。まずひとつの特徴は医療流出です。これはさいたま市に住んでいる方が東京へ医療を受けに行くということを意味しています。もちろん、その逆に東京に住んでいてさいたま市に医療を受けに来る方もいらっしゃいますが、圧倒的に流出のほうが多いといえます。その原因は、この地域において医療のリソースが不足しているということにあります。

病床数や医師・看護師数などの不足

高齢になった患者さんは東京へ行こうにも体力がなくなって動けなくなり、もともと住んでいたところへ戻らざるをえなくなります。しかし、その受け皿としての我々医療側の体制が埼玉県全体として不足しています。近年のデータでも、埼玉県の人口当たりの病床数や医師・看護師・その他医療技術職(薬剤師・理学療法士・作業療法士・診療放射線技師)の数は全国で最下位レベルとなっています。

こうした状況を打開する鍵は「連携」と「ハイブリッドな医師の育成」

このように人的リソースの絶対数が圧倒的に少ない状況下では、「機能的な連携」を深めていく必要があります。医師も看護師も足りない中で、どのようにカバーして医療の満足度を向上させていくかということを考えると「連携」しかありませんし、ひとりの医師が専門医的な観点ではなく、総合医的な見方で取り組むしかないと考えます。つまり、ハイブリッドな医師を目指す必要があり、そのための養成・教育が大切なのです。それは私が自治医科大学でも取り組んできた部分でもあります。

理想と現実のギャップを埋めるには-地域とのつながりを深め、取り組みを知ってもらうことが必要

理想はまさに今申し上げた通りなのですが、現実的な活動をどう展開していくかということが問題となります。それにはまず我々の取り組みを広報活動によって周知していくことが大切です。そして、もうひとつは地域の医師の方々とのつながりを深めていくことです。さいたま市民医療センターは地域医療支援型の病院として、地域の開業医をバックアップするという役割があります。その点でもできるだけ満足度を高めていくことが必要です。そのために開業医の方々を招いてケース・カンファレンス(症例や実践例の評価・分析)や講演会を実施するなどの活動も行っています。

病院ごとに得意な領域を提供し補い合う

また、地域には100床以上の病院がいくつかありますので、それらの病院とさらに連携を深めていくことも重要であると考えています。病院には施設ごとにそれぞれ得意・不得意がありますから、お互いに得意な領域を提供し合い、不得意な部分はお互いに助けてもらうという観点を持たなければなりません。

ひとつの病院だけで完結しようと思っても、それにはやはり限界があります。今後はすべてのリソースを使っていくように医療体制を組織化していくことが必要とされます。そうしなければ不足しているマンパワーをカバーすることはなかなか難しいでしょう。しかし、それを着実に実行していくことで、それがこの病院の魅力につながり、自ずと人が集まるようになっていくのではないかと考えています。

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