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インタビュー

公開日 : 2017 年 01 月 28 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

2つの面を兼ね備えた「多能性医師」が地域を支える-さいたま市民医療センターが目指す研修医教育とは

さいたま市民医療センターは地域医療の中核であると同時に、研修医の教育機関としての役割も持っています。大学病院のような専門医中心の教育ではなく、総合的な診療能力と専門領域の両面を兼ね備えた「多能性医師」の育成を目指す研修医教育について、さいたま市民医療センター病院長の加計正文先生にお話をうかがいました。

総合的な診療能力をもつことの意味

若い医師

今の初期研修医は専門医への志向が強い部分があり、若い医師は皆、早く専門医の認定を取りたいと考える傾向にあります。昔は「学位を取得したい」と思っていた医師が多かったのですが、今は学位を取りたいと思っている若い医師は3分の1にも満たず、それ以外のほとんどは専門医を取りたいと思っています。しかも、その専門医もできるだけ早く取りたいと考えています。これは今の専門医制度が、ある意味早く取れるような方向づけをしているということがあるからではないかと考えられます。

専門医の取得ばかりに走ってしまうと総合的な見方が不足していき、その結果、専門の領域の医療は提供できても自分の専門以外の医療は提供できないということになってしまっては困ります。ですから、総合医を育てながら、なおかつ専門医も取れるようにサポートをしていき、専門性を持ちながら総合的な見方もできるという二面性を持った医師を育てる必要があります。

特にこのさいたま市西部地域ではそういったニーズに応える医師が不足しており、おそらくこの先10年から20年はまだまだ必要とされるのではないかと思っています。

研修医教育施設としてのさいたま市民医療センター

さいたま市民医療センター
さいたま市民医療センター外観
(写真提供:さいたま市民医療センター)

さいたま市民医療センターでは平成29年度から初期臨床研修医を採用できるようになりました。2016年に厚生労働省へ申請をして8月に承認が下りたというタイミングであったため、広報・周知の期間が短いという心配もありましたが、募集定員2名に対して4名の応募があり、すでに採用を内定しています。来年からは応募者数をもっと増やしていけるように努力しなければなりませんし、できれば今後は採用定員も増やしていきたいと考えています。

さいたま市民医療センターは医師臨床研修マッチングシステムに参加しています。これは研修を受けようとする医師と研修を行う医療機関のそれぞれの希望を踏まえて、一定のアルゴリズム(規則)に基づいてコンピューターで組み合わせを決定するシステムです。平成28年度の埼玉県のマッチ率は73%でしたが、ほんの4、5年前までは50%を切っていたこともありました。その後、マッチ率は年々少しずつ良くなりようやく70%を超えましたが、まだ30%近く足りない状態となっています。

埼玉県出身の若い医師もいますが、多くが東京・神奈川へ行ってしまうため、本当の意味での埼玉県のための医療者としてのリソースはやはり不足しています。現在、少しずつ改善はしているのですが、まだまだ足りないというのが現状です。

さいたま市民医療センターは地域医療の拠点であると同時に教育病院としての役割も持っています。ですから、やはり教育を一緒に行っていくことで若い医師に来てもらえるようにしなければなりません。我々も年齢を重ねると新しいことに取り組むのがだんだん難しくなり、既成のことしかできなくなってきます。しかし、若い医師が入ってくれば、彼らに対して教育をしていくために我々も勉強する必要がありますし、お互いに活性化できるきっかけにもなります。

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