【疾患啓発(スポンサード)】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 fb375234 58fb 4cc8 a861 e48184b26c31
ジェネラルマインドを持つ小児科医を育てるために
記事1『小児救急領域における開業医と勤務医の新しい協働のカタチ』では、千葉市立海浜病院で行われている開業医と勤務医が協働した救急外来のかたちについてお話いただきました。これは全国的にみても珍しく...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

ジェネラルマインドを持つ小児科医を育てるために

公開日 2017 年 02 月 05 日 | 更新日 2018 年 09 月 20 日

ジェネラルマインドを持つ小児科医を育てるために
寺井 勝 先生

千葉市立海浜病院 病院長

寺井 勝 先生

記事1『小児救急領域における開業医と勤務医の新しい協働のカタチ』では、千葉市立海浜病院で行われている開業医と勤務医が協働した救急外来のかたちについてお話いただきました。これは全国的にみても珍しく、集約化が進む小児医療の現場において新しいモデルとして注目されつつあります。

今回は、千葉市立海浜病院の小児医療の特色について引き続き、院長で小児科医である寺井勝先生にお伺いしました。

千葉市立海浜病院の小児医療〜こどもの全身を診る

小児病棟から見える富士山 写真提供:千葉市立海浜病院

小児病棟から見える富士山 写真提供:千葉市立海浜病院

 

現在(2017年5月時点)、千葉市立海浜病院は小児科医16名、新生児科医7名、合わせて23名の医師で市内のこどもたちに医療を提供しています。平均年齢も30代と若く、大変活気付いています。

千葉県内には小児科医の充実した病院は限られています。記事1『小児救急領域における開業医と勤務医の新しい協働のカタチ』で取り上げた小児科の救急外来の特色ある体制もあり、小児科医を目指す医師はもちろん、最近取り上げられるようになった「総合医」を目指す医師が小児科の研修に来られています。米国ではホスピタリストという総合医が中心に位置し、必要な時に循環器や感染症などの専門医にコンサルトする仕組みが浸透していますね。日本のジェネラルホスピタルに働く小児科医は米国のホスピタリストに近い役割を担っていると言えます。

(参考記事:総合医とは-「ホスピタリスト」とは?アメリカと日本の医療体制の違いと、日本の病院が抱える課題点

「こどもの全身を診る」〜小児救急医療で学ぶこと

救急医療に特色のある千葉市立海浜病院は、日頃経験できない様々な疾患の初期症状を学ぶ重要な機会となります。同時に、こどもの貧困化、ひとり親の増加、さらには現代社会が産み出しているこどもたちを取り巻く現実に向き合い、対応することも小児科医に求められます。

(参考記事:児童虐待の早期発見・介入のために)

日本では、小児病院がどこにでも整備され、小児科においても専門分化が進み乳児死亡率も世界のトップクラスになりましたが、私が危惧しているのは、専門性を磨くことで「こどもの全身を診る」という小児科医の誇りが希薄になるのではないかということです。日本小児科学会でも「小児科医は子どもの総合医」であるというメッセージを強く打ち出しました。

小児医療も「キュアからケア」が求められる時代に

「こどもたちの命を救う」ことが求められた時代

戦後の日本は乳児死亡率が高い国でした。わたしが医師になったのは昭和53年ですが、人工心肺装置や人工呼吸器が十分に機能できなかったために、手術が出来る年齢まで体重が増えず、がりがりになって頑張りながらも手術までたどり着けなかった心臓病のこどもたち、無菌室がなく感染症を併発、あるいは薬物の副作用に苦しむ急性白血病のこどもたちが大勢、小児病棟にはあふれていました。そして、先天性心疾患や急性白血病のこどもたちの死亡診断書をたくさん書きました。当時は、こどもたちの命を救う、つまり「キュア」を目指した時代だったのです。

「キュアからケア」も求められる時代に

専門医制度の歴史的経緯から、小児科と内科では事情がかなり異なるのですが、小児科でも大学やこども病院においてsubspecialty専門医が大勢育っています。

現行の専門医制度では、小児科医を目指す医師はまず小児科専門医資格を取得したのち、いわゆる「二階建て」と言われる循環器・感染症・神経・アレルギー・集中治療・血液・内分泌・腎臓・新生児などsubspecialty専門医の資格を得ることのできる仕組みになっています。例えば、こどもの循環器の専門医としてスキルを高めることができれば、心臓病のこどもたちのキュアにつながっていきます。

この20年、小児科のsubspecialty専門医が急速に育っていった日本において、ジェネラルマインドを持った小児科医の育成が再び求められる時代になったと私は強く感じています。専門医制度がなかった時代の小児科医はすべてのこどもたちを診ることが責務でありそれが出来た時代でした。小児の専門病院が整備され、小児科医が小児のsubspecialty専門医を目指したことで救命率が格段に向上しました。問題は、仕組みも医師のマインドも縦割りになり過ぎることで、迷子になるこどもたちが生じることです。つまり、ジェネラルと専門性のバランスと連携が重要になってきます。

わたしたち小児科医は、命が助かったこどもたち、幼くてして障がいと向き合うこどもたち、このようなこどもたちを長くケアする時代に向き合っています。かれらを縦長にケアしていく移行期医療も今後益々重要になってくると思います。

(参考記事:移行期医療の確立に重要なこと)

千葉市の小児医療を牽引していくために

ジェネラルマインドの醸成

千葉市立海浜病院の小児救急医療の現場はsubspecialtyを持った小児科医であっても常日頃ジェネラルマインドをもつ小児科医として働いています。小児救急患者の数も多く、こどもの入院患者数は年間2,200〜2,300名にのぼります。救急外来の現場では、小児科医に代わって外科医がみることの多い外因性の疾患(怪我など)も小児科医が初期対応をすることになります。

また、記事1「小児救急医療の挑戦〜-トリアージを活用した開業医と勤務医の新しい協働のカタチ」で述べたように、地域で活躍する様々な経験や専門性をお持ちの開業の先生との交流を深めながら成長できる環境にあります。開業医には小児内科だけでなく小児外科を専門とする先生もいらっしゃいます。これから専門性を高めたいと考えている若い小児科医にとって、救急医療の経験と医師会との交流は貴重なものになると感じています。

女性医師が活躍できる、学びの大きい病院づくり

千葉市立海浜病院の飾り付け

保育士によるケア

現在、市立海浜病院の小児科医は男女比が1:1ととてもバランスがよく、院内保育所の完備や千葉市よる短時間勤務制度の整備もあり、女性の医師にも働きやすい環境が整っています。出産したばかりの女性にも本人の希望に応じて、早めに復帰し、活躍できるようにしています。復帰直後は短時間常勤医として研修・診療の再開をしつつ子育ても行なっています。これらはある程度医師の数が多くなければなし得ないことだと思っています。

10年後に必要な小児医療を今から始める

これまで述べてきましたように、千葉市立海浜病院の小児科では若い医師や女性の医師も活躍し、地域のこどもたちの健康と成長を支えています。救急医療現場を経験でき、数多くの入院患者を担当することで、ジェネラルマインドを培うことができます。小児の循環や神経、小児外科などの小児のsubspecialty専門医と連携した小児医療も経験することで小児科医として大きく成長することが出来るでしょう。

「こどもの全身を診る」小児科医が育った千葉市立海浜病院では、こどもたちを縦長にケアする移行期医療も可能とするジェネラルホスピタルとしての使命があると思うのです。

そして、多くの小児科医を抱える社会的責務が新たに発生します。千葉市のこどもたちだけではなく、市外の過疎地のこどもたちにどのようにアウトリーチして支援していくか、予防医療を含めて、千葉市の小児医療の拠点病院として、10年後、20年後に必要な小児医療を見据えた準備を今からしていくことが求められています。

 

小児救急市民公開フォーラムの開催

小児救急市民公開フォーラム(平成29年11月11日@千葉)について詳しくはこちら

画像をクリックするとPDFがダウンロードできます。


 

小児救急医療(寺井勝先生)の連載記事

千葉大学医学部を卒業し、小児科医としてスタート。小児の循環器を学び、千葉県の小児循環器の普及に係わる。また、千葉県八千代市の大学病院立ち上げに参加、小児救急医療の立ち上げ、病院長として地域医療に係わる。現在、千葉市立海浜病院の勤務医として千葉市の小児医療に携わり、こどもたちに信頼される小児医療の推進を目指している。