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第67回日本病院学会講演―日本病院会 相澤孝夫会長講演「変化を創出しなければならない時代における病院のあり方」レポート

第67回日本病院学会講演―日本病院会 相澤孝夫会長講演「変化を創出しなければならない時代における病院のあり方」レポート
[医師監修] メディカルノート編集部

[医師監修] メディカルノート編集部

2017年7月20日(木)、21日(金)の2日間にわたり、神戸国際会議場ならびに神戸ポートピアホテルにて第67回日本病院学会が開催されました。

本会のテーマは「医療人育成ルネサンス」。患者さんに寄り添う心と覚悟を持った「真の医療人」の育成へと立ち返ることを目指し、さまざまな発表やディスカッションが行われました。

開会式では、学会長であられる内藤嘉之先生の講演に続き、日本病院会会長の相澤 孝夫先生による講演が行われました。本記事では、相澤先生の講演内容をダイジェストでレポートします。

皆さんもご存じのように、日本ではすでに人口減少が始まっています。その一方、高齢者の人口は増加しており、団塊の世帯が75歳以上になる2025年には、さらなる高齢者の増加が見込まれています。

人口の変化は地域によって特徴が異なります。高齢者が急増する地域もあれば、劇的に増加することのない地域もあります。

相澤先生 講演

この高齢者の増加に加え、人口の変化から生じる大きな問題に、働き手の減少があります。

たとえば、人口5万人以下の市区町村では、高齢者は増加しますが非常にわずかです。このため、一番の問題は、高齢者の増加よりも働く世代が激減することにあります。

2017年現在、2人の働き手が1人の高齢者の生活を支えているような状態ですが、2060年には働き手1人に対して高齢者1人を支える状態になります。

要するに、高齢者が増加することは問題なのですが、働き世代の減少が日本の医療や社会に与える影響は極めて大きいことが予想されています。

相澤先生 講演

高齢者の増加に伴い、高齢者の単身世帯が増加していきます。単身世帯である場合、その方が何らかの疾病に罹患し生活障害が起こると、お一人で暮らすことが難しくなります。

さらに、高齢者の増加に伴い老老世帯も増加することが見込まれています。老老世帯であると、どちらかがどちらかの介護をしているケースも少なくありません。この場合、介護をしている方が倒れてしまうと、お二人とも生活ができなくなってしまいます。

これらのように、生活が困難になる状態を防ぐためには、高齢者の生活の場をどうするかということが課題となるでしょう。

また、高齢者の増加に伴い、認知症の方が増加することが見込まれています。2017年現在、280万人を少し超える程度の認知症の患者数ですが、2025年には470万人まで増加するといわれています。

認知症には見守り等の生活支援が必要になってくるため、生活する場に加え、暮らし方をどのようにするかということが大きな課題になります。

また、ご高齢の方が増加するほど亡くなる方も増えていきます。人生の終末期をどこでどう過ごしていくのか、暮らす場と暮らし方がここでも課題になってくるでしょう。

超高齢社会に伴い、社会保障費が増加することはよく知られていることでしょう。この社会保障費は保険料を中心に賄われているのですが、保険料の徴収料よりも供給費の方が多いため足りない分を公費が負担している現状は、よく知られていることなのではないでしょうか。

社会保障制度改革国民会議は、2013年8月に最終報告書をだしました。それを受け社会保障改革プログラムが交付され、順次、さまざまな法の改正等が進められています。

この社会保障制度改革国民会議の元で、医療・介護の分野では大きく以下の二つのことがなされています。

まず一つ目は、患者さんがその状態にふさわしい病床で適切な医療を受けることができるよう病床機能分化と連携を進めることです。同時に、入院期間を減らし早期の社会復帰を実現していくために在宅医療・在宅介護を充実させていく予定です。

この病床機能分化の実施においては、病院のみならず地域の診療所も組み込むことで、地域全体のネットワークをつくることが重要になるでしょう。

もう一つは、介護ニーズと医療ニーズを合わせもつ高齢者を地域で支える地域包括ケアシステムの構築といわれています。

この地域包括ケアシステムでは、多職種連携にくわえて、高齢者の生活の場をいかに確保することができるかが重要になります。自宅だけではなく、高齢者住宅やグループホーム、介護施設など自宅以外の生活の場をしっかりと確保した上で、必要な医療を提供するということが方向性として示されています。

お話ししたような病床機能の分化と連携に関しては、地域医療構想の策定がほぼすべての都道府県で終わっています。今後は、この地域医療構想をいかに実現していくのかという段階になっていきます。一方、地域包括ケアシステムは、医療・介護を立体的に提供するために、地域のシステムを作っていく段階になります。

いずれも注目しなくてはいけないのは、地域が地域の責任において、皆で協力してシステムを作っていくということが非常に重要になっていくということです。

さまざまなデータを見ると、75歳以上と75歳以下では大きな違いがあります。75歳以上の高齢者には要支援・要介護の方が増え、入院したときから生活支援が必要になる方が少なくありません。これらの方は、入院時から生活支援が必要となり、なかなか退院することができません。

さらに、75歳以上の方はなかなかご自宅に帰れない実態があります。入院や食事などの介護が受けられるサービスがないことや、ご家族の協力がないことが主な理由です。

そのため、家に帰れるような整備がきちんとなされればこの方たちはご自宅に帰ることができるということになります。

このような状況において、病院が果たす役割は、医師の治療方針の決定も重要なのですが、療養の方針をいかに決定していくかということも重要です。療養方針の決定には、看護師だけではなく、さまざまな職種の連携が必要になるでしょう。

相澤先生 講演

お話ししたように医療の変革の時代では、病院も変わらなければいけないと思っています。ここで病院経営についてお話しさせていただきますが、病院経営の中軸はあくまでも高度な専門性を必要とする医療にあるということです。その医療を提供するために病院はさまざまな専門家を揃えていますが、今後はさらに、マネジメントがきちんとできる人材の育成が重要になっていくでしょう。

では、病院がなすべきこととは何なのでしょうか。私は、病院として目指すビジョンを明確にし、それを実現できるよう医療の質と病院の質をきちんと保証できるようマネジメントすることであると考えています。

どんな状況であっても、病院は患者さんのため、国民のために医療を提供しなければなりません。自らが変わり、この国を変える。それくらいの覚悟を持ち、これからもチャレンジしていきましょう。

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