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インタビュー

白斑とは皮膚の色素が抜ける疾患 原因や症状、治療法について詳しく解説

白斑とは皮膚の色素が抜ける疾患 原因や症状、治療法について詳しく解説
片山 一朗 先生

大阪大学医学部附属病院 皮膚科 診療科長、大阪大学 大学院医学系研究科情報統合医学皮膚科教室 教授

片山 一朗 先生

白斑とは、皮膚の色素が白く抜ける疾患であり、患者さんのQOL(生活の質)に支障を与えることも少なくありません。以前まではしっかりとした治療方針がありませんでしたが、2012年に「尋常性白斑診療ガイドライン」ができたことにより、しっかりと有効性の認められている標準治療が全国的に受けられるようになりました。

2017年現在は、軟膏療法や紫外線療法などが実施されています。しかし、科学的根拠を伴わない治療法を掲げている医療施設も存在するため、注意が必要です。今回は、大阪大学医学部附属病院診療科長の片山一朗先生に白斑の種類や原因、ガイドラインにそった治療法についてお話をうかがいました。

白斑とは、皮膚の基底層に存在する色素細胞が減少し、皮膚の色が白く抜ける後天性の疾患です。厚生労働省の「白斑の診断基準及び治療方針の確立」班の調査結果では、2010年の時点で、白斑の患者さんは全国に6359名いるとわかっています。世界的には白斑の有病率は0.5%前後と考えられており、実際の患者数は調査結果よりは多いと予測されます。

白斑が分布する場所によって、非分節型、分節型、分類不能型の3種類に分類されています。

非分節型とは、体の神経支配領域に関係なく全身に症状が現れます。

分節型は、神経支配領域に沿って、体の片側だけに白斑が生じます。分節が複数生じるケースもあります。

未分類型とは、上記のどちらにも当てはまらないものです。最初の発生では、体の片側だけに白斑がみられ分節型だったものの、観察するにつれて全身に症状が広がった場合などが該当します。

白斑の原因は、非分節型と分節型によって異なります。また、はっきりとした遺伝形式は存在しませんが、白斑患者さん全体の20%~30%の割合で家系内発症がみられます。

非分節型の白斑の原因は、自身の組織に抗体が発生し破壊してしまう自己免疫性のものといわれています。

私たちの肌はメラニン色素という色素によって、紫外線から肌を防御しています。そして、メラニン色素はメラノサイトという色素細胞からつくられています。しかし、自分のメラノサイトに対して抗体がつくられ破壊された結果、メラニン色素を生成することができなくなり、肌の色が白く抜けてしまうのです。

そして、酸化ストレスや精神的ストレス、外から肌に触れる化学物質よって、色素細胞の障害性を高め、白斑が全身に広がっていくと考えられています。

メラノサイトは何らかの神経によって支配されているといわれています。そのため、酸化ストレスなどによって神経ストレスが発生することでメラニン色素がつくれなくなり、白斑が生じると考えられます。

白斑と合併して発症する可能性が高い疾患は、甲状腺の機能障害症です。甲状腺炎や橋本病、バセドウ病などが挙げられます。特に、中年の女性に多くみられます。

主な類似疾患としては、以下のようなものがあります。

・薬剤による白斑

薬剤や化学物質などがメラノサイトを障害することによって、白斑が発生することがあります。原因がはっきりとしているため、通常の白斑との鑑別が必要です。2013年には、ロドデノールという成分が配合された化粧品を使用した方に、白斑が生じたという事例がありました。

・先天性白皮症

先天的(生まれつき)に色素細胞が機能していない、または、色素細胞が皮膚に存在していない疾患を先天性白皮症といいます。全身が白く、瞳が青いという症状などが現れます。

・感染症

細菌・ウイルス・真菌の感染によって、皮膚の色が抜け、白くなることがあります。代表的なものとしては、癜風菌(でんぷうきん)が挙げられます。癜風菌とは、皮膚にもともと存在する常在菌です。また、梅毒が原因となって、白斑が生じることもあります。

老人性白斑

老化により、色素細胞であるメラノサイトが減少するため、白斑が生じることがあります。

医師と患者さんが話している

大阪大学医学部附属病院ではまず、視診や症状の経過を患者さんからお話いただきます。その後、皮膚の病理検査*を実施し、本当にメラニン色素が抜けているのか、色素細胞は存在するが、メラニン色素はつくられていないのかなどを細かく調べ、白斑の診断をします。

しかし、一般的な医療機関の場合、病理検査は行わず視診と患者さんに経過を聴くといった方法で白斑を診断する場合が多いと思われます。

病理検査…組織の一部を採取し、顕微鏡で観察する検査

薬を塗っている患者さん

16歳以上の患者さんの場合の主な治療法(保険適用)は、まず、塗り薬であるステロイド外用薬を使用します。また、アトピーの治療として使われるタクロリムスという軟膏もあります。そして、上記のような軟膏療法ではあまり改善がみられなかった場合、紫外線療法に移行します。

紫外線療法とは、病変部に紫外線を照射するという治療です。白斑の治療としては、PUVA、ブロードバンドUVB、ナローバンドUVBといった紫外線を用いた治療法に対して、高いエビデンスが証明されています。ナローバンドUVBの場合、一週間に1~3回を6か月間、または、60回の照射を行います。紫外線曝露のリスクとしては、紫外線による皮膚がんの危険性や皮膚の老化促進、白内障の誘発、免疫抑制作用などがあります。

紫外線療法を実施してもあまり効果がみられなかった場合は、皮膚移植といった外科的治療や、メラニン色素が残っている正常な部分を脱色する方法などがあります。

保険適用となっていない白斑の治療法としては、活性型ビタミンD3外用薬というものがあります。活性型ビタミンD3外用薬の単独での使用はあまり効果が期待できないため、紫外線療法と併用して使用されます。

また、白斑専用の化粧品を用いて、化粧により白斑を目立たなくさせるカモフラージュメイク療法などもあります。

16歳以下の小児の患者さんの場合、紫外線療法などは長期的にみた安全性が保障されていません。そのため、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬といった軟膏療法を中心に行います。

2017年現在、白斑に対して研究段階の再生医療として、患者さんの色素細胞を培養しシート状にしたものを移植するという治療があります。世界では、実際に治療として実施されている国もありますが、日本ではまだ研究段階です。

笑顔の若い女性

白斑は患者さんのQOL(生活の質)を低下させてしまう疾患であり、社会活動にも影響を与えることもあります。そのため、患者さんは治療に対する意欲が非常に高くなり、インターネット上に掲載されている科学的根拠のない治療法に助けを求めてしまうケースも少なくありません。

しかし、2017年現在、「尋常性白斑診療ガイドライン」に載っていない治療法は、すべて科学的根拠が証明されていない治療法です。そのため、しっかりとした医療機関で診察をし、ガイドラインに記載されている標準治療を受けることが最も安心で有効です。

また、新しい白斑の治療薬は世界各国で開発されており、今後5年以内には、日本でも新しい有効な治療法が受けられるようになると思われます。そういった医療情報を日ごろから気にかけておくこともよいでしょう。

 

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