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福島県立医科大学医療人育成・支援センターとは

福島県立医科大学医療人育成・支援センターとは
大谷 晃司 先生

福島県立医科大学 医療人育成・支援センター センター長 主任教授

大谷 晃司 先生

福島県立医科大学では、福島医大生と福島県内の研修医から、医師の生涯教育まで、医学教育の質向上と標準化を目的として、医療人育成・支援センターを設立しました。

同センター長を務めておられる大谷晃司先生に、設立までの経緯や取り組み、将来の展望などを伺いました。

福島県立医科大学人材育成・支援センターとは、福島医大生と福島医大附属病院の研修医に対するサポートを目的として2008年4月に設立された組織です。当センターは、現在、医学教育部門、臨床医学教育研修部門、看護教育部門、災害医療総合学習センターの4部門で構成されており、各部門と福島県立医科大学をはじめとする県内の医療機関との密な連携を以て、日本の将来の医療を担う医療人の育成に力を入れています。

福島県立医科大学医療人育成・支援センター 

当センターの設立には、福島医大医学部生の定員増加と医学教育の変化が深く関係しています。

2018年1月現在、医学部5・6年目はBSL(Bed Side Learning)もしくはCCS(Clinical Clerkship)と呼ばれる病院実習が必修とされており、各大学平均50~60週実施しています。この実習時間数は、福島医大では現行の50週から2018年度より72週に増加することが決定しています。医学部を卒業して研修医となった後も、2年間に渡って各診療科を経験する臨床研修、その後の専門研修、そして生涯教育が必須となっています。

病院実習や臨床研修はOJTが中心で、共通の目標の提示やそれに至る方略が明らかになっておらず、医療機関や指導医によって教育レベルの質や成果が大きく異なっているという現状があります。

地方の医師不足解消策として、地方の医学部定員数が平成20年度より増加に転じました。福島医大でも平成19年度までは医学部定員数は80名でしたが平成20年度からは95名となりました(その後経年的に増加し、平成25年度入学生からは130名)。医学部教育の内容の変化と定員の増加に対する対応が大学としての急務となりました。

一方、医学部卒業後の臨床研修の研修先は、医学部生の希望と医療機関の採用希望順位によるマッチング制度により決定します。この制度には全国の9,000人近い医学部生と1,000以上の医療機関(定員数は110,000)が参加しています。マッチング制度を利用する医学部生の数と定員数には2,000以上の差があります。しかし医学生の希望先は都市部の大病院に集中する傾向もあり、地方都市の医療機関への希望は比較的少なくなることがあります。福島県も例外でなく、県全体のマッチング成立数が都内の大規模病院のそれを下回る年がありました。

関係者は、このままいくと県内の医師不足に拍車がかかり医療の提供が困難になると危機感をおぼえ、より多くの研修医に福島県に来てもらえるような仕組みづくりの重要性を感じるようになりました。

医療人育成支援センターの取り組み

医療人材育成・支援センターは、福島県立医科大学の医学生と福島県内の研修医の教育の充実と県内医療に対する理解を深めてもらうため、医学教育部門と臨床医学教育研修部門の2部問でスタートしました。その後、東日本大震災とそれに引き続く放射線問題による福島県全体の医療を支える人材を育成するという観点から、看護学教育研修部門と災害医療総合学習センターを加え、各種プログラムの企画や調整などを行っています。

今回は、臨床医学教育研修部門の取り組みの一部をご紹介します。

ACLS講座中の風景
ACLS講座中の風景   提供 医療人育成・支援センター

福島県臨床研修病院ネットワークとは、福島県立医科大学附属病院をはじめとする県内の臨床研修病院18施設の連携組織のことです。医療人育成・支援センターが、事務局を担っています。

福島県で採用される全臨床研修医に対する合同オリエンテーションやDynaMed(臨床向けEBM情報検索・診療サポートツール)の使用、BLS講習会などを医療機関同士が連携して実施することで、どの医療機関に所属していても一定レベルの教育を受けられるようになりました。また福島県では、臨床研修医のACLS(二次心肺蘇生法、二次救命処置)受講率100%を目指しており、県をあげた取り組みは全国的にも注目を集めています。

医学生や研修医に対する教育の質が均質化しただけでなく、医療機関を越えた情報共有や切磋琢磨がより活発になりました。また研修を担当する医療機関にとっても、その年の医学生や研修医のレベルを把握する機会となっています。

福島県臨床研修病院ネットワーク  

医療人育成・支援センター セミナーの様子
セミナーの様子   提供 医療人育成・支援センター

医療人育成・支援センターでは年に数回、主に臨床研修医を対象にしたセミナーを開催しています。ネットワークに加盟している医療機関の医師が講師となり、腹部や心エコーなど診療に欠かせない技術の基礎や読影のコツなどをレクチャーしています。そのほか、FACE(Fukushima Advanced Course by Experts)や診断推論セミナーも開催しています。

福島県臨床研修病院レジデントスキルアップセミナー

福島県医師会と共同で症例検討会と講演会を開催しています。症例検討会では臨床研修医の症例発表、福島県医師会による講演会がおこなわれ、情報の共有がなされています。

平成29年度福島県地域医療症例検討会

地域医療体験研修の風景

地域医療体験研修の風景   提供 福島県地域医療支援センター

将来自分達が提供する医療はどのような場所で必要とされているのか、いかに健康な日々を過ごしているのか実感していただくため、医学部1年生には介護老人保健施設や肢体不自由児施設で3日間の実習をお願いしています。

3年生になると今度は地域の基幹病院や開業医の先生方の協力のもと、2泊3日の泊まりがけで地域の方々と触れ合う機会をもってもらいます。この研修で地方の医師不足はどのような状態なのか、地域住人や現場の医師達は福島医大生に何を期待しているのか、自身の目で見て触れて、そして考えてもらえるような機会を提供しています。

センターでの取り組みとは別に、福島県立医科大学附属病院では、県内の医大以外の臨床研修医も積極的に受け入れており、2017年ではのべ73名が医大附属病院での研修を行いました。

福島県全体のマッチング率は先の震災の影響もあり停滞していたものの、ネットワークの活動が活発になるにつれ、マッチングは回復しつつあります。

今後は、福島医大生や全国の医学部・医大卒業生に集ってもらい、少なくとも福島県立科大学医学部の卒業生と同数の臨床研修医に福島で医師の第一歩を踏み出してもらえればと願っています。

福島県

福島県の医師不足に対する危機感からはじまったネットワーク設立ですが、多くの医療機関が連携・協力するきっかけとなり、今では県内の医療教育の質向上に貢献するに至りました。

県内の連携がうまくいったのは、研修医は県全体で教育しようという考えを共有できたことと、各医療機関がそれぞれの得意分野を活かして協力しあえたことが大きいです。今後も本センターは各医療機関をつなぐハブとして機能すると同時に、福島県とも連携して活動の幅をひろげていければと考えています。

先生

臨床研修医の2年間は医師としての基礎を学ぶだけでなく、将来のキャリア形成を考えるうえでも重要な期間です。研修医の方々には手技を磨くだけでなく、その後数十年続く医師人生についても、しっかり考えていただきたいと思います。

同時に研修医には、このモラトリアム期間を存分に楽しんでほしいという気持ちもあります。一般的に、初期研修前に将来のビジョンがしっかり決まっているのは約半数、そして卒業時と初期臨床研修終了時で選択する診療科が一致するのも約半数とされています。臨床研修期間は複数の診療科を回って勉強するため、よき先輩や指導医との出会いにより当初は想像すらしなかった進路を選択する方も多いです。ただ、平成30年度からはじまる新専門医制度の一次募集の締め切り期間は2年次研修の夏頃と想定されているようですので、今後は臨床研修が始まる前、すなわち医学部生の時にある程度の方向性を考えておかねばならない時代がくるかもしれません。

研修先を選ぶ際、立地条件(都会と地方)、同期(研修医が多いか少ないか)、病院の規模(大学病院と市中病院)などが基準となることが多いようです。研修内容を活かすも殺すも研修医次第です。そういう観点からすれば、イメージやブランドで研修先を選ぶのではなく、自分が理想とする研修が十分に出来るのか、自分の実力を十二分に発揮してよき臨床医の第一歩を踏み出すことができるのかということをよく考えたうえで研修先を選択していただきたいと思います。

 

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  • 福島県立医科大学  医療人育成・支援センター センター長 教授

    大谷 晃司 先生

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