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腰痛とは-原因・考えられる病気・検査・治療方法・診療科など
腰痛とは誰もが一度は経験したことのある、ありふれた症状の一つといわれています。福島県立医科大学附属病院整形外科教授の大谷晃司先生に、腰痛の概念・原因・種類のほか、腰痛で困ったときには何科を受診し...
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腰痛とは-原因・考えられる病気・検査・治療方法・診療科など

公開日 2018 年 02 月 25 日 | 更新日 2018 年 02 月 26 日

腰痛とは-原因・考えられる病気・検査・治療方法・診療科など
大谷 晃司 先生

福島県立医科大学 医療人育成・支援センター センター長 主任教授

大谷 晃司 先生

腰痛とは誰もが一度は経験したことのある、ありふれた症状の一つといわれています。福島県立医科大学附属病院整形外科教授の大谷晃司先生に、腰痛の概念・原因・種類のほか、腰痛で困ったときには何科を受診したらよいのか、腰痛のレッドフラグサイン(要注意サイン)について教えていただきました。

腰痛は国民病-腰痛を自覚する人は多いが医療機関を受診する人は少ない

 

腰痛の症状
平成28年国民生活基礎調査の概況 III世帯員の健康状況

2017年に厚生労働省が公表した国民生活基礎調査によると、2016年で腰痛を自覚する方の数は、人口1,000人のうち男性は91.8人で1位、女性では115.5人で第2位です。この数字から、日本人にとって腰痛とは国民病ともいえる存在であることがおわかりいただけると思います。

平成28年国民生活基礎調査の概況 III世帯員の健康状況

通院患者率の内訳(通院している理由の内訳)では、腰痛を訴える方の割合は半減、男性では41.4人で5位、女性では56.6人で4位と大きく後退します。これは、腰痛を感じても実際に医療機関を受診する方は半数程度にとどまることを意味しています。

整形外科の医師にとって腰痛治療の究極の目的は、腰の痛みを解消することです。しかし、腰の痛みをゼロにすることは、なかなかむずかしいと思います。一方、腰痛がある方の約半数が医療機関を受診していないということは、腰痛があっても日常生活に支障をきたさないようにすることが重要であることを示唆しているともいえるでしょう。すなわち、診療によって「腰が痛くて何もできない」から「腰が痛いけど日常生活は送れる」状態にできれば、腰痛で悩む方々のQOL(生活の質)改善につながります。
このことは、腰痛治療の重要なポイントであると考えています。

腰痛の原因

腰痛

腰痛のイメージは人によって異なる

腰痛とはベルトをしめた周辺に生じた痛みを指すことが多いですが、腰の定義は国や人により大きく異なり、腰だけでなく脚に生じた痛みも含めて腰痛と呼ぶ方もいます。

なお腰痛の診察では、痛みの強さや性状(痛み方)はそれほど考慮しません。

腰痛では「おしり」が重要になる

臀部(でんぶ)など、いわゆる「おしり」と呼ばれる部位には多くの重要な神経が通っています。そのため麻痺・しびれなどの神経症状を伴う腰痛では、おしりの痛みの有無や程度なども重視します。

腰痛の原因は4種類-原因がわからないこともある

先生

腰痛の原因は、内臓、筋・筋膜、骨、神経など大きく4種類に分けられ、腰痛が生じる経緯や考えられる病気などはそれぞれ異なります。しかし検査しても、腰痛の原因がよくわからないこともあります。

内臓由来の腰痛

腎臓・膵臓・卵巣など、腰や周辺部位に収まっている臓器の炎症などにより、腰痛を起こすことがあります。

内臓由来の腰痛では、腎結石、膵炎、大動脈解離、卵巣腫瘍、子宮筋腫、子宮内膜症などが見つかることがあります。

筋・筋膜由来の腰痛

筋肉そのものや、筋肉などを包んでいる筋膜が傷ついたり炎症を起こしたりすることで、腰痛を起こすことがあります。

筋・筋膜由来の腰痛は、外傷などによる筋損傷、筋・筋膜炎、筋疲労によるものなどがあります。

骨由来の腰痛

骨そのものに生じた異常で腰痛を起こすことがあります。

骨由来の腰痛としては、分離症(腰椎分離症・頚椎分離症)、椎体骨折、感染症、骨粗しょう症などが見つかることがあります。

神経由来の腰痛

腰や周辺部位の神経が圧迫されるなどして、腰痛を感じることもあります。

神経由来の腰痛では、椎間板ヘルニアや脊柱菅狭窄症などが見つかることがあります。

腰痛を起こしやすい人には特徴がある?

ストレス

腰痛を起こす危険因子として、過去の全国調査で

  • 合併症
  • 家族歴(家族に腰痛持ちの方がいる)
  • 学歴

などが指摘されたことがあります。ほかにも国内外の調査研究により、

  • 喫煙
  • 運動不足
  • 職業上の身体負荷
  • 心理社会的因子(生活や就労上のさまざまなストレス)

などとの関連性も指摘されたこともあります。

腰痛の起こりやすさとストレスは関係している?

腰痛とストレスとの関係について、詳しいことはよくわかっていないのですが、精神的なストレス等がかかると前頭前野や海馬を中心に脳の機能が低下して、平時より痛みを強く感じるようになるといわれています。
そのため、ストレスが関係する腰痛は中枢機能障害性(痛みの感じ方の異常により発症する症状)と捉えたほうがよいのでは、とする説もあります。

痛みの感じ方には個人差がある

身体に生じた痛みの感じ方には個人差があり、ある人は10と感じる痛みを別の人では100や200にも感じている可能性があることが、福島県立医科大学をはじめとする様々な調査研究で明らかになりました。そして、脳内の痛みを感じる機構が破綻することで通常より痛みを強く感じる可能性があることもわかってきました。

急性腰痛と慢性腰痛-腰痛は期間で考える

腰が痛そうな人

腰痛の診察では、腰痛が生じている期間やなどをもとに、原因や疾患などを考えていきます。

腰痛の期間は、急性、亜急性、慢性の3種類に大きく分けるのが一般的です。

急性

急性とは、腰の痛みが4週間以内と比較的短期間で解消されるものをいいます。

急性の腰痛では、ぎっくり腰と呼ばれる急性腰痛症が代表的な病気といえるでしょう。

急性腰痛について、詳しくはこちらもご覧ください

記事2『ぎっくり腰とも呼ばれる急性腰痛症とは』

亜急性

急性と慢性いずれでもないものを亜急性といいます。腰痛では、痛みが4週間以上3か月継続するものを亜急性と考えます、

亜急性はいわば急性と慢性の中間のため、考えられる病気もさまざまです。

慢性

慢性とは、腰痛発症後3か月(12週)以上継続するものをさします。

慢性の腰痛では、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄などのほか、重篤な病気が見つかることも多いです。

一方差、さまざまな検査をしても、原因の特定が出来ない腰痛も多いです。

腰痛のレッドフラグサイン

先生

あらゆる症状のうち、特に注意が必要なものをレッドフラグサインと呼びます。腰痛に以下のレッドフラグサインを伴う場合には、念のため医療機関の受診をおすすめします。

年齢

慢性的な腰痛がある場合、20歳未満の若い方では何らかの病気、55歳以上の中高年以降ではがんなどの存在を考えることもあります。

最近の外傷歴

怪我や腰や周辺部位を手術した後に腰痛がするようになった場合、外傷や手術の影響を考えるようになります。

腰痛がひどくなってきた

腰痛が時間とともにひどくなってきている場合、腰痛を起こしている病気などの悪化が考えられます。

がんの治療歴がある

がんの治療歴があると、転移や再発などにより腰痛が生じることもあります。

ステロイド使用歴がある

長期間にわたるステロイド使用歴があると、骨折を起こしやすくなるため腰痛を招くこともあります。

薬物乱用・免疫抑制剤の使用・HIV陽性

一部の薬剤使用(乱用)歴、HIVなど免疫機構を抑制する病気がある場合、腰椎などが感染症を起こしやすく、また症状も重症化しやすい傾向があります。

全身状態が悪い

腰痛を含め全身の状態がよくない場合、病気の特定だけでなく適切な処置等も必要になります。

急激な体重減少

ダイエットなどをしていないにもかかわらず体重が減少する場合、悪性腫瘍などによる慢性的な消耗などを考えることもあります。

広範囲に神経症状がある

腰や周辺部位など広い範囲に神経症状(しびれ・ビリビリなどの異常な感覚)がある場合、脊椎などの異常によって腰痛を起こしている可能性も考えられます。

特に、両脚のしびれ、排尿障害、筋力低下、知覚障害などがある場合、馬尾(ばび)が圧迫される馬尾症候群を起こしていることもあります。

排尿障害がある

腰部での神経障害による排尿障害が進行して尿が全く出なくなると、48時間以内に手術により神経の圧迫を解除しないと神経回復が悪いということが知られています。

排尿傷害など尿に関するトラブルは、前立腺肥大症などの病気と間違えやすいため、一度は医療機関を受診して詳しく検査するようにしましょう。

骨格などに問題がある

生まれつきの問題や、骨折など後天的な要因による極端な腰椎の変形により、腰痛が生じている可能性があります。

発熱を伴っている

感染症による炎症の可能性などが考えられます。

腰が痛いときは整形外科へ-排尿障害に要注意

中年男性がトイレにいる

腰痛が生じ、症状が急速に悪化した、もしくは1~3か月たっても腰痛の改善がないときは、まずは近隣の整形外科を受診して診察を受けるようにしましょう。

腰の痛みあるいは下肢の痛みやしびれと排尿障害が同時に現れたら特に注意してほしい

レッドフラグサインでも少し紹介しましたが、排尿量が減る・尿が残った感じがする・尿が出なくなるなど排尿障害を伴う腰痛や下肢の痛みやしびれがある場合は、特に注意が必要です。

排尿障害を起こすと、尿と一緒に尿路内に侵入した細菌を排出できないため、尿路や膀胱などの感染症を起こしやすくなります。
また、これら病気が進行すると腎臓の病気に進行する可能性もあり、QOL(生活の質)低下を招きやすくなります。

排尿障害など、トイレに関するトラブルは恥ずかしくて相談しにくいと感じる方が多いです。しかし、その背景には重篤な病気が隠れていることもあります。
そのため排尿障害は恥ずかしいことではない、トイレ関連で困ったことがあれば医師に相談してほしいし、また医師側からもこうした情報を積極的に発信する必要があると考えています。

特に男性の場合の場合、前立腺肥大症などの可能性も考えられるため、医療機関を受診して詳しく検査することをおすすめしています。

 

腰痛(大谷晃司先生)の連載記事

1990年より整形外科医師としてキャリアをはじめる。臨床現場にたって治療をおこなうだけでなく、メディア出演をつうじて腰痛に関する情報を広く世間に発信し続けている。
また福島県立医科大学人材育成・支援センター長として、医学教育をつうじて後進の育成にも力を尽くしている。

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