院長インタビュー

「共に在り、共に歩む」医療で女性に寄り添う、相良病院の信念

「共に在り、共に歩む」医療で女性に寄り添う、相良病院の信念
相良 吉昭 先生

さがらウィメンズヘルスケアグループ 代表、社会医療法人博愛会 相良病院 理事長、医療法人宮崎博...

相良 吉昭 先生

この記事の最終更新は2017年04月28日です。

鹿児島県鹿児島市にある社会医療法人博愛会 相良(さがら)病院は1946年に発足し、1970年からは乳がん専門病院の道を歩んできました。乳がんの手術件数は、全国トップクラスを誇り、2014年には日本で唯一の「特定領域がん診療連携拠点病院」に指定されました。そんな同法人が大切にしている信念と取り組みについて、理事長の相良吉昭先生にお話を伺いました。

当院はもともと一般外科として開業しておりましたが、鹿児島の乳腺医療が遅れていることを危惧し、1973年に九州で初めてマンモグラフィを導入しました。その後、乳がん専門の病院として、検診から緩和ケアまで、乳がん患者さんを総合的にサポートしてきました。現在では、乳がんだけでなく全般的に女性の健康をケアできる病院として、甲状腺・婦人科などの疾患に関して、幅広く予防や治療を行なっています。

・相良病院(手術・治療・入院) ・相良病院附属ブレストセンター(乳腺科専門外来) ・さがらパース通りクリニック(放射線科・人間ドック) ・さがら女性クリニック(女性専門外来)

博愛会の病院

相良病院の内装

相良病院 1階

  • 乳腺外科
  • 甲状腺科
  • 婦人科
  • 緩和ケア科
  • 形成外科
  • 女性内科
  • 放射線診断科
  • 放射線治療科
  • 病理診断科
  • 麻酔科
  • 人間ドック
  • メディカルフィットネスクラブ

乳がん治療には、患者さんが治療と向き合えるための環境づくりが重要です。当法人では、患者さんの状況に応じた専門外来を設置しています。乳房再建、遺伝性乳がん卵巣がん相談外来、リンパ浮腫治療、リハビリテーションなどの専門スタッフとともにチーム医療を提供しています。

相良スーパー通りクリニック

さがらパース通りクリニック

当法人は1985年患者会を設立するなど、体験者が病院に常駐し患者さんの声に耳を傾けてきました。患者さんには治療とともに営む生活があり、生活も多様化しています。仕事と治療の両立や就労支援、家族ケアなど患者さんが前向きに治療に取り組めるように一人ひとりの状況に合わせた支援を行っています。

現在、乳がんは女性のがん罹患率1位です。11人に1人は、乳がんに罹患すると言われています。乳がん罹患の増加に伴い、若年性乳がんも増加しています。 当院はそのような変化に応じて、幼い子どもを持つ女性ががんを発症した場合に効果的なケアプログラム「CLIMB®」を採用しています。

CLIMB®とは、がんを発症した親を持つ小学生をサポートするケアプログラムです。親ががんに罹患すると、その子どもは大きなストレスを抱えることが明らかになっています。そこで同じ境遇の子どもたちを集め、数回のセッションを行う中で、ストレスに対処する能力を高め、自身の置かれている状況や気持ちに向き合えるようにします。

CLIMB®:Children’s Lives Include Moments of Bravery (子どもはいざというとき、勇気を示します)  

CLIMBのケアプログラム

当法人では、患者さんが治療と向き合える環境を提供する活動の1つとして、僻地医療を行なっています。離島など遠方に住む患者さんにとって、治療のために何回も飛行機で病院へ通うのは非常にハードルが高いことです。それがご高齢の患者さんなら、なおさら苦労も多く、治療を断念してしまうことにもなりかねません。

当法人は2009年、離島に住む患者さんの負担を軽減するために僻地医療をスタートしました。現在では、奄美大島・徳之島など、鹿児島エリアの離島や僻地へ、それぞれ週に1〜2回ほど定期的に医師が出向き、乳腺外来を行なっています。現地の方々に訪問を喜んでいただく機会も多く、僻地医療に従事する者たちの励みになっています。

医師と患者さんとの触れ合い

当法人は、がん専門病院と戦略的な業務提携をおこなっています。それは地域の他病院と機能を分担し、協力体制を構築することで効果的な医療体制が可能になると考えているからです。例えば、2016年に泌尿器疾患(男性がん)を専門とする、にいむら病院と「ヘルスケア パートナーズ ネットワーク」を設立しました。ともにがん専門病院ですから、がん治療におけるブランディング活動を共にできますし、薬剤の共同購入や医療機器情報の共有などにより双方の医療が改善され、地域医療の充実につながります。

現在、博愛会は4つの施設で乳腺科・婦人科・甲状腺科などの女性診療を行っています。すべての診療科を集結すべく、相良病院と2つのクリニックを統合し、2020年、同エリアに新病院を建設する計画を進行しています。病院の機能を1箇所にまとめることで、より効率的で効果的な医療を提供できます。

新病院の完成予想図

新病院の完成予想図

社会医療法人の使命として、地域の活性化に寄与したいと考えます。例えば、新病院に隣接している松原神社と共同で、街つくりを行う計画をしています。1つの病院だけが大きくなっていくのではなく、地域内の病院・施設・人々と協力し合い、広い視点で「良い医療」を提供できる環境を作りたい、という信念を持ち行動しています。

新病院は、理想的な女性医療を行う病院の良きモデルとして、日本から世界に向けて発信していきたいと考えています。そのために、高機能・高品質な医療機器の分野で豊富なグローバル実績を持つシーメンスヘルスケア(株)とのパートナーシップを結びました。新病院はアジアで唯一の、シーメンスヘルスケア(株)のグローバルリファレンスサイトとなり、最新医療機器のショールームになります。

最新の医療機器

医療の現場において、最善の医療を施すことは当然だと考えています。その上で重要なのは理想を持つこと、そして理想的な医療環境を整えるために「経営」し続けることです。例えば、有能な医師が現場に立ち、患者さんを守り続けるためには、その土台となる病院が正常に機能していることが不可欠です。当法人は、全国の医療機関とグループ化することで「さがらウィメンズヘルスケアグループ」を形成し、理想に基づく経営を行なっています。

当院は2014年に厚生労働省より、乳がんにおける特定領域がん診療連携拠点病院の認定を受けました。これは当院が、乳がん診療において鹿児島県内で最も多くの診療実績があり、拠点的な役割を果たすことを示しています。このような国の認定という企業価値を最大限に活用し、乳がんの患者さんを1人でも多く助けていきたいと考えています。

我々はこれまで多くの方々からの協力を得て、女性専門病院として歴史を積んできました。時代とともに人々の価値観も変化し、物理的なものよりも、健康な人生への欲求が高まっていると感じています。そんな中で、制度・企業・医療機関とのつながりを強固に保ち、理想的な医療提供という形で、地域の方々へ貢献していきたいと考えます。

先生のお話されている写真

当法人は乳がん治療を起点として発足し、現在では女性のヘルスケア全般を受け持ち、多くの社会的支援を提供できる専門病院へと発展しました。今後もその誇りを忘れずに、女性の体と心を全面的にサポートし、より多くの女性と、そのご家族が安心して生活できるよう尽力していきます。

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  • さがらウィメンズヘルスケアグループ 代表、社会医療法人博愛会 相良病院 理事長、医療法人宮崎博愛会 さがら病院宮崎 理事長

    相良 吉昭 先生

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