院長インタビュー

患者さん個々の病状に合わせゆっくりと療養ができる東京さくら病院

患者さん個々の病状に合わせゆっくりと療養ができる東京さくら病院
東海林 豊 先生

医療法人社団城東桐和会東京さくら病院 院長、 医療法人社団城東桐和会介護老人保健施設  東京メ...

東海林 豊 先生

この記事の最終更新は2017年09月11日です。

東京さくら病院は、東京都江戸川区東篠崎の江戸川河畔に接する地で、2013年にオープンしました。

2015年からは、東京都より認知症疾患医療センターの指定を受け、江戸川区の認知症疾患に対応できる病院となっています。

認知症外来以外の一般外来は行っておらず、紹介による入院対応を行っています。急性期病院での入院治療を終え、継続的な入院医療を必要とする亜急性期および回復期の患者さんで、ご自宅に帰ることが難しい患者さんが入院されています。医療ニーズは急性期に近いものから慢性期まで実にさまざまですが、ケアミックス病院の機能を活用して、病状に合わせて療養できるのはもちろんのこと、在宅療養につなぐことも支援できるようになっています。

「認知症も含めて、行き先に困った多くの方たちを受け入れています」という東海林 豊院長に病院の特色を伺いました。

 

現在の医療制度において急性期病院の入院期間はなるべく短期になるような仕組みになっており、患者さんによっては短く感じられる方がいらっしゃいます。その点、当院の120床ある医療療養病棟は、比較的ゆっくりと療養できます。そのほか、回復期リハビリテーション病棟が60床、一般病棟が40床、緩和ケア病棟が38床あり、患者さん個々の病状に合わせて療養していただくことが可能になっています。

 

現在、当院ではご紹介いただいた患者さんについては、一切、受け入れをお断りしていません。医療療養病床の利用率は満室状態が長く続いています。

既往歴や病状などがわからず引き受けに迷う患者さんであっても、ひとまず一般病棟で受け入れて、病状を確かめ、ご本人や家族の希望をよくお伺いします。細かい意向を配慮することで、医療療養病棟か、回復期病棟のどちらがよいのか、考慮させていただいております。同じ建物内には介護老人保健施設も併設されています。さらにグループ内の病院・介護施設(特養・老健・グループホーム・有料老人ホーム・サービス付高齢者住宅等)を総動員すれば、最適な施設へつなぐことも可能です。

 

当院にご紹介いただく患者さんは、急性期医療を終えて回復過程にある患者さんには違いありませんが、一般的な慢性期病院なら受け入れには慎重になるであろう患者さんもたくさんいらっしゃいます。

たとえば胆嚢(たんのう)の手術後、ドレーンがついている場合、慢性期病棟では受け入れが困難なこともあります。ドレーンとは廃液用のチューブであり、感染などを起こす可能性があります。管理が難しいものですが、外科医がいれば、感染の管理はもちろん、必要に応じてドレーンの入れ替えも行うことが可能です。胆嚢だけでなく、胸腔ドレーンや、腎ろうを造設されている患者さんも受け入れています。

入院中に著しく体力が低下し摂食ができなくなった患者さんには、慢性期病棟では体外から消化管内に通したチューブを用いて流動食を投与する経管栄養をすることが一般的です。しかし、患者さんによっては経管栄養ができない状況であったり、経管栄養ではなく点滴を望まれたりする場合もあります。ご高齢の患者さんのなかには血管が細くなってしまい何度も針を刺さなければ血管を確保できない場合もあります。針を刺す行為は痛みをともないます。当院では希望する方には繰り返し血管内に針を刺さなくて済むように、血管内にカテーテルを留置する、CVポートと呼ばれる器具を皮下に埋め込む手術もしています。CVポートの部分に針を繰り返し刺せるため、痛みを軽減することができます。

 

2015年、当院は東京都の指定を受けて地域連携型認知症疾患医療センターを開設しました。認知症の方とそのご家族の支援体制を構築するために、都道府県は認知症疾患における地域医療の中心となる病院を地域ごとに1か所指定しています。東京都では29の区市町村を指定し、江戸川区は当院が指定されました。指定病院の役割としては、外来で専門医による認知症の医療相談、認知症と区別が難しい疾患との鑑別診断、身体合併症と徘徊や抑うつなどの行動・心理症状への対応、また必要に応じて薬物療法を行い、地域のクリニックに経過をみていただくといった地域連携の推進などを実施し、認知症の方とご家族が安心して暮らせる地域づくりを進めています。

 

当院や同グループの施設には、さまざまな特徴や機能があります。グループ内で協力しあって複合的なサービスを提供できるのも当院の強みです。その一環として医療と介護の連携の強化に取り組んでいます。

介護従事者は患者さんの状態が何となく悪いと感じても、その原因を判断できません。その「何となく悪い」という部分を「見える化」し、看護師や医師に伝えることを目的として、IT開発業者と共につくったのが、「介護天気予報図」です。

介護従事者は現場で「介護天気予報図」のアプリを呼び出し、症状をもとにしたディスプレー上の12個ほどの項目をチェックしていけば操作が完了します。自動的にスコアが出て、医療の必要度、緊急度が6段階でわかるようになっています。「晴れのち曇り」で「様子をみましょう」、「曇り」で「2日間様子をみましょう」、「豪雨」で、「緊急治療が必要」といったような予報図が表示されます。天気予報にしたのは、使用者が状況を想像しやすいかと考えたためです。たとえば「豪雨」と想像しただけで、危なそうに思えます。このアプリを用いれば多職種間での認識の違いが減り、スムーズな連携が行えます。

すでに当院では2016年6月からテスト運用を開始しており、実際に尿路感染や誤嚥性肺炎の予防につながった実績を積み上げております。

 

嚥下の様子を直視的に観察できる検査としてVE(嚥下内視鏡検査)やVF(嚥下造影検査)があります。当院ではこれらを導入して詳しく検査し、耳鼻科の医師と共に嚥下機能を判定しています。実際、誤嚥を繰り返している患者さんに対し、食べ物の形態や食事をする姿勢を工夫することで、半年の間、誤嚥を防げた例もあります。人間にとって食事は大きな楽しみです。当院はその思いを尊重し、できる限り応えていきたいと思っております。

 

働く女性に優しくと考え、院内保育所を完備しております。グループ内の小児科と連携して病児に対する対応も行っております。また、インフルエンザの予防接種も院内で行っており、働く女性にとっては、優しい環境となっております。

 

先生

療養病棟や緩和ケア病棟は人生の最期を過ごす場所になる場合があります。ご家族のみなさまは延命措置をするかどうか、つまり「いつまで栄養をとったほうがよいのだろう」「いつまで点滴を続けるのだろう」など、どの選択が一番か迷われます。大切な方のための選択ですから迷って当然です。納得するまで何回も何回も話し合います。医師として、患者さんがその人らしく生きる最良の方法を一緒に考え、安心して最期まで過ごせる居場所をつくっていきたいと思っております。

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  • 医療法人社団城東桐和会東京さくら病院 院長、 医療法人社団城東桐和会介護老人保健施設  東京メディケアセンター 施設長兼任 /地域型認知症疾患医療センター長、認知症サポート医 保有

    東海林 豊 先生

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