院長インタビュー

患者・職員を心から大事にする府中病院の取り組み―大阪府和泉市の高度急性期病院

患者・職員を心から大事にする府中病院の取り組み―大阪府和泉市の高度急性期病院
竹内 一浩 先生

府中病院 院長

竹内 一浩 先生

目次
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府中病院(大阪府和泉市)は急性期病院として、和泉市をはじめとした泉州地域の地域医療を担ってきました。府中病院の基本思想は“府中病院は患者を大事にする病院”“府中病院は職員を大事にする病院”です。患者さん、病院スタッフの双方を大切にしながら質の高い医療を提供し続ける府中病院の取り組みについて、2024年12月に当院の急性期機能が移転して新設される“泉大津急性期メディカルセンター”の話も交えて院長の竹内 一浩(たけうち かずひろ)先生にお話をうかがいました。

院内

府中病院は、1955年に誕生し、約70年にわたり和泉市を中心に泉州地域の急性期医療を担ってきました。

病床数は380床、32の診療科を標榜し、地域医療支援病院、救急告示病院、大阪府がん診療拠点病院として24時間365日、あらゆる患者さんに対応できる体制を整えています。

また、泉州地域の未来の地域医療を担う人材育成も積極的に実施しています。基幹型臨床研修病院として、全国から多くの研修医を受け入れています。

当院の特徴のひとつは、充実した救急医療の提供です。月に500件前後の救急搬送を受け入れており、その数は和泉市の救急搬送数の約6割を占めています。

地域のニーズに応える救急医療を実現するため、一次脳卒中センターの構築、ハートコールの拡大などを行っています。

当院は大阪府がん診療拠点病院に認定されており、がん患者さんに適切ながん医療を提供するために活動しています。2016年に手術ロボット“ダ・ヴィンチ”を導入し、前立腺がんのロボット手術を開始した後、現在は保険適用となる腎がんや膀胱がん、直腸・結腸がん、膵臓がん、肝臓がん、婦人科疾患などのロボット手術を行っており、2023年度は185件実施しました。内視鏡下手術も積極的に行っており、体にやさしい低侵襲手術を提供しています。

総合相談センター

外来で安全・快適に化学療法を受けることのできる化学療法室を設置しています。リクライニングチェアとベッドを用意し、リラックスした環境で治療を受けていただくことができます。

手術、化学療法とともにがん治療の三本柱とされる放射線治療については放射線治療センターを開設し、画像誘導放射線治療を用いたより正確な照射ができるX線治療や、当院で行っている血液疾患に対する造血幹細胞移植の前処置として全身照射(TBI)も実施しています。

がん治療ではこの3つの治療を組み合わせた集学的治療を患者さんに合わせて行っているほか、当院ではがんの辛さに対する緩和ケアにも注力しています。とくに当院では“臨床スピリチュアルケア”に力を入れており、臨床スピリチュアルケア専門職が臨床心理士とともに患者さんやご家族の心のうちの辛さや苦しみに対応する全人的医療を提供しています。

また当院では、がん患者さんやご家族同士が集まり、交流や情報交換ができるがんサロン「ひまわりの会」やがんに関する治療や療養生活について気軽に相談できる「がん相談支援センター」、地域のかかりつけ医と連携した「地域がん診療連携クリティカルパス」の実施なども行っています。

よい医療の提供には、よい医療者の力が欠かせません。そのため、私たちは人材の育成に力を入れており、初期臨床研修医には“みがく”“もてなす”“はぐくむ”をモットーに医療者として必要な技術や経験、考え方などをしっかりと丁寧に教えています。指導医が全員で研修医を見守り、育てる方針です。

おかげさまで、当院を研修先として志望する学生は多く例年、定員の5倍程度の方が応募してくれています。

私たちは、患者さんに最高の医療を提供するために“愛の医療と福祉の実現”“地域と職員とともに栄えるチーム”“「Yu・Ki・To・Do・Ku~ゆき届いたサービス~”の理念を掲げ、長期ビジョン・中期ビジョン・年間事業計画を立案し実行しています。

全職員が同じ方向へ進むためにも情報共有は欠かせないものです。当院では、1979年から“FOCUS”という情報共有シートを毎日発行し、各部署責任者が集まる朝礼を毎朝実施することで、病院の状況を共有しています。

また、各職種の研修だけでなく、職種を横断した経営管理勉強会も開催しています。患者さん、職員の双方を大事にするよりよい病院運営のため、経営センスの向上を目指しています。

当院では、地域のかかりつけ医との連携を大切にしています。患者さんが退院後も住み慣れた地域で安心した生活ができるように、歯科医も含め地域の約370人のかかりつけ医と連携し、何かあればすぐに当院へ受診できる体制を構築しています。

病院内には登録医療機関のパンフレットを設置しています。すべての医療機関を当院のスタッフが取材し、パンフレットにしたものです。このパンフレットをみれば各クリニックの特徴が一目でわかります。

また、外来に設置しているモニターに登録医療機関の情報を放映しています。

健康の維持増進、病気の予防のためには地域の皆さんに対する情報発信が重要です。コロナ禍で中断を余儀なくされたものの、2024年現在は年間24-30回の市民講座を開催しています。院内で開催することもありますし、要請があれば出張市民講座として近隣のJAなどみなさんの地域に出向いて講座を行っています。

過去の演題は「いびきと眠気 ~睡眠時無呼吸症候群とは?~」「見逃していませんか?動悸、息切れ」「胃がんリスク検査のお話 ~がんの早期発見と予防について~」などで、幅広い疾患を取り扱います。地域の皆さんに身近な症状・病気について知っていただけるよう取り組んでいます。

府中病院では、地域のみなさんにより当院を知っていただき、健康づくりに生かしていただくための広報誌「まごころふちゅう」を年2回発行し、病院内で配布しています。当院の取り組み、病気のわかりやすい解説など、楽しく読める内容になっているのでぜひ手にとっていただければと思っています。
ほかにもSNSやYouTubeなどで当院の情報を発信しているので、ぜひご覧ください。

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外観
泉大津急性期メディカルセンター完成予想図(府中病院ご提供)

当院は2024年12月に、泉大津市立病院と再編統合をし、“府中病院”と府中病院の至近距離に建設中の“泉大津急性期メディカルセンター”、泉大津市立病院が改称して“泉大津周産期小児医療センター”の機能分化した3つの病院として地域に最適な医療を提供することとなりました。

この再編によって、それぞれが効率的に、より高い専門性を持って地域の皆さんへ医療することができます。

現在府中病院は、急性期医療から回復期医療までを担っていますが、再編後はより専門性を高めた回復期医療を中心に提供する病院となります。
急性期については“泉大津急性期メディカルセンター”に府中病院の急性期のスタッフが移り、より新しい環境、新しい設備で救急医療などを提供します。こちらではダ・ヴィンチによるロボット手術や、大阪府南部では初めての導入となるX線ピンポイント照射が可能な放射線治療装置“サイバーナイフ”といった、新しく、かつ低侵襲(体に負担が少ない)な治療を、今まで以上に提供できるようになります。

この再編を通じて、当院はこれからも地域の皆さんの医療に質の高い医療を提供して行きたいと思います。

竹内先生
(府中病院ご提供)

冒頭で述べたように、当院は長きにわたり地域の皆さんの健康を支えてきました。2024年の再編によって、泉大津市を中心としたこの地域の皆さんにより適切な医療を提供できることになります。ぜひご期待ください。

当院は患者さんによりよい医療を提供するために必要な設備やスタッフを整えています。これからも、皆さんが安心できる地域に愛される病院を目指していきます。

泉大津急性期メディカルセンター 特設サイト
https://www.seichokai.or.jp/ozumc/opening/

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