院長インタビュー

「患者さん第一」をモットーに、安全で高度な医療を迅速に提供できる病院を目指して―順天堂大学医学部附属順天堂医院の取り組み

「患者さん第一」をモットーに、安全で高度な医療を迅速に提供できる病院を目指して―順天堂大学医学部附属順天堂医院の取り組み
髙橋 和久 先生

順天堂大学医学部附属順天堂医院 院長(呼吸器内科 教授)

髙橋 和久 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年06月26日です。

東京都・文京区に位置する順天堂大学医学部附属順天堂医院(以下、順天堂医院)は、他を思いやり慈しむ「仁」の精神を大切にし、発展を遂げた病院です。その根底には、安心・安全を心がけながら、すべての人に公平に医療サービスを提供したいという思いがあります。大学病院として高度な先進医療を提供するとともに、地域の患者さんを大切にしています。

同医院の院長でいらっしゃる髙橋和久先生は、「Patient First(患者第一)」をモットーに掲げ、患者さんが安心して利用することができる病院を目指し、新たな取り組みに積極的に取り組んでいらっしゃいます。今回は、髙橋和久先生に、順天堂医院が大切にしている考えや、尽力している取り組みについてお話しいただきました。

病院外観
病院外観

順天堂大学医学部附属順天堂医院は、1838年、佐藤泰然(たいぜん)が開いた医学塾である和田塾がルーツになっています。この和田塾は、日本で初めて西洋医学を扱う医学塾として開設されました。

その後、1843年に、佐藤泰然は佐倉本町(現在の千葉県佐倉市)に順天堂を開設しました。現在の名称は、これを引き継いだものになります(2019年4月時点)。

当院の前進であるこれらの医学塾は、医学に情熱を注ぐ者が修練を積む場所であるとともに、たくさんの方を救う場所でもありました。たとえば、洪水によって疫病が流行したり、治水事業によってけが人が発生したりするなか、医学塾に所属していた者は患者さんの治療に奔走して多くの人を救ったといわれています。

創始者である佐藤泰然は義理と人情を重んじ、患者さんへの深い思いやりに溢れた人物であったと思っています。当院は、このような創始者の思いを引き継ぎ、他を思いやり慈しむ「仁」の精神を大切にしながら発展を遂げてきました。

理念は「不断前進」であり、どのようなときでも向上心を忘れず、最良の医療を提供すべく努力を続けています。

ICUの様子
ICUの様子

当院は、すべての方に公平に、安心・安全を心がけながら医療サービスを提供したいと考えています。たとえば、近隣の皆さんも、また、全国から来られる先進的医療を必要とする難治例の患者さんも、全ての患者さんを平等に大切にしたいのです。

私たちは大学病院として、高度な先進医療を担う使命を持っています。実際に、高度な医療の提供と医療技術開発および研修を実施する能力を有する特定機能病院として厚生労働省より承認されており、医薬品、医療機器の開発とともに先進的な高度急性期、急性期医療を常に積極的に行っています(2019年4月時点)。

当院を選んでくださる全ての患者さんを大切にし、それぞれの患者さんに適した診療を提供したいと思っています。そのため当院では、どのような状態の患者さんであっても、可能な限り受け入れ診療するよう努めています。

当院は、高度な先進医療に取り組む使命を持つ大学病院として、先進医療に積極的に取り組んでいます。その取り組みのひとつがロボット手術の導入です。近年、より安全で負担の少ない手術を実現するために、ロボット手術が注目を集めています。

たとえば、当院は、手術支援ロボットであるダヴィンチを用いた手術に積極的に取り組んでいます。特に、当院では数多くの前立腺がんや肺の病気の手術でダヴィンチを使用していますが、他にも大腸や婦人科の手術にも使用しています。今後はさらには心臓外科手術にも対応できるよう体制を整えていく予定です。

また、ダヴィンチを正確に操作する医師の育成についても、病院が後押しして積極的に取り組んでいます。

当院は救急指定病院として救急医療にも注力しており、救急車による搬送をできる限り断らず受け入れています。実際、救急車の受け入れも99%とほとんど断りません。また救急車による搬送は、2018年は月間600〜700台程ですが、今後はさらに多くの救急患者さんを受け入れたいと思っています。

さらに、救急車以外で来院される救急患者さんも、積極的に受け入れています。救急車以外で当院を受診される救急患者さんもできるだけお待たせせず、受診時情報(トリアージ)を正確に把握したうえで、各人に対して適切な医療を提供に努めています。

当院は、診療科どうしの連携を実現しながら、独自の取り組みを積極的に進めてきました。ここでは、当院が尽力している取り組みをいくつかご紹介します。

検査室の様子
検査室の様子

当院では、より専門的な治療を実現するため、いくつかのセンターを設置しています。

たとえば、2019年4月には、「足の疾患センター」を開設しました。足の疾患センターとは、糖尿病による足病変や扁平足(へんぺいそく)下肢静脈瘤など、足の病気を専門的に診るセンターです。同センターでは、形成外科や循環器内科、皮膚科、整形外科、糖尿病内科など、さまざまな診療科の医師が協力して治療を行います。また、医師のみならずフットケア専門の看護師やリハビリテーションスタッフなどがチームを組んで治療にあたっています。

足の疾患センターの治療の様子
足の疾患センターの治療の様子

他にも、脊椎脊髄センターでは、主に脳神経外科と整形外科が連携しながら、脊椎や脊髄の病気の治療にあたっています。

脊椎脊髄センターのスタッフの皆さん
脊椎脊髄センターのスタッフの皆さん

当院は、医療安全や、医療の効率化への取り組み等が評価され、国際的な病院機能評価であるJCI(Joint Commission International)の認定を受けた病院です。

国際診療部の様子
国際診療部の様子

世界に開かれた病院として、国際診療部を設立し、外国人の患者さんも積極的に受け入れています。国際診療部では、語学が堪能なスタッフが中心となり、海外から受診を希望される患者さんの相談に応じたり、日本で暮らす外国人の方が当院で安心して医療を受けられるよう支援しています。

当院は、東京都より委託を受けて、東京都難病相談・支援センターを設けています。同センターでは、主に難病の患者さんの日常生活や就労などに関する相談に応じています。この相談・支援センターは難病専用の外来を併設し、難病の検査や治療などにも対応しています。

手術風景
手術風景

私は、院長として「医療安全のさらなる強化」を目標のひとつにしています。それは、医療安全を強化することで患者さんがより安心して医療サービスを受けることができるようになることはもちろん、医療事故を防ぐような仕組みがあれば若手医師が安心してスキルアップをはかることができると考えているためです。

今後も、医療事故が起こらないような仕組みづくりを強化していくつもりです。

また、当院は、若手医師がさまざまな経験を積むことができる場所にしたいと考えています。たとえば、救急医療から集中治療まで一連の経験を積むことで、重症の患者さんへの診療技術を磨いてほしいのです。

また、大学病院である当院は、研究にも力を入れています。そのため当院に所属する医師には、診療技術の向上をはかるだけでなく、リサーチマインドをもち研究にも取り組んでもらいたいです。そしてやがて新薬や新たな治療法の開発につなげていってほしいと思っています。

診療風景
診療風景

私たち順天堂医院で働くスタッフは、自分や家族が病気になったときに「受診したい」と思えるような病院でありたいと思っています。そのために、患者さんが困っているときに、迅速に対応することができるよう努めています。また、当院のスタッフは、どのようなときも患者さんを第一に考え、思いやりを持ち患者さんに接するよう心がけています。

私は、当院は地域に支えられ、地域とともにある病院であると考えています。地域の皆さんのニーズを把握しながら、満足していただける医療サービスを提供すべく、今度もスタッフ一丸となり努力していきます。

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  • 順天堂大学医学部附属順天堂医院 院長(呼吸器内科 教授)

    髙橋 和久 先生

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