院長インタビュー

低侵襲かつ臓器温存性の高い治療に取り組むメディカルトピア草加病院

低侵襲かつ臓器温存性の高い治療に取り組むメディカルトピア草加病院
金平 永二 先生

メディカルトピア草加病院 院長/外科顧問、上尾中央総合医科グループ 内視鏡外科アカデミー代表

金平 永二 先生

この記事の最終更新は2018年02月21日です。

医療法人社団 協友会 メディカルトピア草加病院は埼玉県草加市に所在し、患者さんのからだに負担の少ない医療の提供に努めています。内視鏡による手術を中心に、痛みや出血が少なく、また、臓器をできるだけ残した治療を行うことを心がけています。今回は、メディカルトピア草加病院の院長である金平 永二先生に病院の取り組みや今後目指す姿についてお話を伺いました。

当院に院長として着任した私の最初のミッションは、施設のリニューアルでした。目指したビジョンは、「小さいながらも強い特色をもつ病院」です。

当院は総合病院ではないため、あらゆる分野をカバーできるわけではありません。カバーする分野を広げるのではなく、得意な機能をより強化して特定の分野に秀でることが当院のあるべき姿ではないかと考えたのです。

2012年2月の新設移転の実施にあたり、地域に必要な機能を残しながら、特色ある医療を実践できる環境を整えました。現在当院は、地域医療をしっかりとサポートするとともに、低侵襲かつ臓器温存性の高い治療の提供を目指し、日々の診療にあたっています。

当院の消化器内科では、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行っています。ESDとは、食道や胃、大腸といった消化管にできる早期がんの腫瘍を、内視鏡を用いて開腹せずに取り除く手術です。たとえば、消化管は内側から粘膜層、粘膜下層、筋層という3つの層で構成されています。このうち粘膜層と粘膜下層だけを剥離し腫瘍を取り除くことで、臓器へのダメージを抑えることが可能です。

同じく、外科が行う内視鏡手術においても患者さんの負担の少ない治療を心がけています。

婦人科では、子宮を全摘せずに子宮筋腫による病変部のみを摘出する手術を行なっています。手術で子宮をすべて取り除いてしまえば、当然術後の妊娠は望めません。そのため、当院では患者さんのご希望があれば子宮を可能な限り残し、再び妊娠できる治療を行なっています。

このように当院では、低侵襲なことはもちろん健康な臓器を最大限に残す、臓器温存性の高い治療を目指しています。病変部だけを取り除くことで、患者さんができるだけ早く手術前と同じ生活に戻れるよう配慮しています。

リニューアルに際して外科を開設するまで、当院には手術部門がありませんでした

そのため、当院が外科的手術を行えることをみなさまに知ってもらう必要があり、周辺の医療機関に対して営業活動を行いました。その甲斐もあって、当院の外科に多くの患者さんがいらっしゃるようになりました。2017年12月時点で、延べ5,000件を超える内視鏡手術を行なっています。

メディカル・ツーリズムを日本が誇る産業のひとつとして確立させることは私の夢です。日本の医療は、世界的にみても高水準であると思います。たとえ小規模な病院であっても、海外から患者さんを迎えられる技術をもっている可能性が高いでしょう。まずは当院でこれを実践すべく、現在は外国人患者さんの積極的な受け入れに取り組んでいます。
外国人の患者さんを受け入れるにあたり、言語の違いが障害となるケースがよくあります。当院では、インターネット上の翻訳機能などを駆使してコミュニケーションを図ることで、生活習慣や食文化などに配慮した、よりよい医療ケアの提供に努めています。

また、当院には英語や韓国語、中国語を話せるスタッフが数名在籍しています。そういった背景もあり、当院を頼りにしてくださる外国人患者さんも、だんだんと増えてきました。

私が当院の院長に着任し、最初に掲げたポリシーのなかに「チャレンジ精神を大切にする」という行動原則を盛り込みました。当院のスタッフには、ほかの病院がやっていないから、前例がないからという理由で諦めてしまうのではなく、「とにかくやってみよう」という精神を持ってほしいと考えています。スタッフたちはその理念に基づき、斬新なアイデアを出してくれています。

当院のスタッフのアイデアから生まれた取り組みに、「ピアーチェプロジェクト」があります。これはすべての職員に、自分が笑顔になったエピソードと笑顔にしてくれた職員の名前を記載して投票してもらい、得票数の多い職員とたくさん投票してくれた職員の両名を表彰するという取り組みです。職員の笑顔が増えることは、必ずよりよい医療サービスの提供につながります。

このような新しいアイデアを積極的に採用することで、医療の質向上を目指してまいります。

当院にいらした患者さんはもちろん、当院のスタッフみんながハッピーになれる病院でありたいと考えています。これを実現するために、新任の先生には、「自分がハッピーになるための発言を積極的に行なってください」と伝えてきました。当院は、すべてのスタッフが協力して、その発言を建設的なアイデアに変えていく努力を惜しみません。

たとえば「部屋のスペースが狭くて業務に支障をきたしている」という意見があれば、その部屋にある物品を別の場所に移して整理したり、装置をデジタル化することでスペースを確保したりといったアイデアが生まれます。

もちろん設備や施設に対する意見だけでなく、ライフワークバランスや研修環境への意見など、なんでも話してほしいと思っています。

一人の問題を全員で解決していくことが病院のアップデートにつながります。それを積み重ねることで、みんながハッピーでいられる組織となっていくはずです。

当院は2012年2月のリニューアルに際して、得意とする医療分野をより一層、強化してきました。その一方で、当院で診療が難しい患者さんは、周辺の医療機関と連携して対応しています。これからは、地域全体で住民のみなさまの健康を守る体制の構築を進めてまいります。

また当院では、在籍するすべてのスタッフが日々成長していくことを目指して業務にあたっています。今日よりも明日の自分が、わずかにでも成長しているよう努めています。

この成長は技術に限ったことではありません。よりよい医療を提供するためには、医療技術を突きつめることも確かに大切です。しかし、当院はそれ以上に真心を大切にしています。真心込めた、きめ細やかな医療ケアでみなさまを笑顔にしたいと考えています。

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  • メディカルトピア草加病院 院長/外科顧問、上尾中央総合医科グループ 内視鏡外科アカデミー代表

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  • メディカルトピア草加病院 院長/外科顧問、上尾中央総合医科グループ 内視鏡外科アカデミー代表

    日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(消化器・一般外科領域)日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡指導医日本消化器外科学会 消化器外科指導医日本外科学会 外科専門医

    金平 永二 先生

    1991年にドイツで内視鏡外科を開始して以来、内視鏡外科に特化した活動を続けている。胃,大腸,胆のう・膵,脾など消化器の内視鏡外科手術を幅広く実践する一方で、内視鏡外科の普及活動を展開している.手術手技では特に、直腸腫瘍に対する経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー(TEM)を日本に導入し、同手術の技術では世界トップクラスのエキスパートを自負.フリーの時代に全国津々浦々から依頼され60か所以上の病院で内視鏡外科手術を施行した.海外でもシンガポール,ニュージーランド,香港,韓国,台湾, マレーシア,中国で依頼手術を行った.国内外で内視鏡外科トレーニングコースを多数開催している. 手術器具の開発も積極的に行い、現在までに7つの器具市販を実現した。英文国際医学雑誌 Minimally Invasive Therapy & Allied Technologiesの Editor in Chief (編集長) を務める

    金平 永二 先生の所属医療機関

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