石川県金沢市にあるJCHO金沢病院は、地域医療に貢献するためにさまざまな取り組みを行っています。若手医師の育成や、地域の病院やクリニックの先生方との連携を大切にしています。また、地域交流のひとつとして金沢市で開催されるお祭りや、金沢マラソンにも参加をしている職員の方がいらっしゃいます。
同院が目標としている、切れ目のない医療の提供のために行っている取り組みはどのようなものがあるのでしょうか。独立行政法人 地域医療機能推進機構 金沢病院 病院長の村本弘昭先生にお話を伺いました。
当院では、介護老人保健施設や訪問看護ステーションなどの附属施設と連携し、地域のみなさまに切れ目のない医療の提供ができるように尽力しています。
当院は急性期と回復期の医療提供に努めており、治療の終わった患者さんが次の医療をスムーズに受けられるようにシステムづくりを行っています。
地域の病院と連携を行い、地域完結型の医療提供を目指しています。
当院は、切れ目のない医療の提供を実現するために、急性期病棟と回復期病棟を備えています。2018年1月現在、当院の病床数は248床です。当院で急性期医療と回復期医療の提供を担えればよいと考えています。
当院では、糖尿病の予防や透析予防、メタボリックシンドロームなどの治療に尽力しています。また、健診などで血糖値が高い結果がでた方には早い受診をしてほしいと思っています。予防のひとつとして受診された患者さんに、療養指導や栄養指導も行っています。
当院の附属施設には、訪問看護ステーションと、介護老人保健施設があります。
当院で治療を行い、地域に戻った際には、訪問看護などの医療の提供や介護老人保健施設への入所の案内を行えるようにしています。
また、介護老人保健施設では、一般入所以外に、ショートステイやデイケアなども行っています。
<JCHO金沢病院の附属施設の一部>
附属施設と連携し、地域のみなさまに切れ目のない医療の提供を目指しています。
当院では月に1回、地域のクリニックの先生方と症例検討会を行っています。症例検討会とは、紹介していただいたクリニックの先生方と当院の担当医が合同でディスカッションを行う場です。
当院で開催する症例検討会は、2018年1月で306回になりました。症例検討会では、地域の先生方から当院にご紹介していただいた患者さんの経過の報告などを行っています。参加人数は開催する月によって異なりますが、50名ほどで行うこともあります。
また、患者さんをご紹介いただいた先生方だけではなく、勉強のために参加をしている先生方もいらっしゃいます。
症例検討会を通じて、当院と地域の病院の連携を深めていけているのではないかと思います。
当院の医師と地域の病院の先生方が顔を合わせることで、今後の地域医療に貢献するうえで、良好な関係を築いていくことができればよいと考えています。
当院では、超高齢化を見据え、内科の医師が総合的に診療を行えるように注力をしています。それぞれの医師が、得意な診療科で診療をすることはよいことだと考えています。しかし私は、地域医療を今後も支えられるような病院を目指すためには、総合的に診療を行える医師が必要なのではないかと思っています。
当院は大学病院と連携して、総合診療医の育成を目指しています。当院では診療科間の垣根が低く、各科の連携が非常にスムーズであることが特徴と考えています。そのため研修医にとって各科の指導がとても受けやすいと思っています。
<JCHO金沢病院の主な診療科>
当院では、毎年金沢市で開催されている金沢百万石まつりで行われる百万石踊り流しにJCHO金沢病院として団体参加をしています。参加する職員がおそろいのTシャツを着て行っています。
百万石踊り流しは、地域交流の一環として参加しています。また2016年には、当院が百万石踊り流しで優勝し、表彰を受けました。
2015年から金沢市で開催されている金沢マラソンに、昨年は医師2名を含む6名が参加いたしました。全員無事に完走し、地域のみなさまやマラソン参加者のみなさまとの交流をいたしました。
毎年12月に院内クリスマスコンサートを開催し、当院の職員が楽器の演奏や合唱を行っています。入院患者さんやそのご家族、外来患者さんに楽しんでいただけたと思っております。
当院では今後もさまざまなイベントの開催などを行い、地域のみなさまと交流をしていきたいと考えています。
当院に入院されているご高齢の患者さんが、入院中のストレスなどから認知症の誘発につながらないように、院内デイケア「かがやき」を開設しました。
院内デイケア「かがやき」では、患者さんの本来の治療に支障のでない範囲で、体と心のリハビリテーションを行っています。また、行政やほかの病院から院内デイケアの見学にいらっしゃる方々の受け入れも行っています。
当院の院内デイケアは、認知症認定看護師、作業療法士、看護師、看護補助者がチームとなって行っています。また、院内デイケアを行う前に患者さん一人ひとりの生活歴などを伺っています。患者さんの生活歴を伺い、リハビリのほかに絵を描いたり歌を歌ったり、患者さんの生活歴に近づけるようなレクリエーションを行っています。また、院内デイケアは、患者さん同士の交流の場としても活用しています。
院内デイケアを通じて、患者さんが退院後も地域に戻れるようにしていきたいと思っています。また、今後はかがやきが入院患者さんにとって楽しく、やすらぎのある場所になるようにしていきたいと考えています。
当院は、地域に信頼され、頼りにされる病院でありたいと考えています。そのためには、さまざまな取り組みや地域交流を行っていきたいと思っています。
また、当院で働くスタッフには、患者さんの立場や気持ちを理解するように意識してもらっています。親切で頼られる職員になるためには、必要なことだと考えているためです。
当院の職員が親切で頼られる者であれば、地域のみなさまに信頼され頼りにされる病院に近づけるのではないかと思います。
当院で急性期治療を行った患者さんが回復期や、在宅医療などを受けるうえで、切れ目なく提供できるように努めていきたいと思っています。当院や附属施設、また地域の先生方と連携し、実現を目指していきます。
独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO)金沢病院 院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。