院長インタビュー

済生の精神を持ち日々の診療を─済生会長崎病院

済生の精神を持ち日々の診療を─済生会長崎病院
衛藤 正雄 先生

社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 済生会長崎病院 院長

衛藤 正雄 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年08月29日です。

済生会長崎病院は長崎県長崎市で急性期医療や生活困窮者支援を行っています。明治天皇が済生勅語を発し、創立された済生会の医療機関のひとつです。地域包括ケアシステム構築に向けた取り組みや同院について、社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 済生会長崎病院 院長 衛藤正雄(えとうまさお)先生にお話を伺いました。

済生会長崎病院─外観(済生会長崎病院よりご提供)

社会福祉法人恩賜財団済生会は法人全体で生活困窮者自立支援事業を行っています。済生会の病院で提供されている無料低額診療事業を中心に、以下の支援を行い生活困窮者でも医療を受けられるように尽力しています。

<済生会長崎病院の生活困窮者支援事業>

  • 精神障害教護施設との連携
  • 更生保護施設入所者への健診事業
  • DV被害者保護施設入所
  • 人身取引等の被害者保護施設入所者支援
  • ネグレクト被害者への支援

なぜこれらの支援事業を行っているのかというと、済生会創立の歴史に関係があります。

済生会は1911年に明治天皇が発した「済生勅語」を受け、当時の内閣総理大臣・桂太郎が会長となるかたちで創立しました。済生勅語とは、生活が苦しく、医療を受けることができずに困っている方々を無償で治療し、救おうといった勅語です。

そのため、当院をはじめとした済生会の病院ではこういった支援事業を積極的に行っています。

当院の205床(2018年6月現在)の病床はすべて個室になっています。患者さんのプライバシーに配慮した診療を提供するために全部屋を個室にしました。

特別な事情があり、医療費の支払いが困難な方を対象にした医療費の全額無料、または低額での診療を行う事業です。医療費を減額し実施することで患者さんに安心して医療を受けていただくことができます。対象になる方や、どれくらい減額できるのかなどは患者さん個人の生活背景によって異なります。当院の地域医療連携センターに在籍している医療ソーシャルワーカーまでお気軽にお問い合わせください。

以下では、当院が力を入れている診療科についてお話しいたします。

2階の待合室(済生会長崎病院よりご提供)

整形外科では骨折脱臼などの一般外傷から開放骨折(折れた骨が露出している骨折)に対して24時間対応ができる体制をつくっています。たとえば、解放骨折の治療に使用する創外固定器を院内に常備しており、開放骨折に対しても迅速に対応ができます。

また、整形外科分野の救急搬送にも対応しており、骨盤骨折多発外傷(体の複数部位で外傷を負っている状態)の治療に尽力しています。

予約外、時間外待合室(済生会長崎病院よりご提供)

肩関節や肘関節、股関節などの関節への治療には関節鏡を用いた手術を多数実施しています。関節鏡手術は小さな穴を数か所開けて、その穴から器具やカメラを挿入して行う手術方法です。この手術は患者さんの体への負担が少なく、早期の社会復帰が期待されている低侵襲な手術です。

関節鏡手術は腱の断裂やスポーツ障害などにも応用し、幅広い病状に対応しています。

また、当院の手術室には無菌室を備えており、人工関節手術も無菌室で行うことができます。人工関節手術は肩関節や肘関節、股関節や膝関節で対応しています。

8階の特病室(済生会長崎病院よりご提供)

当院は地域包括ケアシステム構築に向けて、地域包括ケア病棟を1病棟開設しました。今後はこの病棟を活用していくことで、今まで以上に地域医療へ貢献していきます。また、地域包括ケアシステム構築に役立てていきたいと考えています。

地域包括ケアシステムとは、いわゆる団塊の世代が75歳以上になる2025年をめどに医療から介護や予防、住まいなどの生活支援が地域で包括的に提供されるシステムのことです。

当院は地域に急性期医療を提供するかたわらで、在宅診療を行っている先生方のサポートも行っています。長崎市内で在宅診療をしている先生方に登録をしてもらい、患者さんに急変があった場合に当院で対応する仕組みです。この仕組みがスムーズに機能することで在宅診療への後方支援に尽力することができると考えています。

職員がモチベーション維持をしやすいように、院内で職員向けのイベントを開催しています。たとえば、夏には納涼会、冬には忘年会を実施しています。別部署の職員との交流の場にもなりますし、院内イベントがあることで日々の業務の息抜きになると思います。

済生会九州ブロックでは、毎年ソフトボール大会が開催されます。済生会九州ブロック親善ソフトボール大会は院内の職員だけでなく済生会九州ブロックで働く職員とも交流でき、親睦を深めることができます。

モチベーションを維持し、職員と親睦を深めることで日々の職務でもチームワークがうまれると思います。

当院では医師に対して人事評価制度を導入しました。職員から医師の日々の職務時の対応などを評価してもらいます。医師のモチベーションアップや、よりよい医療の提供につながると考えています。

職員には「One for all, All for one」の気持ちを大切にしてほしいと伝えています。職員が親睦を深め、信頼しあい、自分の力を発揮して日々の職務にあたってほしいと思います。チームワークを強化し、地域のみなさまに医療提供をしていきます。

若手医師には当院の理念を理解してもらい、日々の診療にあたってほしいと思います。済生会の病院のひとつであり、済生会が行う生活困窮者支援を実施しています。そういった診療について十分に理解し、医療についてしっかり勉強してください。また、医療の面だけでなく患者さんへの対応の仕方や周りの医療従事者との連携をすることを学び、心のこもった医療を実現する医療者になってほしいと思います。今まで以上に医療の品質を追求し、患者さんの満足度を高められるように努めていきましょう。

済生会長崎病院は閑静な住宅街のなかに位置しています。近くには県道や川が通っており、きれいな景観が見渡せます。また小学校の通学路にもなっています。地域の子どもたちが安心して通学できるように、近隣の美化へ取り組み、長崎の異国情緒ただよう環境を保っていけるように力を入れています。そういった地域環境に配慮し、みなさまと一緒にこの地域環境を守っていける、地域に密着した病院として職員一同、研鑽を重ねてまいります。

2017年第20回目の長崎都市景観賞、大きな建物部門で当院が受賞しました。地域のみなさまに親しみを持ってもらい、受け入れられている結果ではないかと職員一同とても喜んでいます。

救急医療から在宅医療まで切れ目のない包括的な医療サービスを提供し、地域のみなさまの健康と安全を支えていけるように努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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  • 社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 済生会長崎病院 院長

    衛藤 正雄 先生

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