院長インタビュー

地域に根差した敷居の低い病院になるように─長崎北徳洲会病院

地域に根差した敷居の低い病院になるように─長崎北徳洲会病院
長崎北徳洲会病院 院長 鬼塚 正成 先生

長崎北徳洲会病院 院長

鬼塚 正成 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

長崎市滑石に位置する長崎北徳洲会病院は急性期医療から回復期リハビリテーションまでを提供しているケアミックス型の病院です。脳卒中などの救急受け入れにくわえ、精神科救急も受け入れている特徴があります。また2020年には近隣の長与町への新築移転を予定しています。

同院の取り組み、そして今後の展望について、医療法人 徳洲会 長崎北徳洲会病院 院長 鬼塚正成先生にお話を伺いました。

長崎北徳洲会病院の断らない救急

長崎北徳洲会病院外観(長崎北徳洲会病院よりご提供)

長崎北徳洲会病院は日々の診療に尽力しながら、救急患者さんの受け入れにも力を入れています。断らない救急医療を実現するために、医師の当直は内科系、外科系と2名体制、画像コンサルトはスマートフォンを活用しています。

その中でも、脳卒中で救急搬送される患者さんは、脳神経外科の医師が処置しなければ命に関わる場合もあります。そういった患者さんが搬送されたときに使用するのが医師に配布しているスマートフォンです。

たとえば、当直の医師が脳神経外科の医師ではなかったとき、脳卒中で搬送された患者さんに緊急手術が必要なのか判断に迷う場合があります。その際に、搬送された患者さんのCTやMRI画像を脳神経外科の医師のスマートフォンに送信します。

脳神経外科の医師はスマートフォンを常に携帯しており、スマートフォンでの迅速なやり取りが可能になります。スマートフォンに送られた画像から緊急手術が必要かどうか、緊急手術にまで至らない患者さんの処置はどのようなことをするのかを指示します。

緊急手術が必要な患者さんには脳神経外科の医師が病院まで駆けつけ、手術を行います。

しかし、実際は緊急で呼び出されるケースは減少していますから勤務医の負担軽減につながっています。

院内カンファレンスの様子(長崎北徳洲会病院よりご提供)

精神科救急の受け入れ

当院は長崎市内の精神科救急を数多く受け入れています。精神科救急は、精神症状を持っている患者さんがなんらかの要因で緊急搬送され、治療を行います。アルコール中毒から薬物多量服薬や自殺未遂など、要因はさまざまです。

たとえば、薬物中毒の患者さんが夜間に搬送されると、当直している医師が可能な限り処置をします。翌朝に心療内科の医師が患者さんを診療し、精神科病棟を設置している病院での治療が必要な場合にはご紹介をしています。

近年ではうつ病などの心の病気にかかってしまう方も増え、自殺未遂や薬物中毒、アルコール中毒なども増加しています。そのような社会背景の中で精神科救急を受け入れることは、地域においてとても重要な役割だと感じています。認知症患者の増加と共に、当院では認知症サポート医である精神科医と作業療法士がチームを組んで地域包括支援センターで抱えている認知症患者さんの問題に積極的に関わっていきたいと考えています。

病院受付(長崎北徳洲会病院よりご提供)

よりよい病院づくりのために

病院食の改革

よりよい病院づくりのために、まず病院食の改革をはじめました。入院生活で普段と違う食事になる患者さんに、おいしい病院食を提供したいと考えたためです。

若手の調理師や栄養管理士に「この組み合わせの食事は患者さんが喜んでいた」、「この味付けがとてもよかった」など、積極的に伝えるようにしています。食事の感想を伝えることで、調理師や管理栄養士のモチベーションアップにもつながります。

また、食材や調理方法を変えたりなどすぐに実践できることを積極的に行い、入院患者さんに少しでも快適な生活を送ってほしいと思います。当院は急性期の治療を行うだけでなく回復期リハビリテーション病棟もあるケアミックス型の病院です。

回復期リハビリテーションをしている患者さんは在宅復帰に向けたリハビリテーションを行うため入院期間が長くなることもあります。食事の面からも患者さんをサポートしていけるように、今後も病院食の改革をしていきたいと思います。

地域の医療機関との連携

地域の医療機関と密接な連携を取ることで、患者さんに切れ目のない医療の提供を目指しています。たとえば、外傷の救急患者さんの受け入れを地域で救急受け入れをしているほかの医療機関がする場合もあります。そのようなときに、回復期リハビリテーションを当院で行うために紹介してもらっています。

回復期リハビリテーションが終了し、在宅医療に移る患者さんには地域で訪問診療をしている先生方に紹介をしています。また、訪問診療の患者さんに急変が起きた場合には当院が断らずに受け入れ、治療を行っています。

さらに、訪問診療を紹介する患者さんには「長崎在宅Dr.ネット」に登録されている開業医を紹介しています。長崎在宅Dr.ネットとは、訪問診療や往診などを複数の医師が連携して行う長崎市の訪問診療システムです。

患者さんの中には、病院ではなく自宅でお看取りを希望される方もいます。患者さんやご家族、地域の先生方と話し合ってなるべく患者さんの希望に添えるように訪問診療専任医師、看護師、介護士が協力して訪問医療と介護を行っています。

2018年度入職式の様子(長崎北徳洲会病院よりご提供)

新築移転を控える長崎北徳洲会病院の今後の展望

スタッフの方々(長崎北徳洲会病院よりご提供)

当院は2020年に新築移転を控えています。新築移転にともない、現在の長崎市滑石から引っ越し、隣町の長与町に移転する予定です。新しい場所で医療提供をするにあたって長与町の医療機関や医師会とまた新たに関係を築いていかなくてはなりません。

また、新築移転後の病院機能のひとつに病児保育の設置を考えています。子どもが病気になりご家族の看護が必要なときでも、ご家族が仕事を休むことができないこともあります。そういった場合に、医療機関などに設置されている病児保育室で看護ケアや保育を行うサービスが病児保育です。

長与町には病児保育を行っている医療機関がなく、就労しているご家族のサポートができるようにしたいと考えています。

滑石の患者さんも大切に

新築移転では、今まで親しんできた滑石を離れることになります。患者さんの中には当院が滑石から移転してしまうことに不安を感じている方もいます。滑石の患者さんやそのご家族にどうやって今までのように治療提供していくか、移転後も当院を受診してもらうにはどうするかを考えています。

2018年現在で出ている案は、滑石から当院までのマイクロバスを運行させることです。マイクロバスの運行が決まれば、現在当院にかかっている患者さんに対してアクセスの負担を軽減することができます。

地域に親しまれる病院でありたい

鬼塚先生からのメッセージ

当院は地域にとって親しみがあり、誰でもかかりやすい病院を目指しています。患者さんのご家族やご友人だけでなく、職員のご家族やご友人になにかがあったときにも気軽にかかってほしい、敷居の低い病院だと思います。

急性期の治療と回復期リハビリテーションを提供しているケアミックス型の病院だからこそできることがあります。地域の医療機関と連携を密接にし、地域の皆さまに切れ目のない医療提供をしていきます。

今後も断らない救急患者さんの受け入れ、精神科救急に尽力し、急性期から回復期リハビリテーションまで提供してまいります。