院長インタビュー

福山循環器病院―24時間救急に対応する循環器専門病院としての取り組み

福山循環器病院―24時間救急に対応する循環器専門病院としての取り組み
向井 省吾 先生

福山循環器病院 院長

向井 省吾 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

この記事の最終更新は2019年02月12日です。

福山循環器病院は、広島県第2の都市である福山市を中心に広島県東部に当たる広域な医療圏に対し、循環器医療を提供しています。日本における主要な死因に当たる循環器疾患は、その治療や予防が重要であるとされています。

循環器専門病院である福山循環器病院では、どのような医療を提供しているのでしょうか。病院長の向井省吾先生にお話を伺いました。

病院外観

急な胸痛が生じた場合は、心臓の血管が狭くなる狭心症や、心臓の血管が完全に詰まったことで生じる心筋梗塞の可能性があります。心筋梗塞や狭心症の場合、症状によっては、早急に心臓カテーテル治療や冠動脈バイパス手術を行う必要があります。

心臓カテーテル治療とは、カテーテルと呼ばれる細い管を血管に挿入して、狭くなってしまった血管を広げる治療です。冠動脈バイパス手術は、心筋梗塞や狭心症で生じた冠動脈の詰まりに対し、迂回する路をつくることで血流を回復させる手術のことです。

当院は、24時間体制で、救急カテーテル治療や冠動脈バイパス手術、このほかの心臓手術に対応できる医療体制を整えています。

心筋梗塞・狭心症のほかにも、循環器疾患には緊急の治療が必要な病気があります。しかし、患者さんご本人がどの症状が緊急性の高い治療を要するものであるかを判断するのは困難であると思います。

そこで次では、循環器の救急症状発症時における、当院での医療提供についてご説明します。

循環器疾患は、その症状によっては緊急に処置を行わないと命にかかわることがあります。しかし、その判断を患者さんやご家族の方が行うのは現状では難しいでしょう。

救急医療が必要とされる胸痛・動悸が伴う不整脈・呼吸困難の症状が急に出た場合、まずは当院の救急電話にお電話ください。当院では、「24時間いつでも救急医療を行う」を基本とし、24時間365日休むことなく、電話相談を受けております。

担当のスタッフが電話にて症状をお伺いし、緊急性に応じた適切な対応と案内をさせていただいています。当院では対応が難しい症状や緊急の手術が難しい状況であった場合には、責任をもって、他の病院を紹介させていただいています。

当院では一人ひとりの患者さんに適した治療法の提案・術前術後のケアなど、治療を受ける患者さんを最大限サポートできるよう「ハートチーム」を組織しています。当チームは、循環器内科と循環器外科の医師をはじめ、看護師・臨床検査技師などのさまざまな職種のスタッフにより構成されています。チームによる医療を提供することで、患者さんへのサポート体制を強化することができ、治療後の生活への復帰を円滑に進めることを可能にしています。

カンファレンスの様子

TAVIとは、経カテーテル大動脈弁治療のことで、大動脈弁狭窄症に対し、人工弁を挿入することで症状の改善を図る治療です。大動脈弁狭窄症とは、心臓の出口である大動脈弁が狭くなり、血液の流れが妨げられる病気のことです。

治療方法としては、カテーテルを用い、開胸することなく人工弁を心臓に置換します。このような方法を取ることで、患者さんが高齢であったり、他の合併症があったりする場合でも治療を受けることが可能になっています。

手術中の様子

当院では、2015年よりTAVI治療を行っています。従来の開胸手術に比べ、切開部分が小さく済むため感染症のリスクが低く、患者さんの体への負担が少ないので、1週間という短期間の入院を可能にしています。

患者さんの不安を取り除く医療の実践

循環器疾患は命に直結する病気が多いため、患者さんの中には不安を抱えながら通院している方もいらっしゃいます。当院は、その不安を少しでも取り除けるよう、患者さんに安心していただくことが使命と考えています。そのために、検査や治療の説明を専門用語ではなく、わかりやすい言葉で説明するよう、医師・看護師をはじめとする職員全員が心がけています。

福山循環器病院の職員の皆さん

地域医療連携室は、主に当院と地域の医療機関・介護施設との連携を図り、患者さんの受け入れや依頼を行っています。また、地域への医療知識の啓発という意味も含め、地域における医療をよりよくしたいと考えています。病院から地域に向けた市民公開講座の実施、院内新聞「光彩」や機関誌「てとらぽっと」の発行などを積極的に行い、地域の方へ情報発信をしていきます。

当院は、循環器疾患に関する知識を深め、臨床研究を充実させるべく、当院主催での症例検討会やオープンカンファレンスを行っています。症例検討会は、年1・2回の頻度で毎回異なるテーマで行っています。

2018年2月21日に開催した症例検討会では、「診断・治療過程の提示」をテーマに、実際の症例に関して当院の循環器内科の医師数名が発表し、検討を行いました。また、オープンカンファレンスでは、外部の日本循環器学会認定の循環器専門医をお招きし、テーマに沿って講義をしていただきます。このように、他病院における取り組みについても学ぶ機会を設けています。

当院では、学びの場を設けることで、患者さんの症状に応じた医療を提供できるように努めています。新たな知識を吸収し、職員同士、密に連携を取り診療にあたるチーム医療に取り組みたい若手医師の方に、ぜひ当院に来ていただきたいです。当院のチーム医療から、知識を吸収し、技術の研鑽に励んでほしいと考えています。

循環器疾患の専門病院として、地域の皆さんに安心していただくことが、当院の使命です。

そのために、患者さんとの信頼関係を築くことが重要であると考えています。患者さんとの信頼関係を築く第一段階として、当院を受診する際には、かかりつけ医からの紹介状をご持参ください。

紹介状は、患者さん一人ひとりの病状や治療経過を正確に把握し、その後の治療方針を立てる際に有益な情報となります。これにより、医師は以前の病院で受けていた治療を鑑みて、治療方針を提案できるようになります。紹介状は、患者さんに対し、切れ目のない医療をご提供するための必需品といえるのです。

当院では、職員一同、診療時の丁寧な説明と対応を心がけてまいります。また、患者さんとのコミュニケーションをしっかり取ることで、患者さんの不安を取り除けるよう尽力いたします。

受診について相談する
「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。