院長インタビュー

住民が安心して暮らし続けられる、暮らし終えられる街を目指して―魚沼市立小出病院の取り組み

住民が安心して暮らし続けられる、暮らし終えられる街を目指して―魚沼市立小出病院の取り組み
布施 克也 先生

魚沼市立小出病院 院長

布施 克也 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

この記事の最終更新は2019年03月19日です。

魚沼市立小出病院は、1924年に郷民の方々が資金を出し合って設立した魚沼共済病院を前身とする病院です。1951年に新潟県立小出病院となり、2015年の魚沼地域医療再編に伴って現在の名称となりました。設立から長きにわたり、地域の中核病院として住民の健康を支えてきました。

魚沼市立小出病院の担う医療や魚沼地域全体で行われている取り組みについて、院長である布施 克也先生にお話を伺いました。

病院外観

魚沼市立小出病院は、かつては救急医療・高度急性期医療を担う急性期病院でした。2015年に行われた魚沼地域医療再編に伴い、現在は内科系疾患の急性期医療から回復期、慢性期医療、在宅医療とそのサポート、終末期医療やお看取りまで幅広く提供しています。

地域住民の生活を支える病院として、ニーズに応える重要な役割を担っていると自負しています。

魚沼地域では現在、厚生労働省の策定した地域医療構想に沿って、限られた医療資源を効率よく活用するために地域の各医療機関の病床機能分化とその連携を進めています。

たとえば、高度な外科治療が必要な救急患者さんは新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院へ搬送されます。一方で、主に内科治療が必要とされる患者さんなどは、まず初めに当院へ搬送されます。つまり、魚沼基幹病院は高度急性期医療、当院は生活医療を担っています。

カンファレンス風景

当院で受け入れる患者さんの状態は幅広く、先ほど述べた内科系の救急患者さんから、魚沼基幹病院で急性期治療を終えた患者さん(ポストアキュート)、普段は在宅療養や施設に入所していて一時的に状態が悪くなった患者さん(サブアキュート)や病院でのお看取りを希望される方までとさまざまです。

また当院では、在宅療養の患者さんを支えるご家族の休息のためにレスパイト入院を受け入れています。

リハビリテーションの提供も当院の重要な役割であると考えています。回復期だけでなく、一部の急性期や維持期、終末期におけるリハビリも提供しています。

終末期においても、リハビリは重要です。患者さんが最期まで生活の質を落とさずに暮らすためには、適切なリハビリを提供することが大切です。

リハビリテーション室

当院の所在する魚沼市を中心とした魚沼地域(魚沼医療圏)はかつて、少ない医療資源が決して効率的に使われているとは言えない状態でした。そうした状況を改善するため、2015年に魚沼地域医療再編が行われ既存の病院をすべて解体、新しい病院を開設しました。

この再編成に伴い、当院も383床の高度急性期医療を行う病院から134床(2019年2月時点)の地域包括ケアにおけるプライマリケアセンターへ変貌を遂げたのです。

高度急性期・専門医療に関しては、新しく魚沼基幹病院を開設し、そちらへ機能を移しました。当院では新たに慢性期疾患の重症化予防や、在宅医療のサポート、日常の健康管理やお看取りなどに力を注ぐようになりました。

この再編の目的は、地域全体をひとつの病院にすることでした。最初の外来は当院で対応し、手術や急性期の患者さんの管理は主に魚沼基幹病院で提供。そして、慢性期の治療やリハビリはまた当院に戻って、といった流れで患者さんが受診されます。

再編により構築された医療システムは、現在生活している方だけでなく、今後生まれてくる子どもたちや、その次の世代まで医療が続くようにと考えて作られた仕組みです。

住民の方々にとっては、理解が難しい部分もあるかと思います。これからも魚沼地域医療再編によってつくられた新しい医療の形について丁寧にお伝えしていければと考えています。

地域内の他種職連携研修会「楽想講座」

魚沼地域には、伝統的に在宅医療が文化として根付いていました。雪深い冬季に、患者さんに無理をしてまで病院に来てくれとは言えません。また昔はご家族がソリを使って医師をご自宅に連れて行ったという話もあります。そういった背景もあり、地域の病院や診療所、医師会の先生方が中心となって、現在も積極的に在宅医療や自宅でのお看取りを行っています。しかし、医師も高齢化しつつあるため、これまで頑張ってきた先生方が引退してしまえば、現在の在宅医療の体制も維持できなくなってしまいます。

そこで、これからの在宅医療を支えていくことも当院の役割だと考えています。現在は地域の訪問診療を行っている病院や診療所の医師をバックアップしつつ、将来的には当院の医師も救急医療から在宅医療、終末期医療やお看取りまでを一貫して担えるよう努めて参ります。

 

魚沼市の目標は、「暮らしやすい街、暮らし続けられる街」です。当院はそこに地域に根付いた病院として「暮らし終えられる街」という目標を加えました。地域の皆さまが住み慣れた街で安心して生活できるように支え続けることが、当院の役割だと考えています。

病院を医療を学ぶ学校にする「ナイトスクール」
受診について相談する
「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。