心不全の治療には、医師や看護師以外にも、数多くのスタッフによるチーム医療が欠かせないといわれています。その理由は、心不全という病気が持つ多面性が大きく影響しています。
今回は、心不全治療にかかわる多職種スタッフの重要性や心不全治療の今後の展望について、北海道大学大学院 医学研究院 循環病態内科学 教授の安斉俊久先生に伺いました。
心不全治療には、医師や看護師以外にも、数多くのスタッフによるチーム医療が欠かせません。
心不全発症前から、高血圧や糖尿病などの生活習慣病をお持ちの方は珍しくはありません。そのため、心不全の治療以外の薬も服用する必要がありますが、飲み合わせがよくない場合もあるため、薬剤師の介入が必要です。さらに、患者さんご自身が行う食生活の見直しや減塩への取り組みには、管理栄養士の介入が欠かせません。心臓リハビリテーションには理学・作業・言語聴覚士が、緩和ケアには臨床心理士、精神科医や医療ソーシャルワーカーなどが関わることもあります。
このように、心不全は多面的な病気であるため、それぞれの知識を有するスタッフによる多面的なアプローチが必要です。
心不全と一口にいっても、心臓の収縮と拡張のどちらの機能がうまくいかないのか、また、心臓の右側と左側のどちらが悪くなっているのかなど、患者さんによって一人ひとり病態が異なり、その治療方法もさまざまです。さらに併存症の組み合わせなどの要素もありますから、一人として同じ病態の患者さんはいらっしゃいません。そのため、それぞれの患者さんに合わせた個別化医療が重要であり、多職種のスタッフによる多面的なアプローチが必要になります。
将来的には、遺伝子を解析して行うゲノム医療のような、一人ひとりの患者さんに最適なオーダーメイド治療が実施できるようになることを目指して、研究・調査が進められています。
心不全は、がんなどの病気と違い、患者さんご自身が生活習慣を改善したり、心臓リハビリテーションに励んだりすることで、ご自身の状態をご自身でよくすることができる可能性がある病気です。再発のリスクを抱えながら、日常生活のさまざまなことに気を付けるのは大変なことだと思います。困ったときや不安なときは、いつでも相談してください。
心不全という病気は、複雑で多種多様な病態があり、治療が長く続くことが多いものです。したがって、私たち医師と患者さんとのお付き合いは、深く、長くなることが多いです。患者さんとたくさん話をして、患者さんの希望を叶えるためにはどうしたらよいかを一生懸命悩み抜いて、そうしてその患者さんに合わせた治療に取り組むということは、とてもやりがいのあることだと思っています。
患者さんができるだけ長く健やかに生活できるよう、これからも患者さんと共に心不全の治療に励んでまいります。
北海道大学大学院 医学研究院 循環病態内科学 教授、心不全低侵襲先進治療学 教授(兼任)、心不全遠隔医療開発学 教授(兼任)、心不全医薬連携開発学 教授(兼任)
北海道大学大学院 医学研究院 循環病態内科学 教授、心不全低侵襲先進治療学 教授(兼任)、心不全遠隔医療開発学 教授(兼任)、心不全医薬連携開発学 教授(兼任)
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・内科指導医日本循環器学会 循環器専門医
情熱と愛情を持って医療に臨む
慶應義塾大学を卒業後、同大学で初期研修医として研鑽を積み、浦和市立病院の内科を経て、再び慶應義塾大学にて循環器内科医としての手技を身につける。その後、慶應義塾大学 内科学の助手を務めるなかで、研究の魅力に強く惹かれ、没頭。カルフォルニア大学 循環器科に留学し、さらに研究を深めた。帰国後は慶應義塾大学 循環器内科学の専任講師に着任。その後、国際医療福祉大学 教授、国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門 部長を務める。その後、高校3年生の修学旅行で訪れ、憧れを抱いていた北海道大学大学院 医学研究院 循環病態内科学 教授に着任。現在に至る。
安斉 俊久 先生の所属医療機関
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