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インフルエンザB型の流行パターンと予防のポイント

インフルエンザB型の流行パターンと予防のポイント
志賀 隆 先生

国際医療福祉大学救急医学 主任教授、国際医療福祉大学成田病院 救急科部長

志賀 隆 先生

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インフルエンザは38℃以上の高熱や全身のだるさ、筋肉痛・関節痛などが現れる感染症で、これらの症状が突然現れることが特徴です。また、インフルエンザの中でも流行的な広がりを見せるのがインフルエンザA型とB型です。一般的に、インフルエンザは冬の寒い時期に流行するといわれていますが、インフルエンザB型は春になっても流行することがあります。これはなぜなのでしょうか。また、A型に感染したあとにB型にかかることもあるのでしょうか。

国内で流行するインフルエンザにはA型とB型の2種類があります。最近の流行パターンでは、11月~12月頃はインフルエンザA型が流行しますが、A型が落ち着いてきた頃にB型が増えはじめ、春頃にはB型の割合がA型を上回る傾向があります。年によっては4月下旬にB型のピークが来ることもあるため、5月に入り暖かくなってもインフルエンザの感染がみられることもあります。

しかし、必ずしもこのような流行パターンが毎年みられるとは限りません。例えば、2017年冬~2018年春のシーズンでは、インフルエンザA型とB型に流行パターンの差はなく、例年に比べると早い時期からB型の流行がみられました。そのため、冬の時期にA型インフルエンザにかかって回復したからといって、近い時期にB型インフルエンザにかからないと言い切ることはできません。

インフルエンザにはいくつかの種類があります。インフルエンザに一度かかると、感染したインフルエンザウイルスに対しては抗体が作られますが、異なる種類のウイルスに対しては効果を示しません。そのため、先ほど述べたように、A型インフルエンザにかった後にB型インフルエンザにかかることがありますし、その逆のパターンもあります。また、同じA型やB型の中にも少しずつ構造が違う“亜型”がいくつか存在するため、A型に2回かかったり、B型に2回かかったりすることもあるといえます。

インフルエンザにかからないようにするためには、予防接種や日常生活の注意による予防対策が大切です。インフルエンザはその年によって流行パターンが異なり、年によっては最初の流行が落ち着いてきた頃に再び流行がみられることもあるため、シーズンを通してインフルエンザ対策を怠らないようにする必要があります。

インフルエンザの予防対策として効果的なものに、インフルエンザワクチンの予防接種があります。ワクチンの接種によりウイルスの感染やインフルエンザの発症を100%防ぐことはできませんが、治るまでの期間を縮めたり、症状を軽くしたりする効果があります。

効果があるインフルエンザウイルスはワクチンによって異なりますが、A型とB型の両方に効果があるものもありますので、医療機関を受診する際にどのようなワクチンがあるか相談するとよいでしょう。

インフルエンザの予防対策の基本は、日常生活の注意です。インフルエンザが感染している時期にはなるべく人混みを避けることがもっとも大切ですが、難しい場合はマスク着用による予防に努めることも有効です。外出後や飲食をする前は手洗い、うがいを心がけるようにしましょう。とくに洗っていない手で目や鼻、口などの粘膜に触れないよう注意することも大切です。

先ほど述べたように、1つのシーズンで流行のピークが2回来ることもありますので、1度インフルエンザにかかったからといって油断することなく、シーズンを通してこれらの対策を続けることが大切です。

インフルエンザB型の流行のピークはA型のピークとずれて現れることがあります。このような場合は、流行が落ち着いたと思った頃に感染してしまうことが多くなりますので、注意するようにしましょう。また、このような流行パターンは年によっても異なりますので、予防接種や感染の有無にかかわらず、シーズン中はインフルエンザ対策を続けるようにしましょう。

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