
やけどは熱によって皮膚や粘膜が傷ついた状態を指し、医学的には“熱傷”といわれます。軽いやけどの場合は放置されることもありますが、損傷した皮膚の深さによっては手術が検討されるなど、適切な治療を行う必要があります。
主な症状には痛みや赤み、水ぶくれなどが知られていますが、なかでも水ぶくれが生じた場合はどのような対処が必要なのでしょうか。本記事では、水ぶくれが生じたやけどをテーマに、その深度や対処法、病院で行われる治療までを詳しく解説します。
やけどで水ぶくれが生じた際は自己判断で破いたりせず、まずは病院を受診することを検討しましょう。
なぜなら、水ぶくれの液体の中には傷を修復するはたらきを保つ成分が入っているほか、水ぶくれがあることによって傷に細菌などが入ることを防ぐ効果が期待できるためです。仮に勝手に潰れてしまった場合も、蓋となる皮膚は剥がさずにガーゼなどで保護をして速やかに病院の受診を検討するようにしましょう。
病院では水ぶくれの中に膿が溜まっている場合や、水ぶくれの中の水分が多すぎて圧力が高い(パンパンになっている)場合などに、水ぶくれを潰し中身を出す処置を行うことがあります。ただし、この処置は自分で行うと細菌が入りやすく、傷が悪化することもありますので自分で行うことは控えましょう。
市販薬を使用すると、診断時にやけどの評価が難しくなり、その後の治療の妨げになる可能性もあります。そのため、自己判断で市販薬を使用するのはやめましょう。また、アロエの葉を患部に当てるなどの民間療法やネット上の誤った情報もありますが、これによって傷が悪化するという事例も実際にあるため、まずは冷やして皮膚科を受診することを念頭において行動しましょう。
やけどをした場合は水ぶくれの有無や、傷の深さ、原因(熱湯・油など)に限らず、まず冷やすことが非常に重要です。冷やすことでやけどの進行や痛みを抑えることができるため、必ず冷やすようにしましょう。やけどの進行や傷あとを最低限にするためには、冷やした後はできるだけ早く皮膚科を受診することが重要となります。
具体的な冷やし方のポイントと注意点は以下のとおりです。
冷やす際に使うものは水道水でも問題ありません。やけどした部分や年齢によっても異なりますが、基本的には15〜30分程度、指先や脚などの場合は1時間程度冷やすとよいといわれています。
冷やす際の注意点は、家庭や職場では衣服を脱がずにそのまま冷やすことです。慌てて衣服を脱ぐと傷ついた皮膚が剥がれたり、すでに水ぶくれができている場合は破れて痛みが強くなったりすることがあるので注意しましょう。
また、やけどの範囲がある程度広い場合は、衣服の外のやけどに気を取られて、衣服の下のやけどを見逃さないようにしてください。そのほか、やけどした部位は腫れることがあるため、身に着けているものを後々外せなくなる可能性もあります。そのため、指輪や時計などのアクセサリーは早めに取っておくようにしましょう。
やけど(熱傷)は損傷した皮膚の深さによってI度熱傷〜III度熱傷に分類され、状態ごとに適切な治療も異なります。
水ぶくれが生じている場合は浅達性II度熱傷〜深達性II度熱傷に該当し、できるだけ早く皮膚科を受診して適切な治療を受ける必要があります。また、水ぶくれは生じていないものの皮膚が白や黒に変色するIII度熱傷の場合も同様です。一般的にII度もしくはIII度熱傷の範囲の合計が10〜20%を超えるようになると入院が検討されます。一方、やけどで水ぶくれが生じていないI度熱傷の場合は、治療をしないでも治るとされています。
赤みやむくみが生じ、強い痛みも伴うものの治療を受けないでも数日で治り、傷あとも残らないとされています。なお、日焼けもI度熱傷に含まれます。
赤み、むくみのほか、水ぶくれも生じ鋭い痛みを伴います。しかし、治療を受けることで1〜2週間程度で治り、傷あとも残らないことが一般的です。
患部が白っぽくなり、赤み、むくみ、水ぶくれが生じるほか、体毛や汗腺、神経も障害されるため知覚が麻痺し、浅達性II度熱傷よりも痛みを感じにくいとされています。治療を受けることで3〜4週間程度で治るものの傷あとが残ることもあり、手術が検討される場合もあります。
知覚神経が障害されているため痛みがなく、水ぶくれも生じません。この場合の皮膚は、白色または黒色に変化することが特徴です。治療を受けても治るまでに1か月以上かかり、手術が必要となるケースが一般的です。
水ぶくれが生じたやけど(浅達性II度〜深達性II度)の場合、病院で行う治療では治癒を目的に傷口が湿った状態を保つ必要があり、ワセリン軟膏を塗るのが基本となります。さらに、“創傷被覆材”*で傷口を覆うこともあります。また、やけどの広さや深さによっては傷を保護する目的で抗生物質を外用することもあります。
浅達性II度の場合はこのような治療を行えば1〜2週間程度で治り、傷あとも残らないことが一般的です。一方、深達性II度の場合は治療が適切であっても治るまでには1か月以上かかり、傷あとや皮膚のひきつれが残ることがあるとされています。
*創傷被覆材:傷口を覆う材料のことで、治癒するための環境を整える
やけどは放置するとより深いところまで進むことがあり、進行すればするほど治療内容が複雑になったり、治っても傷あとが残ったりしやすくなります。特に水ぶくれができている場合は浅達性II度〜深達性II度に分類される状態です。浅達性II度であれば治療によって1〜2週間程度で治り傷あとも残らないことが一般的ですが、深達性II度に達していれば治療を受けても傷あとが残る可能性が高いといわれています。さらに進行するともっとも重度であるIII度熱傷に達する可能性もあるため注意が必要です。
やけどの深度の判断は難しく、治療が遅れてしまったり、傷口からの感染リスクが高まったりするため、軽いやけどであっても気になる症状がある場合は放置せずに皮膚科や形成外科(時間外なら救急外来)の受診を検討しましょう。
関連の医療相談が10件あります
コロナPCR検査
コロナ陽性と接種し濃厚接触者なり、当日から頭痛、2日頭痛、ふしぶし、喉の痛みがあり病院へ抗原検査、PCR検査も陰性だったけど、頭痛の痛みが治りません。どうしてもなんでしょうか?ただの頭痛なんでしょうか?
子宮頸がんワクチンについて
子宮頸がんワクチンを打つか迷っています。 今の年齢では遅いでしょうか? また、HPVは多くの人が感染するウイルスで、自然に消滅すると聞きました。 先日ちょうど性病検査をし、HPVは安静でした。 この場合、過去にかかっていたけど消滅した可能性もあるのでしょうか?それともこれまで感染がなかったということなのでしょうか?
脈が飛ぶ状態が続く
小学生の時からたまに脈が飛んでいるのが気になり、その時は回数が少なかったのであまり気にならなくなったのですが、ここ最近脈が飛ぶような一瞬止まるような感じが続いています。 特に生理前〜生理中が酷く、1分間に3、4回飛んだりしています。 気になったので病院の心電図で診てもらったところ、脈はたまに飛んでるけど異常はないのことでしたが、どうしてもまだ気になっていたので、循環器専門の病院で心電図、聴診器、24時間ホルダーをつけてもらったところ、期外収縮だけど全く問題ない。1日に飛んだとしても100回程度、貴方の心臓は聴診器で聞いても雑音もなく綺麗な音だよ、と言われました。 その言葉を聞いて安心したのですが、どうしても脈が飛ぶとこのまま止まってしまうのではないかと怖くなります。 症状が軽くなる方法はありますか? 本当に大丈夫なのでしょうか?? ネットで良性の期外収縮と言われて安心したのに倒れたという方のコメントを見てから怖いです。
お腹のゆるさ
最近おなかが緩いと感じるようになりました 朝からアイスとか牛乳を飲むことが多々あって、 特にガスがよくたまってるみたいで何度も出てしまうんですけど、トイレの時も軟便な気がしてて、 今まではこういうことあったとしたらストレスでなっててしばらくしたら治ったんですが 今回もその原因なのでしょうか? 大腸がんとかもあるみたいなので心配です
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「やけど」を登録すると、新着の情報をお知らせします