院長インタビュー

地域医療の核となり、シームレスな医療システムの構築を目指す馬場記念病院

地域医療の核となり、シームレスな医療システムの構築を目指す馬場記念病院
馬場 武彦 先生

社会医療法人馬場記念病院 理事長・院長

馬場 武彦 先生

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社会医療法人ペガサス 馬場記念病院(以下、馬場記念病院)は、地域医療の核となることを目指し、大阪府堺市の地域に住む方の診療にあたっています。救急医療に尽力し、地域のニーズに合わせた医療を提供すると共に、患者さんがシームレスなケアを受ける体制を整えるため、“ペガサス・トータル・ヘルスケアシステム”の構築を目指しています。同院の診療体制の特徴や、地域医療への取り組みについて、理事長の馬場 武彦(ばば たけひこ)先生にお話を伺いました。

馬場記念病院の外観
馬場記念病院の外観

当院の強みは、脳神経内科での脳卒中の治療です。救急救命医療を24時間行える体制を整えており、脳梗塞発症から4.5時間以内に適応となるt-PA(血栓溶解剤)静注療法のみならず、カテーテルによる血栓除去術にも昼夜を問わず対応可能です。救急隊との連携を強化し、救急隊から医師へダイレクトコールをつなぐことで、より迅速な治療ができるよう努めています。

脳卒中ケアユニット(SCU)では、2020年1月現在で理学療法士や患者さん3名あたり1名の看護師を配置し、集中的な看護および早期リハビリテーションの実施に力を入れています。

内科、外科、脳神経外科、整形外科において、二次救急医療機関の指定を受けています。当院では、救急で運ばれてきた患者さんを断らないことを目指し、スタッフ一丸となって取り組んでいます。救急医療体制を整備し、必要な検査から手術、集中治療までを一貫して行います。

早期発見・治療が必要な病気にも可能な限り対応し、地域で暮らす方々が安心して暮らせるよう努めています。

救急搬送にも対応

救急搬送にも対応

消化器内科医と消化器外科医が連携し、双方の治療を組み合わせて、患者さん一人ひとりに合った治療を提供しています。迅速な診断と治療が行えるよう努めており、緊急対応が必要な場合には24時間対応します。

また、当院では、患者さんの負担が少ない医療を行うことを重視しており、内視鏡治療や腹腔鏡手術を積極的に取り入れています。治療方針については、病院側の考えを押し付けるのではなく、患者さんに十分な説明を行ったうえで、患者さんのご意向を伺いながら決めていきます。

退院後はスムーズに元の生活に復帰できるよう、地域の診療所との連携を強化しています。

手術の様子

手術の様子

当院には、循環器科・消化器科・呼吸器科・脳神経内科といった特定の領域に特化した内科系の診療科があり、各科において専門領域の診療が行われています。しかし、患者さんの中には特定領域の診療科に分類することが難しい方もいらっしゃいます。特に高齢の患者さんの場合、さまざまな要因が絡み合って体調を崩しているケースがあります。そういった患者さんを受け入れ、治療を行う診療科が内科です。

内科では退院後にできるだけ元の生活に戻れるよう、治療と並行してリハビリも行っています。

呼吸器科で特に診療に力を入れている病気は、気管支喘息COPD慢性閉塞性肺疾患)・特発性間質性肺炎呼吸器感染症です。

気管支喘息の患者さんに対しては、快適に呼吸ができるよう、ステロイド吸入方法の指導も行っています。また、喫煙習慣を改めたい方やCOPDの患者さんに向けて、2013年より禁煙外来を開設しました。喫煙は、COPDの原因のひとつであるため、できるだけスムーズに禁煙ができるよう、患者さんと一緒に取り組みます。

馬場記念病院の外観
馬場記念病院の内観

当院は、1993年にケアミックス*として診療の枠を広げ、患者さんの状態が変化したり急性期から慢性期に移行したりしても、法人内で対応できる体制を整えました。もともと当院には脳卒中で受診される方が多く、急性期を脱しても長期的に治療を続ける必要があったためです。

今後は、“継続ケア”と“地域連携”から成る“ペガサス・トータル・ケアシステム”の構築を目指しています。これは、医療を“核”としてさまざまな分野のヘルスケアを担い、患者さんがシームレスにケアを受けられるための法人内システムのことです。

そして継続ケアとは、救命救急から急性期、回復期、慢性期、在宅支援までにわたり、シームレスに医療を提供するというもので、法人内で開始した取り組みのひとつです。この一環として、近隣地域に訪問看護ステーションやデイサービスセンターなどの関連施設を設置し、退院後も患者さんが継続してケアを受けられるような仕組みを作りました。

継続ケアのメリットは、情報共有が密にできることです。そうすることで、病気の治療だけでなく、患者さんの生活全体を考えたケアにつなげていきたいと考えます。

*ケアミックス:一般病床や療養型病床などの複数機能を併せ持つ施設形態のこと

当院は、ヘルスケアに関するさまざまな機関との連携を推進しています。地域の診療所や、在宅療養をサポートする施設と協力体制を取りながら、患者さんがお住まいの地域で必要な治療を受けられるよう努めています。

また、当院で開設していない診療科においては、その科を有する施設との連携を行うことで対応しています。

再就職または社会復帰を検討している患者さんを対象に、職業リハビリテーションなどの就労支援を行っています。リハビリテーションスタッフが身体機能や日常生活の自立状況を確認し、仕事に必要な機能を獲得するためのトレーニングプログラムを立案します。その後、通所もしくは入所しながらトレーニングを受けていただき、社会復帰を目指していきます。ご希望があれば、当法人の採用試験を受けていただくことも可能です。

仕事復帰を目指す方々のために、スタッフ一同、一人ひとりの悩みや不安に寄り添いながら支援することを大切にしています。

馬場記念病院のスタッフたち
馬場記念病院のスタッフたち

当院は、臨床研修指定病院として初期臨床研修医・後期臨床研修医を受け入れています。当院にはcommon disease(一般的な病気)の患者さんも多く受診されるため、初期臨床研修では基礎的かつ幅広い分野における技術の習得を目指していただけます。

研修医の教育においては、各診療科で知識を深め合うための勉強をするなど、自主的に行う面もあるため、のびのびと学べる環境です。

法人内で働くスタッフをサポートするため、ぺがさす保育所とペガサスキッズルームを設けています。ぺがさす保育所では生後9週目~就学前までのお子さんの24時間保育を実施しており、夜勤時でも預かることが可能です。一方、ペガサスキッズルームは小学生をお預かりする施設で、学習のサポートや心のケアなどを行っています。

また、当法人はさまざまな事業を行っており関連施設も複数あるため、スタッフの異動希望があれば柔軟に対応することが可能です。新しい分野を学びたい、家庭の事情に合わせた働き方をしたいなど、一人ひとりのスタッフの希望に応じた職場を提供することで、継続して働ける環境づくりに努めています。

馬場先生

患者さんのことを第一に考えた医療を提供できるように心がけてください。昔に比べると診療科は細分化し、専門性が増していますが、病気だけを診るのではなく、患者さん全体をみて日々診療にあたることが大切だと考えます。

当院は、「私たちにできる専門的な医療とは何か」を考えながら日々の診療に力を尽くしています。これからも、各診療科や施設との連携を強化しながら、地域の方々に求められる医療を提供できるよう努めていきます。

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  • 社会医療法人馬場記念病院 理事長・院長

    馬場 武彦 先生

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