院長インタビュー

医療の原点を見つめ、“温かみのある医療”で地域社会への貢献を目指す東京都済生会向島病院

医療の原点を見つめ、“温かみのある医療”で地域社会への貢献を目指す東京都済生会向島病院
塚田 信廣 先生

東京都済生会向島病院 内科  院長

塚田 信廣 先生

目次
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社会福祉法人恩賜財団 済生会支部東京都済生会 東京都済生会向島病院(以下、東京都済生会向島病院)は、東京都墨田区にある公的医療機関です。同院はかかりつけ病院としてのみならず、地域の診療所や病院との“病診連携”および“病病連携”などによって、充実した予防、福祉を提供することで、地域社会への貢献を目指しています。

同院が目指す地域における役割などを中心に、病院長の塚田 信廣(つかだ のぶひろ)先生にお話を伺いました。

東京都済生会向島病院外観
東京都済生会向島病院外観

当院の前身である東京都済生会寺島出張診療所は、1922年に開設されました。そして1939年、現在の地に移転し向島診療所と名前を変えて地域に医療を提供しておりましたが、戦争により焼失してしまったのです。しかし、国や都からの補助金、地域に住む有志の方々からのご寄付などによって、1948年に東京都済生会向島病院として再度スタートを切ることができました。

こうした温情を受けて現在の当院がありますから、医療で地域社会に貢献することこそが、当院の使命だと考えています。“どのような人々に対しても分け隔てなく寄り添う”という済生会の基本理念に基づいた医療を提供すると同時に、地域のニーズを的確に捉え、この地域にとって必要不可欠な病院となることを目指しています。

当院の一般内科に所属する医師のうち、6名が総合内科専門医の資格を持っています。特に高齢の方は複数の症状や病気を抱えていることが多く、高齢化が進む現在の日本において、内科疾患を総合的に診ることのできる総合内科専門医が6名もいる意義は大きいと考えています。また、総合内科専門医の資格に加え、腎臓専門医や肝臓専門医のほか、2020年2月現在で日本に1329名と数少ないがん薬物療法専門医の資格を持つ者もいます。総合的に全身を診たうえで、病気に合わせて、各専門医が患者さんそれぞれに寄り添った診療を行えることが、当院内科の強みです。

糖尿病教室の様子
糖尿病教室の様子

当院では糖尿病の診療や患者さんへのサポートに力を入れています。1982年には既に、内科の中に“糖尿病センター”を設け、糖尿病専門の診療と患者さんへの療養指導(治療の自己管理支援)を行っていました。

その流れを継ぎ、現在も“外来糖尿病教室”や“教育入院”を通して、患者さんへ糖尿病治療の自己管理について指導を行っています。外来糖尿病教室は1回2時間、全2回の講習、教育入院は、2週間の入院と、患者さんそれぞれの生活に合わせて指導を受けていただくことができます。

そのほか、当センターに通院している患者さんが、糖尿病をコントロールしながら、合併症を防げるよう、自己管理の方法を学び、情報交換、交流などを行う、糖尿病患者会“ひきふね会”があります。ひきふね会は、2020年2月時点で発足から30年以上の歴史がある、患者さんの任意団体です。

医療相談室では、病気やけがなどによって患者さんが困っていることを、ソーシャルワーカーとの面談を通して解決することを目指します。ご相談の内容は、退院後の自宅で行う介護のやり方や、介護老人保健施設への転院、治療費に関するものなどさまざまです。当院は、社会福祉法人の病院として無料低額診療*を行っておりますので、それに関するご相談なども承っております。こうした取り組みを通して、今後も“どのような人々に対しても分け隔てなく寄り添う医療”を実現していきたいと考えています。

*無料低額診療制度:医療や介護を必要としているにもかかわらず、医療費の支払いが難しく、医療を受けることができない方に対して、無料、もしくは低額で診療を行う制度

東京都済生会向島病院 正面入り口
東京都済生会向島病院 正面入り口

特に高齢の患者さんを診る際は、退院後も自立した生活を送れる状態にすることを目標としています。それを達成するためのキーワードとして掲げているのが“認知症、リハビリ、栄養、嚥下(えんげ)、排泄”です。入院により認知症が進行したり、筋力が衰えたりして退院後の生活が困難になってしまっては、病気の治療をした意味が薄れてしまうと考えています。入院の原因となった病気やけがを治療することは当然ですが、それ以外の面においても、入院時よりもよくなった状態で退院していただけるよう、フォローすることを心がけています。

当院には全ての診療科がそろっているわけではありません。そのため、どうしても当院では診ることのできない患者さんも出てきてしまいます。しかし、それが分かっているからこそ、地域にあるほかの病院や診療所との連携を積極的に行ない、相補的な医療提供関係を築いています。

また、東京都港区にある済生会中央病院とは人事交流を行なったり、当院に診察にいらっしゃった患者さんの検査画像を送り、遠隔で画像診断を行なったりと、済生会の関連施設ならではの、地域の枠を超えた連携が可能です。こうした地域の医療機関や関連施設との連携を進めることで、最終的には患者さんが、予防医療から医療、介護、生活支援など、地域でトータルのサポートを受けられるようになることを目指しています。

当院には、糖尿病専門医・研修指導医がおり、日本糖尿病学会の認定研修施設にもなっています。糖尿病専門医、糖尿病療養指導士を目指す方の研修・指導は随時受け入れています。

当院では、看護師の能力開発、評価を行うためのシステム“クリニカルラダー”に基づく研修や勉強会を実施しています。また、院外研修を受講する機会も保証するなど、自ら成長を求める方のサポートができるよう努めています。

塚田先生

医療の現場で働いていると、ふと、自身の行っていることやその方向性に、迷い、悩む場面が出てくると思います。そうしたとき、当院には“あらゆる人々に分け隔てなく寄り添う”という理念があり、それこそが大きな道しるべとなります。これからも当院で働くスタッフの皆さんが、この理念に基づいた医療を提供できるよう環境を整え、院長としての務めを果たしていきたいと思います。

これまで当院は、病院にいらっしゃった方々に誠心誠意、医療を提供するということに注力してきました。しかし、今後はそれだけではなく、地域のイベントで健康相談の場を設けるなど、自ら積極的に皆さんの元へ医療を提供し、予防という面からも皆さんの健康を支えられる病院でありたいと考えています。そして引き続き“温かみのある医療”を通して地域社会に貢献していきたいと思いますので、お困りのことがあれば、ぜひご相談ください。

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