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生理の量が少ない場合は治療が必要?~治療が必要になる原因や、治療法とは~

生理の量が少ない場合は治療が必要?~治療が必要になる原因や、治療法とは~
久須美 真紀 先生

山王病院 リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター部長

久須美 真紀 先生

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生理(月経)に関する悩みにはさまざまなものがありますが、なかでも生理の量が少ないことで不安に思う方もいます。生理の量(経血量)はおよそ20〜140mlが標準だといわれ、20mlより少ない場合を“過少月経”といいます。過少月経の原因としては生活習慣やストレスなどによるホルモンバランスの乱れのほか、ホルモンの分泌に関する病気や子宮や卵巣の病気などが考えられ、場合によっては治療が必要となるケースがあります。

では、どのような場合に治療をする必要があるのでしょうか。

生理の量(経血量)が少ない理由が一時的なホルモンバランスの乱れである場合には、治療をする必要はありません。特に初潮(初めての生理)を迎えたばかりの方や、閉経が近い方などはホルモンバランスが乱れやすく、生理の量が安定しないことがあります。そのため、これらの場合には治療は行わずに経過観察となることが一般的です。

しかし、何らかの病気が原因となって過少月経が生じるケースもあり、その場合には原因となっている病気を治療する必要があります。

過少月経の原因となる主な病気は、ホルモンの分泌に関与する“内分泌疾患”と子宮や卵巣に異常が見受けられる“器質性疾患”に分けられます。内分泌疾患による過少月経の場合には、ホルモンの分泌を正常にするためにホルモン剤による薬物治療が行われます。一方、器質性疾患による過少月経の場合には、子宮や卵巣の異常を改善するための手術治療が必要となる場合もあります。以下では、それぞれの治療方法について解説します。

過少月経の原因となる内分泌疾患には、“無排卵周期症”“高プロラクチン血症”“甲状腺機能異常”“黄体機能不全”などが挙げられます。これらの病気と診断された場合には、薬物治療が検討されます。

薬物治療にはさまざまな種類があり、病気によって処方される薬が異なります。たとえば、病気が原因でホルモンの分泌が低下している場合にはホルモンの分泌を促進する薬剤が処方され、ホルモンが過剰に分泌されている場合にはホルモンの分泌を抑える薬剤が処方されます。

また、高プロラクチン血症では大きく分けて機能性・薬剤性・腫瘍性があり、機能性の高プロラクチン血症の場合には前述のようなホルモンの分泌を抑える薬剤(カベルゴリン、ドパミン作動薬)による治療が検討されます。一方、薬剤性の場合には現在服用している薬の見直しが行われるほか、腫瘍性の場合には薬物治療だけでなく、手術治療や放射線治療が検討されることがあります。

過少月経の原因となる器質性疾患には、“子宮形態異常”“子宮内腔癒着”“子宮発育不全”などが挙げられます。病気によっては子宮の形状を整え、異常のある部分を取り除くなどの手術治療が検討されます。

子宮の手術では、子宮内にカメラなどの医療器具を入れて行う子宮鏡手術(内視鏡手術)などが行われることが一般的です。

なお、これらの器質性疾患であっても症状が軽い場合や、妊娠などそのほかの機能に影響がない場合には手術治療をする必要がないこともあります。また、子宮の発育を促すにはホルモン療法が有効な場合もあります。

生理の量が少ない場合、一時的なホルモンバランスの乱れによるものであれば治療の必要はありません。ただし、内分泌疾患や器質性疾患によるものであった場合には、必要に応じてホルモン剤による薬物治療や手術治療を行う必要があります。過少月経につながる病気の中には、不妊など女性の機能を損なうものもあるため、気になる症状がある場合には婦人科・産婦人科の受診を検討しましょう。

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