生理に関連して起こる不快な症状を“月経随伴症状”といい、この中には月経困難症や月経前症候群(PMS)などがあります。
月経困難症と月経前症候群(PMS)の大きな違いは、症状が発現する時期です。生理中に症状が現れるのが月経困難症、生理前に症状が現れるのが月経前症候群(PMS)です。それぞれは異なるものですが、併発することもあります。
本記事では、月経困難症と月経前症候群(PMS)の詳しい違いや受診に適した診療科について解説します。
月経困難症と月経前症候群(PMS)の大きな違いは症状の発現時期ですが、それだけではなく症状の種類や原因においても違いがあります。
月経困難症は、生理の直前または生理の開始とともに不快な症状が出現し、生理の終了とともに消失します。生理中に起こる代表的な症状には、下腹部痛や腰痛(いわゆる生理痛)があります。そのほかにも、吐き気・嘔吐、頭痛、疲労感、食欲低下、下痢、イライラ、抑うつなど、さまざまな症状が現れることがあります。
月経困難症の発症には“プロスタグランジン”という物質との関与が考えられており、これが子宮内膜から分泌されることが原因といわれています。プロスタグランジンは生理に伴って産生量が増え、子宮を収縮させて経血を排出させたり、血液中に入って痛みを引き起こす物質を増加させたりします。それにより、子宮の過収縮に伴って下腹部痛や腰痛(いわゆる生理痛)が強くなったり、吐き気や頭痛などさまざまな症状が出現したりするのです。
月経困難症は、ほかの病気が原因となって起こることもあります。月経困難症を引き起こす代表的な病気として、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症が挙げられます。
月経前症候群(PMS)は、生理前の3~10日間続く精神的・身体的症状のことで、生理の開始4日以内に軽快ないし消失することが特徴です。主な症状には、精神症状として情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状として食欲不振・過食、のぼせ、めまい、倦怠感、身体症状として下腹部痛、腰痛、頭痛、むくみ、乳房の張り、お腹の張りなどがあります。月経前症候群(PMS)の中で特に精神症状が強いものを“月経前不快気分障害(PMDD)”といいます。
はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、女性ホルモンの変動が関与していると考えられています。
排卵から生理までの期間(黄体期)に、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。この期間の後半になるとエストロゲンとプロゲステロンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質に異常が生じることによって種々の不快な症状が現れると考えられています。
また、生活習慣やストレスによる影響もあるといわれています。
月経困難症と月経前症候群(PMS)は異なるものですが、治療方法はいずれも薬を用いた薬物療法が中心で、主に鎮痛剤やピル、漢方薬が用いられています。
そのほか、月経前症候群(PMS)では、むくみなどの水分貯留症状に対しては利尿剤、精神症状に対しては精神安定剤、精神症状が特に強く現れる月経前不快気分障害(PMDD)では抗うつ剤など症状に応じた薬によって症状の緩和を図ります。
また、PMSにはカウンセリングや生活指導も有効です。症状日記の記録によって病気の理解を促し、規則正しい生活、睡眠、定期的な運動、チョコレートやコーヒーの摂取制限をすることで症状の緩和につながります。
月経困難症は病気(子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症)によって起こることもあります。この場合には病気に対する治療が原則です。症状の緩和や病気の進行を抑えるために薬物療法を行うこともありますが、手術により月経困難症を克服できることがあります。
月経困難症や月経前症候群(PMS)における適した受診先は婦人科です。
ただし、精神症状が強く現れる月経前不快気分障害(PMDD)では、検査や治療の観点から心療内科や精神科などの専門医を紹介されることも多いと考えられます。そのため、明らかに精神症状が強い場合には心療内科や精神科に相談してみるのもよいでしょう。
月経困難症、月経前症候群(PMS)のいずれも患者数が多く、特に月経前症候群(PMS)は女性の約75%が経験する身近なものですが、その一方で、治療を行わずに我慢してしまう人も多いといわれています。治療を行うことで症状の緩和が期待できるため、生理前や生理中の不快な症状に悩んでいる場合は、我慢せずに一度病院を受診して医師に相談してみるとよいでしょう。
山王病院 リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター部長
関連の医療相談が16件あります
不正出血について
いつもお世話になっております。 1週間ほど前から不正出血がみられます…。 最後の月経期間は9月13日〜9月16日でした。 その1週間後に避妊具無しで性行為をしました。 かかりつけの婦人科にて月経困難症と診断 されたため次回の月経から低用量ピルを 服薬する予定だったのですが、9月30日から 今日までずっと通常の出血量より少ない 鮮血が出ています。 病院に行こうと思っているのですが なかなか予約が取れず、不安です。 これは排卵期による出血なのでしょうか? 情報が乏しくてすみませんが、 よろしくお願い致します。
骨盤が刺すように痛い
今日生理が始まりましたが、生理痛と共に左の骨盤?骨の出っ張り?がボールペンの根元でグリグリ押されたように痛いです。何が原因なのか分かりません。
薬が効きづらく、眠れない
今日のお昼頃から生理になり、鎮痛剤を飲んでも痛みが取れないので、睡眠導入剤を飲んで休もうと思った。しかしわずか1時間程で目が覚めてしまったが、この後の活動に何か影響を与える可能性があるか。
生理の血について
月経が始まって2日目です。今まではドロッとした赤黒い血でしたが、ドロッした赤黒い血を含め、少しだけサラサラしていて薄い赤色の血が出ます。正常でしょうか?
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「月経困難症」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。